小説喫茶・メル

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一番左のフロア

目の前にいる相手に驚きつつも、臨戦態勢で身構えている。

「まさか、あんたが蘇えってるとは思わなかったよ」

彼を殺すような目で見つめてくる男

「ふふふっ・・・レナス王妃は元気かい?」

イアン・ミラント。

かつて、レナスによって倒された男。

ツバキの兄であり戦闘興、その男が彼の前にいた。

鋭い目つきは、まるで獣。

「あぁ、あんたを倒した時よりさらに強くなってな」

お互いに様子を伺いつつ、話を続ける。

「そうか・・・じゃあ君の力も、期待出来そうだね」

それを破ったのは

「殺し合おうか、ミハエル君」

イアンだった。

表情ががらっと変わり、豹変する。

「・・・ツバキさんは【喧嘩】って言うんだけどな・・・・・・」

兄弟の違い、それを感じつつも向かってくる相手に備える。

右腕に水を発生させ、剣に変換。

鋭水剣となり纏った。

その間イアンは背中より悪魔の羽根を生やし、ミハエルの目の前まで来て急上昇する。

「挨拶代わりだよ」

彼がそう言うと、足元に星のような物が出現。

様々なオーロラのようなそれは、一斉に流れ星となって向かってくる。

「・・・・・・」

ミハエルは無言でそれらをかわしていく。

ドンドンドンと、流れ星は地上に激突すると爆発した。

ザザザと地面を擦り止まる。

「やっぱりレナスおばさんと戦った時とは全然違うな」

鋭水剣を崩し、自分の周りに纏う。

泡となりプクプク浮いているが、やがて鋭い刃へと変わっていく。

「水刃!!」

無数の水の刃がイアンに向けて放たれた。

「甘いよ」

片手を前に出し、薄い青色の光を発生させる。

それはバリアとなり、水の刃をすべて受け止めた。

水は力無く消滅し地面にピチャピチャと音を立て落ちる。

「ちっ・・・話に聞いてた通り、魔法力は相当なもんだな・・・・」

レナスから聞かされていた事とは言え、いざその力を体感するとまた違う。

イアンは今まで見てきた悪魔の中でもかなりの魔法力の持ち主だった。

そのため彼が魔法系と判断出来る。

同じ魔法系であるミハエルにとって、これほど勝負がつきにくい相手はいない。

だが彼には

「風水裂破で・・・一気に決めるか」

ルミスの水を合わせた、とっておきがある。

並の相手なら跡形も無く消え去る奥義。

そのため人に放つことは禁止だが、この男に関しては例外だった。

まず強い、その上一度レナスに倒された存在。

彼自身個人的な恨みはないが、殺す気で行かないと倒せないとわかったからだ。

「どうしたんだい?何も仕掛けてこないなら、またこちらからいくよ!!」

不敵に笑い、両手に炎を発生させる。

凝縮し、一気にそれを

「シャドウフレア!!」

放った。

黒き禍々しい炎が、ミハエルへと迫る。

彼はそれを、まともに受けた。

炎に包まれ辺りは炎上する。

「ははっ、避けることも防御することもしないとは」

鼻で笑っていたイアンだが

「・・・なっ!?」

驚かされた。

ミハエルが、炎を受けているというのに突っ込んでくるからだ。

服も背中の羽根も燃えている。

それに怯まず、両手に力を込めた。

片手は水、もう片方は風。

「残念だけどな、炎ならうちの相方のせいで食らい慣れてんだよ!!」

両手を合わせると、激しい渦が巻き起こる。

「くっ!!」

先程のようにバリアを出現させ

「風水裂破!!」

それを防いだ。

バチバチバチと音が鳴り、ぶつかり合う。

(なんだ・・・この威力は・・・?)

強い、そして重い。

そのためじりじりと押されていく。

「こうなったら・・・」

体をクイっと捻り、ミハエルごと

「!?」

受け流した。

大渦の力を持ったまま、ミハエルは彼の後ろへと流される。

「終わりだ!!」

すぐに振り向き、無防備な彼目掛けて魔力を解き放とうとする。

しかし

「この・・・野郎!!!」

凝縮された大渦を、投げた。

勢い良く真っ直ぐに向かってくるそれを、防ぐことも避けることも出来ないイアンは

「ぐっ・・・あぁああああああああああ!!!!」

直撃した。

激しい竜巻が発生し、彼はそれに切り刻まれる。

周りに暴風が巻き起こり、やがてそれは静かにおさまっていく。

「・・・へっ、もう一回あの世でロイドさん達にしばかれてこい!」

そう言い放つ先に、イアンの姿はなかった。

跡形も無く、消滅したのだ。

「けど・・・穴埋めか時間稼ぎか知らねぇが、やっぱりカオスのやり方は・・・間違ってる……」

呟き、その部屋を出て行った。





その隣のフロアでは、不知火とアリアが、ルシアンと対峙いている。

「ぐあっ!!」

「不知火さん!?」

ルシアンに腹を蹴られ、勢い良く壁に激突した不知火。

ドンと音が鳴りその場に尻をつく。

「ルシアンさん!どうしちゃったんですか!?」

理性を失ったように攻撃してくる彼女を見て、アリアは驚きを隠せない。

そんな彼女を落ち着かせるために、不知火は立ち上がった。
















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