平和主義宣言!!レッドの小部屋

平和主義宣言!!レッドの小部屋

小説なんて書いちゃう??



 まだタイトルは未定です。

ー毎日毎日、朝早く会社に行って、真っ暗になってから帰宅する。
毎日毎日、頭を下げて、くたくたになって。
俺の人生、これでいいのか??
俺の人生、このまま終わるのか??
毎日、そんな疑問でどうしようもなくなる。
でも、俺には、この生活から逃げ出す勇気もなければ、他の人より秀でた才能もない。
平凡な俺は、毎日毎日繰り返しの日々に満足するしかない・・・。
そうやって自分をなだめ、そうやって自分をだます。
平凡が一番だ。
きっと、普通の人と結婚して、2人くらい子供が産まれて、普通のお父さんになって、普通のおじいさんになる、普通に仕事して、年相応に昇格して・・・。
俺は、そうなると思ってた。その人生に満足するしかないと・・・。
あいつを、拾うまでは・・・。

「何でこんなに寒いんだよ~・・・。」
会社の帰り。もう、時計は12時を指している。
会社まで、電車で1時間30分。
毎日毎日、満員電車に揺られ、もみくちゃにされて、へとへとになって会社に行く。
こんな田舎に住んでいては、しょうがない事なのかもしれないが・・・。 
頭を下げてばかりの毎日に、疲れと共に、『慣れ』が出てくる。人間、慣れてしまえば終わりだろうと、わかってはいるのだが・・・頭を下げることにいちいちイヤな気持ちになっていては、身が持たない。
俺が、頭を下げて解決するなら、簡単な物である。

はぁ~と吐き出したため息が、白く姿を現し、消えていった。
今日は、特別月がきれいだ。
駅からは、徒歩三分の所に家がある。
親父とお袋が残していってくれた、一戸建ての家。
・・・たった一人で住むには、広すぎる家。
俺に、家族と呼べる人たちがいた時間は少ない。
だが、やっと出来た俺の家族は、たくさんの思い出を残してくれた。
楽しいことばかりではなかったが、俺には今まで生きてきた中で、一番大切で、一番幸せな時だった。
たった一人で住むには広すぎるこの家は、俺の大切な思い出がいっぱい詰まっている。
・・・一人でだって住んでいられる・・・。
俺には、守らなければいけないものがあるから・・・。

たった三分の道のりも、疲れ切った足は重く、引きずるようにして歩く俺には長い道のりだった。

犬や猫でも飼えば、早く家に帰ろうと思うのだろうか??
人に頼まれる残業を、断る理由になるのだろうか??
俺には、まだ飼う勇気は無いのだが・・・一人、残されるのはもうごめんだから。
やっと慣れた一人だ。
また、あの一人になる恐怖を味わうくらいなら、はじめから一人でいればいいと分かったから。

そう思う、全てに疲れた俺に、神はそんなに優しくなかった。

「何だ?」
やっと見えた、真っ暗な我が家の玄関先に青い塊が転がっている。
ゴミでも捨てられたのだろうか?
人様の玄関先にゴミを捨てるとは、なんて非常識な人がいるのだろう。
くたくたに疲れきった俺に、さらに追い打ちをかけるなんて・・・。
「勘弁してくれよぉ~」
あまりのことに、ひどく情けない声が出る。
しかしそれにしても、近づけば近づくほど、大きな塊である・・・。
「ん?んんん??」
家の前に付いた俺には、この青い塊は、どう見てもゴミには見えなかった。
とりあえず、ポケットから家の鍵を取り出し、中に入り外灯をつけた。
そして、もう一度青い塊をみた。
外灯に照らされたそれは、俺には大きな人形に見えた・・・。
おそるおそる、顔に触れてみる。
・・・柔らかく・・・暖かかった・・・。
俺の頭の中は、真っ白で、何がなんだか理解が出来なかった。
何故、人形が暖かいのか??・・・人間だから??
暖かいのだから、生きてるんだ。良かった、死体遺棄じゃなくて・・・。
ん??・・・そうか、生きてる人間なんだ。
やっと、頭の中が整理できてきた。
「君、大丈夫かい?」
反応は全くない。
「き、君??大丈夫なのか??」
体を大きく揺さぶってやる。
「ん~・・・」
青い塊から出た声は、若い男の声だった。
「君、大丈夫なのか??救急車呼ぼうか??」
俺は、情けないほどに狼狽えていた。
いくら、教習所で意識のない人への対応を教えてもらっていても、もう5年以上も昔の話しだし、現実に起こると何をすればいいのかなんて思いつかないし、それ以前に体が動いてくれない。

また、青い塊は反応を示さなくなってきた。
俺は、ふるえる手で青白い頬をぺちぺちと叩いた。
「おい、君!!聞こえるか??今救急車呼んでやるからもう少し頑張るんだ」
俺は、携帯を出すために、武装している戦闘スーツの内ポケットを探った。
「・・・救急車なんて待てない・・・」
蚊の泣くような声とはまさしくこのことを言うのだと言うような、小さな声が青い塊から聞こえてきた。
「・・・え!?待てないって?どこか痛いのか??」
誰だって、そう思うだろ??今まで意識の無かったやつが急に意識を取り戻して開口一番に「待てない」って言われたら。
それなのに、この青い塊はこう言ったんだ。
蚊の鳴く声よりは少し大きな声で。
「腹が減った」と・・・。

今、この家に俺以外の人がいる。何年ぶりだろうか・・・。
その何年ぶりかの、客の薄汚い少年はソファーに座り、がつがつと丼飯をかき込んでいる。
俺は、向かいのソファーに座って唖然としてしまっている。
信じられるか??
この、物があふれている世の中で、この薄汚い少年は「餓死」しかけたのだ。








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