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小説喫茶・メル
7
二人の少女の登場により、場は再び戦火に包まれる。
「メッ・・・メルが二人・・・?」
呆気にとられるレイミ。
そんな彼女に、マナの方が寄ってきた。
「メル姉さんの妹のマナです、驚かせてごめんなさい」
「えっ・・・メルの・・・妹?」
困惑するレイミにどう説明しようか迷うマナ。
だがメルは
「・・・・・・」
険しい顔つきで、先程吹き飛ばしたカオスの方を見ていた。
周りの火の粉が鮮やかに飛び交う。
「そういえば・・・」
瓦礫を払いのけ、ゆっくりと立ち上がっていく。
「まだ君が残っていたね、藤林すずの娘である君が」
服はボロボロになって燃えているが、傷はあまり見当たらない。
ミハエルとマルシアが与えた傷も、虚しく見える。
彼自体疲労も少し見えるのだが。
「しかも・・・君まで一緒だったとはね・・・」
メルのやや後ろにいるマナ。
彼女は自分の方を見てきたと気付き、カオスを睨みつける。
「カオス・・・僕はもうおまえの言う事には惑わされないよ・・・・・・」
右手に握っている炎の短刀、息吹を彼へと向けた。
「姉さんと一緒に、自分の人生を歩んで行く」
彼女の瞳は、迷いがなく真っ直ぐ。
その輝きは薄い紫。
表情はとても凛々しく、すっきりとしていた。
「・・・・・・作られた分際で・・・随分デカイ口を叩くね・・・コピーが・・・」
嫌味を含めた言葉。
それに対して飛び掛ろうとしてマナだが、メルが手を前に出し止める。
「・・・自分の人生も幸せも、誰かに与えられて決められるわけじゃない」
マナ以上にメルの表情は
「自分で決めて掴み取ること、貴方はそれを・・・忘れてしまっている」
凛々しく、輝いていた。
その姿がまるで、かつてのすずのように。
「・・・・・・そんなに言うのなら、僕を倒して、掴みとってみなよ!!」
不敵に微笑み突っ込んでくるカオス。
メルとマナは羽根を使い、左右へと飛んだ。
「二人とも!カオスにはちょっとやそっとの攻撃じゃダメージを与えられないよ!!」
レイミの叫びを聞き、メルは空中で考える。
(・・・だから私達の閃光之彼方でも・・・あの程度だったんだ……)
「それから!剣に気をつけて、あいつの剣は振動を伝えるの!だから触れただけでアウトだから!!」
「マジ・・・?でもまあ・・・それならミハエル達がやられたのも納得いくね・・・」
マナは止まると、両手より炎を纏った手裏剣を無数に投げつける。
カオスはそれを剣で、すべて叩き落す。
剣圧による抜刀で激しい旋風が巻き起こった。
それだけで
「ッ!!なんて風だ・・・」
突風が二人を襲う。
マナは髪とスカートを押さえ、羽根でなんとか留まる。
その間メルは
「!?」
カオスの背後へと周り、炎の刀、【朱雀】を構えていた。
「やった!いっけー姉さん!!」
「メル・・・いつの間に・・・」
喜ぶマナに驚くレイミ。
カオスは急いで振り向くが、その時には既に彼女の刀が迫っていた。
防ぐことが出来ず、背中を切られる。
「マナ!!」
「任せて!!」
そこを続けて、急スピードで接近したマナが、同じ箇所を切りつけた。
二人同時同箇所の攻撃、通常なら大ダメージとなるはずだが
「僕を・・・なめるなぁああ!!!!」
怯まず、剣を勢い良く彼女等へ振るう。
「くっ!!」
メルはバックステップすることによりかわし、マナは息吹で防ごうと構えた。
「マナ!?防いじゃダメ!!」
彼女の叫びも時既に遅し。
カオスの剣とマナの刀がぶつかり合った。
その瞬間、ザシューンと音が鳴り響く。
「ッ・・・しまっ・・・・・・」
炎で作られた刀なので、衝撃が弱まったのか、出血はマルシア達程ではなかった。
だがそれでも致命傷。
大量の血を流したマナは、その場に力無く倒れこむ。
「やはりコピーに存在理由なんてないんだよ」
そこにトドメと言わんばかりに、剣を叩きつける。
ガキンと音がし、剣は地面を叩いた。
「・・・伊達に忍者じゃないね・・・なかなかのスピードだ・・・」
微笑しながら言う彼の視線の先で。
メルが、マナを抱えてレイミの側に向かっていた。。
ゆっくりと降ろしてあげ、彼へと向き直る。
「レイミ、みんなを・・・よろしくね」
「・・・・・・メル・・・」
気がつくと、レイミの周りには全員の姿があった。
皆気絶しており危険な状態だ。
「メル・・・無理しないで・・・時間さえ稼いでくれれば・・・ミハエル達を治せるから・・・・・・」
彼女を心配し、そう言うが、メルは振り返らない。
そして、呟く。
「いつまでも、守られてばかりじゃ・・・ダメだよ」
「・・・・・・」
「
女の子だって・・・強くならなくちゃ
」
その言葉を放った瞬間、メルはカオスへと突っ込んだ。
レイミは戸惑いながらも、今自分が出来る精一杯のことをする。
1秒でも早く、皆を治療することだった。
「大した決意だね・・・さすがは、ミハエル君のパートナーっと言ったところか・・・」
カオスはゆらりと剣を構える。
そんな彼に近づいていくが、数歩の辺りで真上へと急上昇した。
はるか上空で止まり、刀を天高く構える。
それを振り下ろすことによって、剣先より炎の鳥が放たれた。
マナの時に使った、フェニックス。
猛スピードでカオスへと迫る。
「・・・・・・」
彼は無言のままくらった。
防ぐこともしないのは、傷を受けないからだろうか。
その間メルは、空いている手に一本の短刀を持つ。
ヒュっと投げたそれを、カオスは剣で防いだ。
「雷電!!」
「ぐっ!!」
先程の炎と、短刀に降り注いだ雷撃により、少し怯む。
彼はまだこの時気付いていなかった。
「奥義」
自分の周りを取り囲む、無数の火の粉に。
「まさか・・・さっきの炎はこのために・・・?」
呟いたのも束の間、火の粉は一気に荒れ狂い、彼を包み込む。
「【蛍火】」
ボーンと激しい轟音をたて、カオスは炎に飲み込まれた。
「・・・凄い・・・・」
治療しつつ、呆然となるレイミ。
驚いてばかりの彼女だが、今回は様々な意味で驚いていた。
今戦っているのは、戦い慣れしているミハエルでもマルシアでもない。
自分とそう変わらない、お互いの相方を主にサポートしている、メル。
彼女の中では、メルがここまで戦えることが驚きだった。
彼女もそこそこ強いのは知っている。
それでも、自分の想像を遥かに超えていた。
「・・・これが・・・今のメルの力・・・・・・」
巻き起こった煙が晴れていく。
「・・・やるね・・・」
その中から、カオスが飛び出した。
多少体が燃えているが、怯むことなく迫ってくる。
「やっぱり一発じゃダメか・・・」
空中へ飛び、彼との距離を空ける。
「逃がさないよ!」
だが急にスピードが上がったように、彼はジャンプし、メルとの間合いを詰めてきた。
「くっ・・・」
それに驚いた彼女は、空いている手に無数の札を持ち、放った。
カオスの周りに行くとそれは
【咋力符】
爆発を起こした。
その間に炎の羽根をはばたかせ、一気に離れる。
しかし
「小賢しいよ」
「!?」
背後を、取られていた。
反応が早かったため、刀を構えることは出来る。
体制を整えようとしている彼女に、剣を振り下ろす。
「ッ!!」
避けることが出来なかったため、咄嗟に刀で防ぎ、その刹那
「なに?」
刀を、消した。
ザシューンと、彼女の両腕が破裂したようになり、血が噴出す。
「かっ・・・は・・・・・・」
よれよれとなり、地面に降りていく。
着地した箇所は、彼女の血で赤く染まっていた。
続けて降りたカオスは、険しい顔つきで彼女を見つめる。
「振動が伝わる瞬間に刀を消し弱めるとは・・・なかなか利口じゃないか・・・」
「はぁ・・・・・・はぁ・・・」
「でも・・・重傷には変わりないね・・・その腕じゃもう戦えなさそうだ」
今もメルの腕からは、血がポタポタと流れている。
それを見ていたレイミは
(・・・利口?違う・・・メルはそんなに頭が良い方じゃない・・・)
またしても、呆然となり驚いていた。
(咄嗟に体がそう判断したんだ・・・・・・たぶんあれが・・・すずさんの血……)
頭で考えるより体が先に動く、それがすずと重なり、驚いていたのだ。
「正直、ここまで君が戦えるとは思わなかったよ・・・だからせめて」
剣を両手で持ち、力を込める。
彼の周りの石が、圧に耐え切れず弾け飛んだ。
「安らかに・・・眠ってくれ・・・」
両手で構えたまま、彼女に迫る。
メルは逃げることもせずに、顔を下げて立っていた。
「もう良いよメル!逃げて!!!」
レイミが叫んだその瞬間、メルの唇がわずかに動き
「!?」
それが、カオスとレイミ、二人を驚かせた。
「やっぱり・・・
ママのように
はいかないや・・・」
笑っていたのだ。
その姿は誰もが見惚れる程、美しかった。
ザン
無残な音が鳴りそして
「みん・・・な・・・・・・ごめん・・・ね・・・」
体全身より血の雨を噴き出したメルは、バタリとその場に倒れこんだ。
彼女の周りの火の粉が、まるで彼女の命を指すように、静かに消えていく。
「メッ・・・メルーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
残されたただ一人の少女の声が、フロア全体に響き渡った。
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