小説喫茶・メル

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「はっ!!」

手に持っていたクナイを一本投げる。

真っ直ぐと向かってくるそれを、カオスは剣で防いだ。

その時、ドーンと防いだ箇所が爆発。

彼の周り一体が煙に包まれる。

「・・・起爆式のクナイか・・・」

ゆっくりと姿を現す。

当然無傷で平然としている。

「・・・・・・」

そしていろいろな方向より飛んでくる、手裏剣を剣で弾いていく。

煙が晴れると、不知火が真後ろより無数のクナイを放っていた。

今度は防がずに、飛ぶことによってかわす。

するとそこに

「・・・小賢しい真似を・・・」

炎の塊が迫ってきていた。

剣を勢いよく振るい、それを切り裂く。

炎は真っ二つになり壁へと激突した。

「不知火・・・近づかなければ安全と思ったかい?」

「・・・・・・」

気付かれた、と心の中で思う。

先程の攻撃を見て、剣に触れなければ大丈夫と考えていたからだ。

それに自分の役割は時間稼ぎ、別に強力な攻撃でカオスを倒す必要はない。

「エリスの力を、甘く見ない方が良いよ」

彼はそう言うと、全身に力を込める。

両手で剣を握り、勢い良く不知火へと振り下ろした。

「・・・・・・!?」

一瞬何かと思ったが、紙一重の所で右へ避ける。

すると、彼の背後にあった壁が、激しい音をたて崩れた。

「なっ・・・なんやと・・・」

「空気に振動を与えて・・・飛ばしやがった・・・」

驚く不知火にミハエル。

レイミも治療しつつ、開いた口が塞がらない状態だ。

「じょっ冗談やない・・・まるで風の弾丸やんけ・・・・・・あんなん食らったらひとたまりもあらへんがな・・・」

そう言いながらも、周りに炎を噴出させる。

退くわけにはいかないからだ。

カオスはそんな彼に向かって

「はぁああああああ!!!!」

連続で剣を振るい、無数の風の弾丸を放った。

「くそっ・・・」

反撃出来ずに避けに徹する。

あまりのスピードのため、避けるので精一杯だった。

その間もカオスは剣を振るい、風を飛ばす。

「ん?」

振るっている最中に、気付いた。

(・・・後少しだ・・・)

ミハエルに。

彼の左手には、風と水が合わさった嵐が発生している。

「そうか・・・何を狙っているかと思えばそういうことか・・・」

標的を不知火からミハエルへと変える。

まったく動かない彼へと、風の弾丸を飛ばした。

「ちっ!!」

弾丸と彼の間に、不知火が割って入る。

まともに受けた彼は猛スピードで、壁へと激突した。

「・・・・・・サンキュー不知火・・・おかげで・・・」

方膝を上げ、ミハエルは立ち上がる。

「なんとか出来たぜ」

左手には、今にも弾け飛びそうな嵐が発生していた。

バチバチと音を立て、とてつもないエネルギーを漂わせる。

「・・・なんて波動だ・・・・・・さすがにそれを食らうのはまずいかな・・・?」

呟き、ミハエルへと接近する。

「!?」

片腕が使えない彼は、身動き取れずに立っていた。

その隙を逃さず、カオスは剣を彼の体へと振るう。

ザシュンと音が鳴り響き、血が飛び交う。

「ぐっ・・・くそっ・・たれがぁああああ!!!!」

だが怯まず、左手の嵐のエネルギーを、彼の胸元へ放った。

「なっ・・・」

驚くのも束の間、二人の間に激しい竜巻が起こる。

まともに食らったカオス、そしてミハエルを巻き込んでそれは暴れまくった。

あまりの暴風のため、レイミはマルシアを抱きかかえ耐えている。

そして風は徐々に止んでいく。

「・・・・・・いっつ~・・・」

「不知火さん!無事でしたか!?」

埋もれていた瓦礫をのけ、頭をさすりながら立ち上がる不知火。

「あっあぁ・・・・リヴァイブのおかげやな・・・」

体に傷はあるものの、なんとか動くことは出来るようだ。

それに安心したレイミは、ミハエルとカオスがいた場所を見る。

「ミハエル!?」

ぐったりと血を流して倒れている彼を見て思わず叫ぶ。

ピクリとも動く様子はない。

「おい!生きとるか!?」

慌てて側に駆け寄る不知火。

刹那

「ッ!?・・・・・・嘘・・・やろ・・・・」

背中をばっさり切り裂かれ、バタリと倒れた。

「カッ・・・カオス!?」

並んで倒れている二人の側に、カオスが不気味に立っている。

全身傷だらけ、血もポタポタと流れているというのに、立っていた。

「危なかったよ・・・ 3発分の威力だったら・・・やられていたかもしれない・・・」

そこまで言い、頬が緩んでいく。

「はははっ・・・あんな捨て駒でも、意外と役に立つものだね」

彼の脳裏には一人の悪魔、イアンの姿が浮かんでいた。

それがおもしろ可笑しいのか

「ふはははっ!傑作だねこれは!!笑うしかないよ!はははははっ!!!」

ひたすら、甲高い声で笑っている。

側ではミハエルと不知火が、血を流し動かない。

それを見ていたレイミは

(・・・この人・・・肉体が精神についていけてない・・・・・・異常なまでの精神が・・・肉体を支配している・・・)

唖然となり、体が震えていた。

だがそれでも、マルシアの治療は止めない。

「・・・さてと・・・」

残った彼女の方を向いた瞬間、バタンと出入り口が開いた。

「カオスーーーーーーーーーーーー!!!!」

ヘスティアが、険しい顔つきで叫び入ってきた。

二つの扇を重ね、激しい突風を巻き起こす。

「ヘスティアさん!?」

「・・・王女の姉か・・・」

カオスはそれをバックすることによってかわし、彼女の方を見つめる。

ヘスティアはスタッと着地。

殺すような目で彼を睨み付けた。

「貴様!よくもアルを!!」

「・・・あぁ・・・記憶が戻ったんだね、良かったじゃないか」

「ッ・・・貴様ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

怒声を上げ、真上へと飛ぶ。

そこで一回転し、真空の竜巻を作り出した。

それはカオスへ向かって行く中で、徐々に巨大化していく。

「風なら・・・負けないよ」

その場で剣を3回振るうと、そこにわずかだが風の塊のようなものが見える。

剣で切る、というより叩くと、塊は猛スピードで竜巻へと向かっていく。

ぶつかり合い押し合いとなる二つの風。

しかし、ヘスティアの方がゆっくりと押されていく。

「なっ!?」

押されきられ、弾丸が眼前に迫ったが、脅威の瞬発力でかわすことが出来た。

その際に少し悪魔の黒い羽根がやられたが。

そんな彼女の頭上に、カオスがいた。

重力を乗せた切り下ろしを、彼女へと叩きつける。

ヘスティアは二つの扇で防ごうと、構えた。

「ヘスティアさん!避けて!!!」

「なに?」

「もう遅いよ」

レイミの叫び声と同時に、剣と扇がぶつかった。

その瞬間

「かはっ・・・・・・一体・・・なに・・・が・・・」

マルシアと同じように、胸元より大量の血が噴出した。

血はドボンと一塊となって、地面に落ち、そこにヘスティアも落ちていく。

ベチャっと力無く血の海に落ち、彼女は倒れた。

ミハエル、不知火、ヘスティア、3人が自らの血の海に飲まれている。

まさに地獄のようだった。

「・・・・・・所詮この程度か・・・」

剣を片手で構え、ゆっくりとレイミへ歩み寄る。

「・・・・・・こんな状況でも治療を止めないとは・・・逃げないのかい?」

彼女は震えながらも、マルシアから離れず、真っ直ぐとカオスを見つめていた。

両手は添えたまま、光を発している。

「たっ例え死ぬ事になっても・・・最後まで治療を続ける・・・それが私の・・・」

一呼吸し、震える唇を必死に動かす。

医者としての・・・務めだから・・・

覚悟ある彼女の声と表情。

それにカオスは少し驚いていた。

「・・・素晴らしいね、殺すのが少し惜しいよ・・・」

剣を天へ掲げ、彼女を見下ろす。

「せめて苦しまないように・・・一撃で逝くと良い」

その剣を、彼女の頭へと振り下ろした。





W・閃・光・之・彼・方




「!?」

突如、壁を貫き、何かがカオスを吹き飛ばした。

彼は勢い良く壁に激突し、倒れる。

「なっ・・・何・・・?」

レイミは恐る恐る、閉じていた目を開けた。

そこには

「仲間は・・・誰一人やらせないよ」

「危ないところだったね、レイミさん」

紅と紫の炎を纏っている、メルとマナの姿があった。

二人は互いに背中合わせになり、荒れ狂う炎を交差させていた。
















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