小説喫茶・メル

小説喫茶・メル




次の朝、シルフィーは元気になり、いつものように学校へ向かった。

その後、ミハエル達と公園で落ち合い、魔法指導を始める。

「さあ、今日も頑張りますよ私!!」

昨日とは違い、本当に元気一杯のシルフィー。

そんな彼女に、ミハエルは真剣な表情で口を開く。

「・・・・・・シルフィー・・・」

「なんですか?」

「おまえ、このまま城に住まないか?」

「えっ?」

さすがに驚いた。

何故いきなりこんなことを言うのかと。

表情が真剣なので冗談にも見えない。

「その・・・家にいる時に昨日みたいに倒れたら・・・すぐに助けられないだろ?」

「・・・先輩・・・もしかして・・・?」

ある疑問、言ってなかった事を知られたとほぼ確信する。

「あぁ・・・昨日のことでわかっちまった、おまえに両親がいないこと……」

昨日、ミハエル達は彼女の家族へ連絡するために家を訪ねた。

しかし中は無人。

生活をしている雰囲気はあったものの、どうみても一人暮らしだとわかった。

その後学校に問い合わせた所、判明したのだ。

彼女は両親に捨てられた一人っ子だと。

エデン学院は学費などを取らない。

そのため日々の生活が精一杯の彼女でも通うことが出来た。

食事はともかく、服がボロいのもこのせい。

彼女の両親は行方がわかっていないため、連絡を取ろうにも出来なかった。

「・・・そう・・・ですか……」

少し落ち込むシルフィー。

出来れば知られたくなかったのであろう。

「だからさ、住みなよシルフィー、ハルおじさんやレナスおばさんみんな良い人だよ」

メルが薦めるように言う。

彼女自身ほとんど泊まっているので良くわかっているのであろう。

「でっでも……」

「生活費とかなら気にするな、一人増えたぐらいじゃなんも変わんないからよ」

あれだけの人数が住んでいるので、食費などは何も影響はない。

そのため一般市民が城に泊まりに来ることもざらである。

「じゃあその・・・・・・お言葉に甘えて……」

その返事に、ミハエルとメルは笑った。

彼等は心配だったので、断れたら彼女の家まで行くつもりだったのだろう。

「おっしゃ、それじゃ今日は風の魔法やるぞ!!」

「はい先輩!!」

シルフィーも釣られて笑う。

内心嬉しかった。

まるで、家族が出来たようで。

それから毎日、3人は公園にいた。

たまにメルの提案で買い物に行ったり、喫茶店でお茶をしたりと、楽しい毎日を送っている。

その様子はまるで兄弟のように、本当の家族のように。

シルフィーの魔法力も着々と上達していった。

着ている服も、メルが見立てた物ばかりで、何着かお揃いもある。

そして、2週間が経った。





「ス~・・・ス~・・・」

マルシアの部屋で眠るメルとシルフィー。

冬で寒いこともあって、二人仲良く同じ布団で寝ている。

部屋の主であるマルシアは、窓際の椅子に座り本を読んでいた。

珍しく夜更かししているようにも見えるが、実はまだ夜の10時。

メル達が眠るのが早いのだ。

それでもさすがに寝ようと思ったのか、本を読み終えたのか、ベットへと向かう。

その時

「・・・うっ・・・うぅ~・・・・・・」

突然、シルフィーが声を上げた。

とても苦しそうな声。

「・・・どうしたシルフィー?」

起きているかわからないが尋ねてみる。

しかし彼女は答えずに

「うぅ~・・・あぁああああーーーーー!!!」

叫び始めた。

「なっなに!?」

その声でメルが起きる。

横を見るとシルフィーが苦しそうに蹲っているので

「どうしたのシルフィー!?」

体をさすってあげる。

だが彼女は荒い息を立て、額に汗が見える。

「すぐにレイミを呼ばねば!!」

そう言い部屋を出ようとした時

「うっうわぁああああああああああ!!!!!」

「ぐっ!!」

「きゃあ!!」

ドンと、シルフィーから発せられた空気圧のようなもので吹き飛んだ。

壁に激突したが、すぐに起き上がる。

「何があった!?」

扉を開け、ミハエルが入ってきた。

その後にハル達大人組もやってくる。

「ミハエル!シルフィーの様子がおかしいの!!」

メルが泣きそうな表情でしがみついてきた。

言われた通りにシルフィーの方を見てみると、確かにおかしかった。

小さな体を、まるで凍えているように丸め蹲り、呼吸が荒い。

「おいおい・・・まさか前のが関係あるんじゃないだろうな?」

「でも・・・あの時診た時は何も異常はなかったはず……」

ハルの疑問に戸惑うレイミ。

きちんと調べたので大丈夫のはずだと。

「くっ・・・うぅ~・・・・・・」

シルフィーが再び声を上げると

「なっなんだよ・・・あれ・・・?」

彼女の背後に、一つの影が浮かび上がっていく。

その姿は、剣。

禍々しいオーラを放ち、紫色の煙のようなものに包まれている。

だが剣はそのまま浮き上がったと思うと

「・・・・・・奇怪な……」

ゆっくりと消えた。

その瞬間、シルフィーは力が抜けたように気を失った。
















© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: