小説喫茶・メル

小説喫茶・メル




庭に置いてきぼりになったカイトとセツナ。

「・・・どうするセツナ?」

あまり頭の良い方ではないカイトは、こういう時の判断はセツナに任せている。

たまに馬鹿なりに考えるがあてにはされない。

「遊び気分で来た異世界がここってことは、運命かなんかのいたずらだろうな」

すぐに結論は出さずに話すので、頭を悩ませるカイト。

「やばそうな雰囲気だから、とりあえず今は待機だ」

「OK~」

指示を出され、二人はその場を去った。





「みんな大丈夫!?」

マルシアの部屋に慌てて駆けつけたレナスは、目を疑った。

「ヴィゾ・・・フニル……」

あの剣が、再びシルフィーの背後に現れているのだ。

彼女は気絶しているのかぐったりしている。

「ナルクさん、これは一体?」

側で診ていたナルクとレイミの方を向き尋ねた。

「シルフィー!おいシルフィー!!!」

「返事してよシルフィー!!」

ミハエルとメル、二人は精一杯の声で叫ぶが、シルフィーはピクリとも反応を示さない。

じっと険しい顔つきで見ていたナルクが、静かに口を開く。

「対策を練ろうとした矢先・・・やはり剣自信が自我を持っているとしか思えませんねぇ~・・・」

そう言った途端、シルフィーと剣は宙に浮き上がった。

そのまま壊れた壁から外に出、上空へと上昇する。

「シルフィー!!」

ミハエルはそれを追うように飛び出した。

背中より悪魔の羽根を生やし、急上昇する。

メルもそれに続き、飛ぶ。

「おいおい何事だ!?」

ようやく駆けつけたハル達。

詳しいことはわからないが、まずい状況だとは皆すぐに理解出来た。

「・・・ヴィゾフニルを抑えましょう、どうも嫌な予感がするんすよ~・・・」

ナルクのそれを聞くと、一同はコクっと頷き上空へ飛んだ。

羽根のないレイミはその場で待機。

そしてミハエルとメルがシルフィーのすぐ近くまで行くと

「なんだ!?」

突如、彼女の周りから小さな紫の玉が無数に出現した。

ふわふわと浮かぶそれらは、パリーンと割れる。

するとまるで卵から孵ったかのように、たくさんの鷹が現れた。

その数は100を越える。

すべて紫で同じ形、とても気味が悪かった。

唖然としているミハエル達を余所に

「カァアアアア!!!!」

鷹達は雄たけびを上げ、飛び散った。

その方向は、城下町。

「ッ!まずい!!マルシア!スイ!」

ハルは近くにいる二人に叫んだ。

それにすぐさま反応する。

「お前等の部隊をすぐに出撃させろ!町のみんなを守るんだ!!」

「了解!!」

二人して答え、羽根をはばたかせ城へと戻る。

「シルフィー!!」

ミハエルは右手に水の剣を出現させ、腕に纏う。

それを構え、彼女へと突撃する。

「この剣さえなければ!!」

彼女の背後にある剣へと切りかかろうとしたが

「ッ・・・ぐあっ!!」

触れる前に、謎の壁のようなものに阻まれ弾かれた。

あまりの勢いで吹き飛ぶ。

「ミハエル!!」

すぐにメルが側へと駆け寄る。

するとそこに数匹の鷹が迫ってきた。

「くっ!!」

慌てて朱雀の刀、息吹を出現させる。

彼女の髪と羽根が紅く燃え上がった。

迎え撃とうと構えた瞬間、ザシュザシュザシュと斬撃音が鳴り響く。

「あっ!パパ!!!」

彼女等の前に現れたのは、彼女の父親カムル。

氷の刀を片手に持ち、足元には蒼い雲のようなものがある。

どうやらこれで浮いているようだ。

「未知の物に不用意に突っ込むのは危険ですよミハエル」

「カッカムルさん・・・」

メルに支えられながら起き上がる。

幸いにもダメージの程はなかった。

その頃地上では

「うわぁああ!!!」

町人が大量の鷹に襲われていた。

中には武器を持って戦っている者もいるが、ただの一般人なので敵うはずもない。

竹の槍で応戦していた男性の背後に一匹の鷹が迫る。

一太刀、剣で切り裂かれたような音が聞こえた。

恐る恐る背後を見ると

「マッマルシア様の空中部隊!!それにスイ様の陸上部隊まで!!」

マルシア、スイが互いに背中合わせで構えていた。

その背後には女性の悪魔兵、男性の悪魔兵が大勢いる。

女性の方は皆羽根を生やしており槍や弓を装備。

男性は剣を主体に身構えている。

「全軍、皆を守れ!一人たりとも犠牲者を出すな!!」

「御意!!」

マルシアの号令を合図に、兵達は散り散りに鷹を迎え撃った。

そんな彼女に無数の鷹がやってくる。

激しい雄たけびと、鋭い爪を立てて襲ってきた。

【真・桜乱舞】

だがわずか数秒、すべて切り刻まれ叩き落される。

周りにはまだかずかに彼女の残像が残っていた。

「うじゃうじゃ鬱陶しいんだよてめえら!!」

スイの周りに集まっている鷹達。

「リッドさん直伝!!閃空裂破!!!」

彼の黒刀による回転切り、華麗に舞う剣撃により鷹達は力なく落ちていく。

たくさんの血と羽根が飛び交う。

その少し上空では

「水刃」

無数の水の刃で鷹を倒しているルミスがいた。

周りにはかなりの数がいるが、彼女は無傷。

鷹の攻撃はすべて彼女の水の衣によって阻まれていて通らないからだ。

「巻き起こりなさい、水の渦よ」

彼女の声に反応し、衣が弾け飛び、散る。

そして鷹達の足元に行くと、それが一気に渦となり舞い起こった。

大渦は鷹達を飲み込み切り刻んでいく。

だが、難を逃れた一匹が彼女へと迫った。

「!?」

急いで身構えた時

「白虎!!」

「おうさ!!」

ドーンと、鷹が白き波動により打ち落とされた。

「いやぁ~危なかったすね~ルミスさん」

ナルクである。

彼の肩には先程波動を撃った白虎と、玄武が具現化していた。

「ナルクさん、前線に出るのはお久しぶりですね」

「そうっすね~、もう若い方の時代ですから~」

会話をしつつも、二人は周りを警戒している。

まだかなり数の鷹がいるからである。

「ふふっ・・・本当なら私やハルより強いのは知っているのですよ?」

「誤解っすよ~、こんなどこにでもいる駄菓子屋のおじさんなんて」

そう言い、向かってきた一体を

「まっ!」

一本の鞭で叩き落した。

「まだそれなりには戦えるつもりっすけどね~」
















© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: