HTO、変態ティーチャー大田正道①
作・松尾大生
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「良いドラマだぜ」
と男はAmazonprimeビデオで、GTO、グレートディーチャ鬼塚を観ながら、呟いた。
薄暗い部屋には媚薬の香の煙が、たゆとうている。
その煙の向こうでは、汗が玉となりながれ、ぬめる肌に麻縄や鎖の食い込んだ美女が三名、天井に張り巡らされた鉄骨から、吊るされていた。
「園子」
と男は女の一人に話しかけた。
「はい、ご主人様」
と園子は疼くように苦し気な音色の濡れた声で応えた。
「園子お前、たしか、北新学園の理知長だったよな?」
「はいご主人様。去年、父が亡くなりまして、園子が引き継ぎいたしました」
「だべ?」
と男はうなずく。
「明日から、俺も高校教師になるからな。教員免許はもっているからよ」
「かしこまりましたご主人様。採用させていただきます」
「俺も今の日本の教育には、問題山積と感じている。新しい形の教師が必要だ。これも、社会貢献だ。園子、ご褒美だ。受けとれ」
男は一本鞭で園子の背中を打った。
鞭が風を切る音。香の煙が割れるのと同時に園子の喜びの悲鳴。
「あり後藤ございます、ご主人様」
男の名前は太田正道。男女問わず、SMプレイ調教を生業とする調教師であった。
顧客は政治家から、大手企業経営者、警察幹部、会社員、学生、極道にいたるまで多岐に渡っている。
正道は四つん這いの姿勢で人間椅子になっていた中年男から立ち上がると、
「お前らに与えてきた愛を、教育現場に生かす時、だ」
と、ひとりごちた。
北新学園は、二つの大学と二つの高等学校をようするこの都市で最大手の学校法人である。
翌日、ジャケットの内側に7つ道具を携えて初登校した。
市内では文武両道で名前の通っている北新高校の校舎の前に立ち、
「新しい俺の小鳥たちと対面だ」
北新高校に嵐が訪れたことを、生徒も父兄も、まだ、誰もしらない。
つづく