小説喫茶・メル

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先程までの戦いの音はいずこへ。

それほどフロアは静まりかえっていた。

「・・・くっ・・・」

剣を地面に刺し方膝をつくマルシア。

呼吸が荒いのもそのはず。

カオスにやられた傷が癒えていないので、血はゆっくりとだが流れており、疲労もある。

その上【奥義】という体にかなりの負担がかかるものまで放った。

立つのがやっとと言ったところであろう。

「ひとまず・・・戻らねば・・・」

足をあげ、前へと進める。

剣は杖代わりのような状態だ。

「見事ですね」

「ッ!?」

突如聞こえた声に、瞬時に振り向き剣を前に出す。

その瞬間、倒れていたはずのカオスが目の前におり、切りつけていた。

なんとか防いだが、疲労困憊状態の彼女。

押し倒されまいと必死だった。

「何故動ける?そんな顔をしていますね」

「ぐっ・・・」

精一杯の力で防いでいるマルシアに対し、カオスの方は平然としている。

彼女がつけた傷はあるというのに。

そこからは血が少ししか出ていない。

まるでかすり傷のように。

「・・・物を破壊するには」

そこまで言い飛び退き、カオスは足元にある石を拾った。

マルシアは一瞬フラっとなるが、なんとか留まる。

「一定以上の力を加えなければならない事はわかりますね?」

手に持っている石を地面へと落とす。

石は壊れずに、その場で少し転がった。

今度は拾わずに、剣を当てる。

「今のように、ただ落としただけではこの石は壊れません、でも・・・」

添えていた剣をバンと叩きつけると、石はバラバラに砕け散った。

「その石の耐えれる限界以上の力を与えると、このように壊すことが出来ます」

そう言い何を思ったのか、自分の腕を剣で切った。

その行動にマルシアは当然驚く。

「これらと同じです、僕の体も、 一定以上の力でなければダメージを与えることは出来ません」

切った腕を彼女へと見せる。

切られたという跡が少し見えるだけで、血は一滴も出ていなかった。

「貴方の【天上天下】、効きました、それでも僕にとっては、この程度のダメージということです」

「・・・そんな・・・馬鹿な・・・」

唖然となるマルシアの元に、カオスが再び迫る。

先程と同じように剣で防ぐが

「なかなか楽しい戦いでしたよ、マルシア王女」

ザシューン、と斬撃音が鳴り響いた。

「かっ・・・・・・」

口より大量の血を噴出す。

だがそれよりも、彼女の胸元が異常だった。

「きっ・・・貴様・・・何を・・・・」

胸元が血で埋め尽くされ、足元が血の海となる。

マルシアはそのまま力無く、倒れた。

カオスの体には、彼女の返り血が付いている。

口元についたそれをペロっと舐めた。

その時

「マルシア!?」

出入り口であるドアがバタンと開いた。

そしてそこより

「なっ・・・どないなっとんやこれは・・・?」

「マルシアさん!?」

ミハエルを先頭に、不知火、レイミと入ってきた。

3人とも目の前の光景に驚きを隠せない。

そんな彼等を、カオスは不敵に笑いながら見つめる。

「遅かったね君達」

足元で倒れているマルシアに、片足を添えると、そのまま勢い良く振り上げた。

それにより彼女は蹴り飛ばされ、ミハエル達の元へ。

「なっ!?」

慌てて彼女をキャッチし、抱きかかえる。

普段綺麗な彼女のすべてが、今は大量の血で真っ赤に染まっていた。

「レイミ!すぐに治療を!!」

「わかってる!!」

地面にゆっくりと寝かせてあげ、レイミがすぐに駆け寄る。

「・・・カオス・・・おまえ!!」

「ふふふっ・・・・」

怒るミハエルに対して落ち着いているカオス。

不知火も彼ほどではないが、険しい顔つきをしていた。

レイミはマルシアを治療するので精一杯、それほどまで彼女の傷は深い。

「おまえの理想、絶対に止めてやる!!」

「・・・やってごらんよ」

ミハエルはボロボロの上着を脱ぎ捨てた。

そして右手に水を集める。

「いくぞ不知火!!」

「了解や!!」

左右に散り、カオスへと接近する。

彼の立つ位置から45度の角度まで行くと、集めていた水を一気に凝縮させ

「水刃!!」

無数の刃と化し放った。

「双焔牙!!」

不知火も同じような位置で、両手に持つクナイより炎の刃を放つ。

水と炎の刃は猛スピードで彼へと迫る。

そのまま直撃、激しい爆発と煙が巻き起こった。

少しの間視界が悪くなるので、二人はその場に留まる。

「良い攻撃だね」

「ちっ!!」

煙の中よりカオスが現れ、ミハエルへと突っ込んでくる。

右腕に水を纏い、剣となった。

それで彼の振り下ろしを防ぐ。

だが

「!?」

突如、防いだ右腕が、破裂したように大量の血を噴出した。

「ぐっ・・・あぁああああああ!!!」

「ミハエル!?」

すぐに飛び掛ろうとしていた不知火は急停止し、呆然としている。

「いっ・・・一体何が・・・?」

治療に集中していたが、ミハエルの叫び声が聞こえたので、思わず彼の方を向いた。

すると彼が腕より血を流しているので、唖然となる。

「・・・水だから衝撃が弱まったのか、運が良いねミハエル君」

「カオス!おまえミハエルに何したんや!?」

無数の手裏剣を投げつける。

カオスはそれをバックステップすることにより避ける。

その間に不知火はミハエルの元へ。

「ふふっ・・・知りたいかい?」

不気味に笑う彼に、睨み付ける不知火。

「・・・振動だ・・・」

右腕を押さえながら、そう呟いた。

その言葉に、カオスは少し顔を歪める。

「振動・・・やと?」

「あぁ・・・あいつの剣を防いだ瞬間、物凄い振動が俺に伝わってきた・・・」

そう言う彼に対し

「・・・さすがだね、ミハエル君」

カオスは感心したのか、驚いたのかわからないような感じで話す。

「君の言う通り、さっきの攻撃は君に振動を与え、内部より破壊するものさ」

剣を地面に少し叩きつけると、多少の揺れが起こった。

「ちょっ・・・ちょっと待てや!もしホンマに振動やったら!!」

「そうだ、カオスにも同じように・・・伝わるはずだ・・・」

「その通りだよ」

レイミも含めた3人は、彼の謎の攻撃に悩まされる。

通常物へ振動を伝えた場合、伝えた側にも100%ではないが来る。

剣同士がつばり合った時などが良い例だ。

「切りつけた物に、自分の思うがままに振動を倍加させ体内へと伝える」

今度は近くにあった石に、剣を当てる。

「それが僕の エリス・・・【共鳴剣】の力だ」

石は粉々に粉砕し、跡形もなく消えた。

不知火は力にも驚いたが、その前のエリスと言う言葉にも驚いている。

聞き覚えのある言葉に。

「・・・・・・不知火、ちょっと良いか?」

「・・・何や?」

作戦会議のように、二人は近くに寄り、小さな声で話す。

「カオスのあの胸の傷、あれはたぶんマルシアがつけたものだ」

先程まで少し出ていた血が、今は止まっている。

やはり彼にとってはかすり傷程度のようだ。

「それでも平然と立っているところを見ると、あいつはたぶん・・・かなりの攻撃じゃないと傷つけられないと思う」

「・・・んなアホな・・・」

そう言うが、内心納得するしかなかった。

最初に二人で仕掛けた攻撃に対しても、彼は無傷。

だからこそミハエルは

「俺が・・・残っている力、二発分の風水裂破を放つ」

と言った荒技を決心した。

ルミスの解放により一発余分に打てるようになったので、まだ二発分は残っている。

「けど、右腕がこれじゃ・・・左手だけに集中するのにかなりの時間が掛かるんだ・・・」

ここまでで、不知火は察した。

「・・・その間・・・俺が時間を稼ぐんやな・・・」

「・・・・・・悪いな・・・」

「それはえぇけど・・・それであいつを倒せるんか?」

彼自身ミハエルの技の威力は知っている、だがマルシアの攻撃で平然としているカオス。

それが不気味で、不安でならなかった。

「倒せなかったら・・・俺らじゃ敵わないな・・・」

「・・・へっ・・・賭けやな・・・」

「ははっ・・・そうだな」

二人して笑っているので

(・・・何を笑っているんだ?)

カオスは不思議に思っている。

こんな状況で、何故笑えるのかと。

「不知火さん」

レイミは右手をマルシアへ添えたまま、左手を彼へと向けた。

すると彼の体が、優しい光に包まれる。

「何や・・・これ?」

「【リヴァイブ】です、気休め程度かもしれませんが・・・それで少しは無茶しても大丈夫です・・・」

「・・・そか・・・ありがとな・・・」

彼女に微笑んで言い、カオスへと向き直る。

「ほな・・・いくでーーーー!!!!」

そして一人、彼へと突っ込む。

その瞬間ミハエルは、左手に全神経を集中させた。
















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