小説喫茶・メル

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ゆっくりとアリアの前に出、ルシアンに向き合う。

その表情はただ一点、彼女を見つめている。

「アリア」

振り返らず呟く、落ち着いた様子で。

「手ぇ出すなよ」

「・・・・・・」

内心不安だった。

先程彼が吹き飛ばされた時も、ルシアンを少し睨んだ。

様子がおかしいとはいえ、許せない。

だからこそぐっとこらえた。

不知火はルシアンの目の前に行き止まる。

何もせず、立っていた。

「・・・・・・」

そんな彼を彼女は容赦なく攻撃する。

顔や体、殴られたり蹴られる度に鈍い音が鳴り響く。

「・・・ッ・・・」

アリアは唇を噛み締めていた。

反撃もせずにやられ続けている彼を見るのが辛い。

だが手出しが出来ない。

その時、ルシアンの勢いある回し蹴りが彼を吹き飛ばした。

壁に激突し激しい音が鳴る。

「不知火さん!!」

彼の方を向いたが、すぐに体を彼女の方へ向けた。

「いくらルシアンさんでも・・・もう許さな!!」

「アリア!!!」

「ッ!?」

ビクっとなり、右手に出現させた光の弓を消した。

見ると、不知火が静かに立ち上がっている。

「手ぇ出すなって、ゆうたやろ」

「でっ・・・でも・・・」

不安がり泣きそうな表情で見つめてくる彼女の頭を

「大丈夫や」

ポンと叩いた。

そのまま通り過ぎ、再びルシアンの前に行く。

「もしルシアンさんが本気で、俺を攻撃してたらなら、俺は今頃気絶してるわ」

そう言う間にも、彼女は不知火を攻撃し続ける。

「けど・・・そうならんってことは・・・無意識の内に手加減しとる・・・・・・」

どれだけ殴られようが蹴られようが、彼は倒れない。

真っ直ぐと、彼女を見つめながら話す。

「心まで・・・支配されてないって証拠や・・・・」

そう言った矢先、先程のような蹴りが、今度は前蹴りとなってやってくる。

しかし今回はまともに食らわずに受け止めた。

両手でガシっと、彼女の足を掴む。

「もう・・・・やめようや、俺これ以上・・・」

ルシアンを見つめていた彼の表情が、初めて辛そうになった。

そのままトーンの落ちた声で言う。

母親が苦しむの・・・見たないねん……」

彼の言葉に、アリアは心打たれそして

「・・・しら・・・・・・ぬい・・・」

そう言い残し、ルシアンは倒れた。

力無く倒れこんだので、立ち上がる気配はない。

「・・・・・・アリア・・・」

「・・・はい・・・」

「ルシアンさんを頼むわ・・・俺は・・・神楽の様子を見てくる・・・」

「・・・わかりました」

交わし、アリアはルシアンの元へ。

不知火は走って、部屋を出た。

「・・・・・・母親か~・・・」

ぽっつりと自分の両親の姿を思い出していたが、すぐに振り解く。

涙が出そうになるからだった。





急いで元の大広間に戻ってきた不知火。

そこでは神楽と動物達が、たくさんの竜と戦っている。

「神楽、無事か?」

確認しようと彼女に声をかけた時、隣のドアが開いた。

「おっ、不知火じゃねぇか」

ミハエルが出てきたのだ。

多少ボロく焦げたジャケットをはたいている。

「不知火!ミハエル!!引き返してきたんか!?」

戦いながら尋ねる神楽。

彼女は動物に指示を出しながら、竜の攻撃を避け続けている。

だが返答が帰ってくる前に、バタンと真ん中のドアが開く。

3人はその音に反応し向いた。

そこには

「・・・はぁ・・・・・・くはぁ・・・・」

両手を膝に置き息を切らしているレイミがいた。

その様子は普通ではない。

「レイミ、どうしたんだ?」

思わず尋ねたミハエル。

それに反応したレイミは、すぐさま彼の両腕を掴んだ。

「たっ・・・大変なの!!!」

血相抱えて叫ぶ。

ミハエル達は彼女の慌てようが尋常ではないと判断する。

その訳は、とんでもないものだった。

「マルシアさんが!!一人でカオスと戦ってるの!!!」

「!?」

驚愕の3人。

その中で一番に我に返ったミハエルは、真ん中のドアをぶち開け突入する。

「ちっ・・・神楽!もうちょっとここ任してえぇか!?」

「任しとき!!はよマルシアはん助けな!!」

彼女の返答を聞き、不知火とレイミも後へと続いた。

(まさかカオス自身がこの先におったとは・・・考えが浅かった・・・・・・)

そう思い、前を走るミハエル、後ろのレイミへと叫ぶ。

「急ぐで!!さすがのマルシアはんでも・・・カオス相手じゃ無事に済まへん!!」

不知火の声を合図に、ミハエルは羽根を生やし、足の遅いレイミは彼の背中へと飛び乗った。
















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