~RO Novels~   第五章 信頼のゲフェン編  突入

~RO Novels~   第五章 信頼のゲフェン編  突入

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「おい、タイキ、抜けるぞ。」
黒い粒子が永遠と繋がっている回線だったが、向こうに光が見えた。おそらく向こう側が出口だろう。二人は足の速度を速め、手に持つ武器に力を入れた。
 ぱぁっと視界が開け、二人はT-20XYの中へやってきた。そこには想像していたよりも恐ろしいモノが待ち構えていた。
 それは、多くの電子情報を吸収して膨れ上がった銀色の死霊騎士であった。体中を銀の鎧で覆い、顔は髑髏、手に持つ武器は銀の槍に銀の盾、銀の死馬に乗っている――。
「ロード・オブ・デス……」
ナオヤがそうもらした。ロード・オブ・デスとは、ラグナレクのゲームの中で終焉の地に現れるボスであり、最強のボスとして恐れられていた。あまりの強さに、誰も倒せないままラグナは配布終了を迎えてしまったのであるが……その時の10倍はあろうかという大きさのロード・オブ・デス。それを目の前にしてさすがの二人にも恐怖の色が見え隠れしていた。
「どうやれば倒せるんだ…」
「そんなの決まってるさっ!」
タイキが矢を放った。それはロード・オブ・デスに命中し、当たった部分の粒子が剥がれ落ちる。
「攻撃しまくって戦闘不能にするのさっ!」
それに気づいたロード・オブ・デスは大きく槍を振りかざして攻撃してくる。しかし、巨大化しすぎた分攻撃は遅くなり、避けられるスピードになっていた。
「こりゃぁいけるぜぃ、ナオヤっ!」
「指弾!!」
頷き、ナオヤも攻撃を開始した。光の弾が高速でロード・オブ・デスの体を貫く。巨大な魔物は醜い奇声を上げた。
 しばらくはそうして順調に思われた攻撃であったが、ナオヤがある事に気づいた。
「おい、タイキ!新しく流れ込んだ黒い粒子が攻撃した部分を補強してる!!黒い粒子の流れを止めないと!!」
「でも、どうやって止めるんだよっ!」
意味も無い攻撃を繰り替えせざるを得ない二人。長期戦になるにつれて体力的にも限界に達してきた。
「うわっ!」
その時、一瞬のスキをつかれたナオヤがロード・オブ・デスの攻撃に当たってしまった。吹き飛ばされるナオヤ。
「ナオヤっ!」
タイキが叫ぶが、ロード・オブ・デスは狙いを空間を傷つき彷徨うナオヤに定める。そして……
「グオォォォォォ!!」
醜い奇声と共に素早く槍で突いた。その閃光の刃がナオヤを捕らえようとする、まさにその時!!
「スピアブーメラーン!!」
どこからか別の槍が飛んできてロード・オブ・デスの槍に当たる。すると、その力に負けた銀の槍は軌道をずらされて電子空間の壁に直撃した。そして傷ついたナオヤを素早く確保した。
「レ、レイっ!!」
なんと、それはレイだった。いつものように笑顔で微笑み、腕の中のナオヤに手を当てる。すると、ナオヤが目覚めた。
「レイ、お前…どうやってここに……?」
「T-20XYにあったヘッドギアを拝借してきちゃったょ~。」
「貸してくれたのか?」
「まぁ、その辺はご想像に^^;」
苦笑いするレイ。
「レイっ!あぶねぇ!」
後ろからロード・オブ・デスの槍による追撃が襲ってきた。レイは避けようとするが、間に合いそうに無い。と、またその時!!
「ストームガースト!」
声と同時に電子空間は一時的に零度以下になり、吹雪が舞った。それはロード・オブ・デスの槍を凍らせ、レイの寸前のところで止まった。
「グアァアアァアァァア!!」
醜い奇声を上げるロード・オブ・デス。盾を持っていた方の手を凍った手の前において支えようとしたが、無残にもそれはパリパリと音を立てて砕け散った。
「ア、アキト!!」
そこにいたのは、アキトだった。杖をクルクルとまわして得意げに三人を見ている。
「やっぱ大魔法だよね~。」
「みんな……」
四人は空間の中で一列に整列して、ロード・オブ・デスに対峙した。やつは凍った手の再生を待っている。
「今のうちに追撃を……」
「待って!」
追撃をしようとしたタイキをアキトが止めた。
「ん?」
「もうちょっとだけ時間がほしいんだ。きっとみんな……助けてくれるからそれまであいつの気を引くことに専念して!」
「みんな?!」
「ほら!攻撃が来るよ!!逃げ回って!!」
再生を終えたロード・オブ・デスはすぐに攻撃を再開した。四人はバラバラに散って逃げ回る。
「おい、アキト。ちゃんと策はあるんだろうな?」
ナオヤが大きな声で尋ねた。アキトは親指を立てた。
「ガッテンラグナ!!」



 ――「テレビに映ったか?」
「あと10秒です!!」
管制室では真吾と係員がせわしなく動いていた。
「テレビ局に話はつけたか?」
「あと、二、三件ありますが…」
「かまわん!電波ジャックであとで謝罪すればいい!」
マイクを片手にテレビ画面を見守る真吾。
「頼むぞ、少年。うまくやっていてくれー……」
「あと5秒…」
係員がカウントダウンを始める。
「4」
「3」
「2」
「1」
「電波ジャック成功!」
その瞬間、日本中に流れている全ての放送が、T-20XYの中の戦いに変わった。タイキとナオヤが巨大なロード・オブ・デスの前で攻撃を繰り返している。
―「でも、どうやって止めるんだよっ!」
ちょうどその言葉が流れた。
「真吾さん、マイクで全国につながります!!」
真吾は大きく頷く。
「え~、今テレビをご覧の皆様、突然の番組変更をお許しください!今、テレビに映っているものは、パロディでも何でもありません!この画面を見てなにか思い出すことはないでしょうか!昔、こんなゲームをやっていたとか!……これは今現実に起きていることです!今、超次世代無人航空機T-20XYは何者かによってハッキングされ、このような電子怪物を中に入れられてプログラムを破壊されようとしているのです!航空機には30人のテスターが搭乗しています!この三十人を救うため、彼らは電子世界で戦っているのです!これを聞いているみなさんはテレビのチャンネルをずっと8に合わせておいてください!お願いします!!8のチャンネルに合わせておいてください!!」
懸命の真吾の説得は終わった。今、日本中が動き出す。


 ――とある民家。子供が二人、テレビを見ている。
「8だってよ、8。」
「うん、わかっただ。8だべ8。」
 ――とある学校。授業中に社会科関係のテレビを見ていたのだが、この放送が流れた。
「まったく…くだらない……」
先生が飽きれたような声を出してテレビを消そうとする。すると、生徒たちが突然立ち上がった。
「先生!8!」
「おい、はげ!8だよ、8!!」
「もっとみせろー!」
「くそ、8だ!8!」
その剣幕に押され、しぶしぶ8チャンネルに合わせて教卓に腰を下ろした。
「まったく…最近の子は……ってかハゲとかクソって…」
 ――とある民家。高校生になる少年はいつものようにテレビを見ていた。
「あれ?タイキさんに…ナオヤさん?!」
大声でそう叫ぶ。
「なにやってるんだ……?」
真吾の放送が流れると、納得したように頷いた。
「なるほどねー。……よっしゃ!」
少年はチャンネルを8に合わせて画面を食い入るように見つめた。
 ――東京にある大スクリーンテレビの前でその光景を見る20代の金髪の男二人。
「おい、お前のケータイってさ、テレビ見れんじゃなかったっけ?」
「ああ、見れるな。」
「つけろよ。」
「おう。」
男はケータイのテレビ機能を使い、チャンネルを8に合わせる。
 ――とある社長室。髪の長い女性が目の前に山積みにされた資料を一つずつパソコンに打ち込んでいた。その隣で社長が優雅にテレビを見ながらコーヒーを飲んでいる。
「最近はぶっそうな事も起きるもんだ。」
社長をにらみつけようとそちらを向くと、その女性の顔が驚きの顔に変わった。
「……タイキ?ナオヤ?」
テレビを見てすっと立ち上がると社長に歩み寄る。
「な、なんだね?!」
「社長。今すぐ社内のパソコンとテレビを8チャンネルに合わせてください。」
「な!?こんな事を信じるのかね?!君らしくもない!」
ニヤニヤしながら社長が女性を見上げた。女性はニコっと笑うと一瞬で社長の胸倉をつかむ。
「ひい、君、君。暴力はいけないよ。」
「は・や・く・し・ろ。」
「はい~。ただいま~。」
そう言うと、全オフィスに拡散されるスピーカーにスイッチを入れた。
「え~。全員仕事を一時中断し、PCのテレビ機能を使って8チャンネルに合わせろ。」
「これでいいのかね?奈留君…ってあれ?」
いつの間にか奈留はいなくなっていた。彼女のパソコンの前にはただ、ヘッドギアのようなものが置いてあるだけであった――。
 ――T-20XY機内。先ほどから高度が急激に下がり始め、緊急用のサイレンが作動し、ライフジャケットと酸素マスクが配られている。乗客が多少パニックに陥っている。その中で、大輝の父は怖がる優輝をなだめていた。
「パパ、僕たち死んじゃうの?」
「何を言ってるんだー、優輝!父さんは悲しいぞ!!この程度で弱音を吐いちゃいかーん!」
「……」
「返事は~?」
「……うん。」
「よし、神様がきっと助けてくれるさ~。もしも、お前を殺すようなことしやがったら父さんが神様に文句いってやるからな~。」
「……パパ、ありがとう。」
父の目にも光るものがあった――。



「すごい…すごいですよ!真吾さん!!」
 再び戻って管制室。一枚の白い紙を持ってきて喜ぶ係員。
「どうだ?」
「8チャンネルの視聴率が89,6%ですよ!日本人のほとんどが真吾さんの言うとおりにしてるんです!!」
「そうか。」
真吾はしっかりと頷いた。そして、管制室の前に立つ。
「これは基はといえば私の責任でもある。まず、その事をみなに謝っておきたい。」
その言葉にみなは首を横に振った。
「…ありがとう。……そして、これはわがままな言い分だが、もうちょっとだけ力を貸してほしい。……頼む!」
「もちろんですよ、真吾さん。私たちはあなたに雇われてここにきたんですから。」
近くにいた係員がそう優しく言った。真吾はその係員と固く握手して背筋を伸ばす。
「さぁ、みんな!最後の仕事だ!よく聞いてくれ!!今からあのバケモノにこの89,6%という驚異的な重さの電波を流し込む!するとどうなるかな?」
「処理に時間がかかって、どんなプログラムもその間砂時計になります。」
一人の係員がそう言うと、真吾は頷いた。
「その通り。一時的にやつに供給される黒い粒子も止まる。ほんの十数秒間だけやつは再生能力を失う。その間にあのウィルスモンスターの中枢を破壊させるんだ。」
「ラジャー!」
再び管制室は慌しく動き出す。
「九州地方電波集約完了しました!」
「四国地方、同じく完了しました!」
「中国地方、同じく!」
「近畿地方、完了!」
「中部地方、完了しました!」
「関東地方、完了しました!」
「東北地方、完了!」
「北海道地方、完了しました!」
「国内全域、電波集約完了しました!いつでもいけます!!」
「よし!」
真吾は手にマイクを取る。
「おい、聞こえるか?」






「いつまで避けてればいいんだよっ!」
 タイキはかわすのはもう飽きたと言わんばかりにそうもらした。
「もうちょっと…もうちょっとでくるはずだ…」
アキトにも焦りの色が見えてきている。
「辛抱のないやつらだな。」
苦笑しながらナオヤがそう言った。
「もぅちょっと待ちましょうか~。」
と、その時……
「速度増加!!」
突然タイキの体が黄色い光に包まれる。すると、タイキの動く速度がさっきの二倍近くになった。それが全員にいきわたる。
「ナルさん!!」
タイキは目を疑った。そこには、さっき社長室で秘書をしていた女性が、修道女の格好をして立っていた。
「びっくりしたわよ、全く……」
呆れ顔でタイキとナオヤを交互に見る。
「呆れた…?」
「あんたたち、テレビに出てるのよ。」
「?!」
タイキとナオヤはびっくりして、アキトの方を向いた。アキトはへっへ~んという感じで二人を見つめている。
「T-20XYのモニターをテレビ回線に繋げてもらってね。」
「じゃぁ、俺たち全国ネットで見られてるのかっ!」
そう言ってテレビの場所を探す素振りを見せるタイキ。
「ほら、ふざけてる場合じゃないわよ!ロード・オブ・デスが来るわ!」
銀の槍をみなのほうへ突き出してきた…が、速度増加を得た五人に、もはややつの攻撃など当たらなかった。と、その時。
「おい、聞こえるか?」
どこからか真吾の声が聞こえてきた。
「おじさん!待ってたよ!!」
アキトはほっとした声をもらす。
「誰だ、この人?」
タイキがロード・オブ・デスの攻撃を避けながらアキトに尋ねた。
「この人は……」
「いいか!少年少女たち!全国の9割の人間がテレビで君たちの活躍を見て力を貸してくれる!今からそのバケモノに視聴率89,6%の非常に重ーいデータを流す!その間だけ黒い粒子の発生と再生、そしてやつ本体の動きを止められる!その間にロード・オブ・デス本体を破壊してくれ!」
「どのくらいの時間止めていられる?」
速度増加で余裕のできたナオヤが真吾に問う。
「わからないが10秒は無理だろう。そいつはもう電子情報を大量に吸ってデータ処理速度も半端ではなくなっているはずだ。だからタイキ君といったか?」
「あ、はいっ!」
背筋を伸ばすタイキ。
「君の弓のダブルストレイフィングで破壊するのが確実だ。他のメンバーはロード・オブ・デスの周りに散って、本体をいち早く見つけてくれ!チャンスは一度だけだ!」
「わかったぜっ!」
「わかった!」
「わかったわ!」
「は~ぃ!」
「ういうい!」
力強く頷くラグナレク騎士団のメンバー。真吾も大きく頷いた。
「よし!カウントダウンだ!5!」
「4!」
タイキはその場で深呼吸し、ゆっくりと弓を引いた。
「3!」
他の全員がバラバラに散らばり、ロード・オブ・デスの周りをぐるぐる回る。
「2!」
「1!」
「データ送信!!」
真吾がそう言った瞬間、ロード・オブ・デスを覆っていた黒い粒子が運動をやめ、サラサラと引いていった。供給される粒子も一時的に止まる。だんだん、小さくなっていく
ロード・オブ・デス。と、その時……
「タイキ!見てぇ!あれじゃなぃ?!」
そう叫んだのはレイだった。急いでレイの方へ泳ぐタイキ。レイの指差す方向には、黒い粒子が下に落ちていく中に赤く光るものがあった。
「ダブルストレイフィング!!」
タイキはそれに目掛けて矢を放つ。それは徐々に加速していき、真っ直ぐ狙い通りの方向へ飛んでいった。その間に、その赤く光るものは黒い粒子を剥がされて姿を現した。赤い球状の一つ目のモンスターだった。見たことも無いが、おそらくこれがロード・オブ・デスの本体だろう。やつの目の前にはデータを処理している時に出る砂時計があった。
真っ直ぐ向かってくる矢を、大きく目を見開いて恐怖の色と共に見ている。
「いっけええええええええええええええええ!!」
タイキが、ラグナレク騎士団のメンバーが、管制室の人々が、真吾が、テレビを見ている人全員がそう叫んだ。みなの思いをのせて、タイキの放った矢は真っ直ぐ進む。と、その時、ロード・オブ・デス本体の前の砂時計が消えた。必死に矢を避けようとする。しかし……
「ズパアアアアアアアアン!!」
凄まじい音と共に見事タイキの放った矢は命中する。
「グオァァアァアァァ!!」
醜い奇声を上げ、ロード・オブ・デスは粒子となって消え去った――。
 ここはラグナレクオンライン本体。数万に膨れ上がったモンスターたちは、ロード・オブ・デスの終焉と共に粉々に消え、粒子となった。そして、あの黒い粒子に隠れていたパソコンが姿を現す。パソコンは、あまりに巨大なデータを一度に処理しようとしたためか、はたまた自分の分身であるウイルスモンスターが破壊されたせいか、煙を上げてオーバーヒートしている。そして、静かにパソコン画面にひびが入った。ピキピキとそれは大きく広がり始めたが、最期にとある文章を画面に打った。
「I Feel Sad……Just, I Feel Sad……」
そしてパリンと乾いた音を立てて液晶部分が割れる。そして、その割れた部分はラグナレクの電子世界の中に粒子となって溶け込んでいった――。



