小説喫茶・メル

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アラスタ王宮の会議室

普段は滅多に使われないこの場所が、今開放されている。

話している内容は、勿論昨日の出来事について。

「悲剣?」

聞き覚えのない単語にポカンとなるミハエルやメル。

「えぇ、遥か昔、まだハルさん達も生まれていない頃、この国に三つの神器が誕生しました」

彼等に今話しをしているのは、メンバーの中で一番の高齢者、ナルク。

年はとっているが容姿や体格はほぼ変わっていない。

相変わらずキセルを片手でクルクルと回している。

「ハルさんのフレズベルク、レナスさんのセイレーン、そしてマルシアさんのクライシス」

言われた3人は各々自分の剣を見つめた。

いつも扱っている相棒を。

「この3本は、ある一人の鍛冶職人によって作られたと言います」

「まぁさすがに剣が勝手に出てきたら怖いけどな……」

などと妙な意見を言うミハエル。

それを聞きナルクは続ける。

「その内の一本、ハルさんのフレズベルクと、ある剣が神器の候補の最後でした」

話しから察するに、神器は数ある名刀より選ばれたものだと理解する。

メル以外だが。

「その時選ばれなかったのが、恐らくシルフィーさんに宿っているものでしょう」

「・・・・・・名前は?」

壁際で腕を組みもたれているマルシアが真剣な面持ちで言った。

クライシスを持ち、尚且つシルフィーが一度倒れた時に真っ先に立ち会ったので、気になるのであろう。

他の皆もナルクの言葉をただ待つ。

「私と同じ代の人は、当時のその剣を【ヴィゾフニル】と呼んでいます・・・元々名前がなかったものでしたからぁ」

語尾のせいで多少緊張感が抜けたが、真剣なムードは変わらなかった。

フレズベルクに負け、選ばれなかった剣、ヴィゾフニル。

「でも、そんなものがうちの倉庫に保管してあったなんて・・・」

「それに妙じゃねぇか、どうして剣が勝手に動いて、しかもシルフィーに憑依かなんかしたんだ?」

レナスとハル、それぞれの疑問を同時に言い放つ。

倉庫事態滅多に行かない上に、行ってもすぐに戻るから気付かない。

仕方なくもあった。

「詳しいことはわかりませんが、剣が自我を持っていて憑依したか、もしくわ裏で誰かが糸を引いているのかもしれませんねぇ」

そんな大人達の会話を聞いていたミハエルが

「・・・どうやったら」

静かに口を開いた。

「どうやったら、その剣はシルフィーから出て行くんだ?」

彼にとっては、まずそこだった。

ヴィゾフニルがどんな力を持っていて、何が目的かはわからない。

だがそれよりも早くシルフィーを元に戻したい。

それが最優先。

「そうだよ、このままじゃシルフィー、またうなされちゃうよ!!」

メルも同じ気持ち。

まだ彼女の頭には、苦しむシルフィーの姿が出てくる。

「そうっすね~・・・」

それを聞いたナルクは、しばし考え

「とりあえずレイミさんともう一度良く診て見ますよぉ、情報が少なすぎますからねぇ」

「そうですね」

そう言い、ナルクとレイミは席から立ち上がった。

「じゃあ俺らもいろいろ調べてみるか、ミハエル、メル、お前等はシルフィーの側にいてやれ」

ハルもそう言い部屋を出て行く。

そうして一同はひとまず解散した。





王宮の広い庭

冬なので花などは見られないが、天気の良い日は清々しい気分になれる。

レナスはそこの噴水近くのベンチに座っていた。

「まさか神器にそんな歴史があったなんて・・・・・・まだまだ勉強不足ね・・・」

一人ヴィゾフニルについて考えていた彼女の元に

「良いからちょっとこいっての!!」

「いててて!!引っ張るなっての!!!」

スイが一人の少年を連れてやってきた。

じたばた暴れる彼の腕を掴んでいる。

「スイ、どうしたのその子・・・・・・!?」

顔を見た瞬間、驚いた。

「レナスおばさん!あんたならなんか知ってるだろ!?」

スイが珍しくあたふたしているので、冷静さを取り戻す。

そしてもう一度、少年の顔を見る。

「・・・ロイド・・・なの?」

容姿、髪型、体格までもがそっくりだった。

スイも知っているので、慌ててここまで来たのだろう。

何故ロイドそっくりの子がこんなところにいるのかと。

しかし少年はそんな二人を気にせずに

「えっ!?お姉さん父さんを知ってるの!?」

目をきらきら輝かせて叫んだ。

その姿までも、以前のロイドに似ている。

「・・・あっ・・・」

レナスはあることを思い出した。

かなり前のことなので奥にあった記憶を呼び覚ます。

「えっと、もしかして君、クレイさんって知ってる?」

「あぁ!クレイさんは父さんの親友だからな!!お姉さん二人の知り合いなの!?」

(やっぱり……)

確信になった。

そして念のためと、もう一つ尋ねる。

「君はもしかして・・・ロイドの・・・」

「そうだ!ロイド・アーヴィングの息子、カイト!よろしくお姉さん!!」

少年、カイトは元気良くそう叫んだ。

それを聞いたスイは思わず目を丸くする。

「ちょっと待て!師匠の子供は確か・・・んぐ!!」

最後まで言う前にレナスに口を塞がれた。

「ごめんスイ・・・ちょっと席を外して……」

「はっはぁ・・・?」

小声で話しをする二人をじーと見ているカイトだが

「おい」

「いて!!」

後ろから頭を叩かれた。

振り向くとそこには

「セツナ!おまえどこに行ってたんだよ!?」

彼と同じぐらいの少年がいた。

その姿が

「まさか・・・」

ゼロスにそっくりだった。

スイも驚きつつ、その場を去る。

「俺の台詞だ、あんまり世話焼かせるなよ」

「うっうるせぇ!!変な人に拉致されたんだよ!!」

「おまえな~・・・そんなんじゃカリンに笑われちまうぜ?」

「カッカリンは関係ないだろ///!?」

そんな会話をしている二人を見ていると、思い出す。

(二人とも・・・昔のロイドとゼロスにそっくりね・・・)

苦笑しながらそう思っていると、二人は彼女の方を向いた。

「あんた、レナスさんだろ?」

「えっ?」

セツナが知っていることに少し驚く。

「話はロイドさん達から聞いてる、昔ルミスさんと一緒に助けてくれたんだってな」

淡々と語る彼の話をまじまじ聞くレナス。

嬉しさや戸惑い、それらが混ざったような気分だった。

「いやぁ~噂に名高い美人、今度是非お食事でも?」

「あははは・・・・・・(ホントゼロスそっくり……)」

「なんだよ!俺そんな話聞いてないぞ!?」

一人知らなかったのでむくれるカイト。

セツナに比べるとやはり子供に見える。

「おまえが馬鹿だからじゃねぇの?」

「頭は関係ないだろ!?」

などと言い合ってる時、ドーンと王宮より激しい音が鳴り響いた。

「!?」

慌てて後ろを振り向き、様子を伺うと、手前の部屋、マルシアの部屋が少し壊れている。

マルシアの部屋、そこで眠っている

「シルフィー!!」

思わずレナスはそう叫んだ。
















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