 ―真吾はネットサーフィンが大好きだった。暇さえあればインターネットを繋げ、いろいろなサイトを見て回るのが日課であった。そんな彼は、今は使われていないホームページで、マザーというファイルを見つけた。真吾がそれを興味本位に空けてみると、中には、昔世界で流行ったオンラインゲームの組成情報からなにからが全て入っていた。真吾はそのすばらしさに惹かれ、それを独自に改良して、実体感オンラインRPG・ラグナレクオンラインとして復活させた。新感覚のこのゲームはすぐに日本中を魅了し、多くのファンを持つ、巨大なゲームとなっていった。真吾は会社を立ち上げ、年収数十億をたたき出す大手会社へと変貌させた。
 しかしそんな時、真吾はある事に気づいた。発見したファイルの中で、どうやっても絶対に開けられなかったプログラムを偶然開くことに成功した。すると、その中には、なんと人工知能を持ったプログラム・マザーがいた。彼女は真吾に日本語で語りかけた。しかし、真吾はそれをすぐに閉じてしまった。人工知能――人間にとって、便利でありその反面脅威でもある道具。真吾はマザーに話しかけられたとき、後者を頭に悟らされた。そして、彼は一切のラグナレクプログラムを中止し、マザーごとフォルダを消し去った。今回の事件は、まだ生き残っていたマザーが起こしたものである――。
 今回の事件を振り返って、真吾は、マザーの脅威を改めて悟った。と、同時に、彼はマザーの良い部分も悟ることができた。古くに自分がいたラグナのプログラム。それを動かして、起動させた彼女には、明らかにラグナのゲームに対する並々ならぬ思いを感じられたのだ。そして、真吾は思った。
―マザーは寂しかったのではないか―
と。せっかく自分に発見してもらい、一生懸命ラグナ世界の成長を見守ってきたはずの彼女が、自分の思い一つで削除されたことに対する寂しさの表れではないか、と――。



 ――そして、マザー暴走からちょうど5年の月日が流れた。



 手に巻いてあるポスターを持ち、たくさんの記者団の前に颯爽と姿を現したのは、真吾であった。少し老けた感じもするがまだ若い。
「えー、みなさん。今日はあの事件からちょうど5年目になるわけですが……」
ゴクリと唾を飲む記者団。静かに次の第一声を待っている。
「ついに、完成しました!本日発売のその名も……」
そう言ってポスターを開く真吾。そこには、復刻!!最新作オンラインRPG!と書いてあった。
「”ラグナレクオンライン マザーズ”!ゲームの概要はですねー、前とほとんど同じですが、新たに新マップや新モンスターを配置して、さらにはケータイと連携して連絡を取り合えるという……」
真吾は得意げに説明を始めた――。




「いってらっしゃい。」
「初出社だな、胸を張れー、大輝!」
「兄ちゃんいきなりクビにされんなよっ?」
家族の励ましを受けて玄関先を出ようとする大輝。その姿は真新しい青いスーツを着ている。
「わかってるってよっ!それより、優輝、あんまオンラインゲームばっかやんなよ?目悪くなるぞ?」
中学生になった優輝は大輝の言葉にあっかんべーをした。
「兄ちゃんだってずーっとやってたじゃんかー。俺もやるもんね~。」
大輝はたまらず苦笑いする。
「さぁ、大輝。遅刻するわよ。」
お母さんが優しく大輝の背中をポンと叩いた。
「んじゃ、行ってくる。」
「いってらっしゃいー。」
「お母さん、今日はここで夜食うからカレーよろしくっ!」
「はいはい。」
 玄関を出た大輝は空を見上げた。透き通るような青い空に、白い雲と太陽が絵のように浮かんでいる。
「さってと~。いきますか~!」
そう言って元気良く庭先を出る。そして、黄金に輝く太陽に向かって走り出した――。






 ――え?何の職業に就いたかって?他のメンバーはどうなったかって?





  それは想像にお任せします^^

 大輝たちはそのままゲーム関連の会社に就いたとか、普通の会社に就いたとか、まだゲームをやっているとか、やめてしまった、とか……

 これから先のストーリーはみなさんの頭の中で――作り上げてください^^




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