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小説喫茶・メル
8
今まで倒れてきた中で、一番無残な姿で、メルは倒れていた。
全身が血で真っ赤に染まり、呼吸はしていない。
ここまで必死に、倒れていく仲間を見ながらも治療していたレイミだが。
「・・・そん・・・な・・・・・・」
震えすら止まり、彼女の方を見つめていた。
癒しの光は消えており、今にも倒れそうになっている。
「メッ・・・メル・・・嘘・・・でしょ・・・・?」
認めたくない事実。
医者だからこそわかってしまう事実。
大切な仲間の
【死】
「・・・自分の大事な人が死ぬのは、耐え切れないものだろう・・・?」
剣についたメルの血を、布巾のような物で拭き取るカオス。
その表情は、先ほどまでの勢いは無く、静かなものだった。
「・・・・・・そう思うのなら・・・」
レイミは両手、拳を握り締め顔を上げる。
「どうして!こんな酷いことが出来るの!?」
涙をポロポロと流しながら、声が枯れそうなくらいの大声で叫んだ。
「また【生き返る】から良いとでも思ってるの!?」
「・・・・・・」
彼女の叫びに対して、カオスは無言のまま視線を逸らしている。
その間も剣を吹いていた。
「あなたは・・・人の命をなんだと思っているのよ・・・・・・」
気迫が薄れていき、声も小さくなり、その場に座り込む。
そんな彼女の首元に、剣を当てる。
「・・・命の思い方なんて・・・人それぞれだよ」
首に当て、そのまま一気に引こうとした時。
「!?」
ドーンと、壁を突き破り、一本の光が彼に直撃した。
カオスは勢いのあまり吹き飛ぶが、ザザザと足を擦りなんとか止まる。
傷はあまり見えない。
「・・・誰だい?」
彼の視線の先、顔を上げたレイミの前には
「・・・自己紹介は、する必要はないと思うのだけれど?」
白き輝く弓を構えた、アリアが立っていた。
ただ以前までとは、少し雰囲気が違う。
表情が大人びているせいか、妙な威圧感もあった。
「アリア・・・さん・・・」
レイミは涙を拭う。
それを横目でチラッと見たアリアは、周りを見渡す。
倒れているたくさんの仲間、その中で一番酷い状態のメル。
しかしそれを見ても、彼女の表情は変わらなかった。
「随分エグイことしてくれるじゃない、カオス」
「・・・ガイアの娘か・・・」
やけに口調が違うアリアに、違和感を覚えるカオス。
だが剣を構え直し、いつもの声色で話す。
「今更何のようだい?抜け殻が」
「・・・抜け殻・・・・・・ふふっ・・・それはどうかしら?」
「何?」
アリアは引き絞り、一本の光の矢を放った。
真っ直ぐ向かってくるそれを、避けようともせずに、まともにくらう。
今までなら、平然としていた彼だが
「ぐっ!?かはっ・・・」
初めて、口より血を噴き出した。
くらった胸元を見ると、少し焼けたような跡と出血が見える。
「バカな・・・今の攻撃に・・・何が・・・・?」
ここにてようやくカオスに、焦りのようなものが見られた。
額に汗が現れる。
その光景に、レイミは呆然となり、アリアは
「さぁ?何でしょう?」
微笑し、再び構えた。
「みんなが受けた痛み、存分に味わってもらいましょうか」
そう言った瞬間、無数の矢が彼へと迫る。
「くっ!!」
カオスは慌ててその場から飛び、上空へと回避する。
だがそのさらに上に
「天竜!!」
アリアがいた。
斜め下にいる彼へと、巨大な矢を放つ。
「くそ・・・なめるなぁ!!」
向かってくるそれに対し、振動によって生まれた風の弾丸を飛ばした。
ヘスティアの竜巻に勝ったものだが、矢とは相殺し、激しい爆発が起こる。
その突風で地面へと着地し、態勢を整えようする。
「地竜!!」
「なっ!?」
突如足元から現れた矢を、顎に食らった。
打撃に近いので、痛みが彼を襲う。
よろめいている彼の背中に
「覇竜」
赤い光を発している矢が直撃した。
「ッ!!ぐはっ!!」
またも血を噴き出し、勢い良く壁へと吹き飛ぶ。
ドーンと激突音が鳴り響き、彼は瓦礫の中へと埋もれた。
「・・・あのカオスが・・・子供扱い・・・」
ミハエルやマルシア、強くなったメルでさえ苦戦していた彼が、まるで手も足も出ないでいる。
そのあまりの圧倒的な力に、喜びと戸惑いが混ざっていた。
それでもなんとか我を取り戻し、皆の治療を再開する。
「くっ・・・・・・」
瓦礫の中からゆっくりと起き上がる。
剣を棒代わりとし、なんとか立つ。
「この力まさか・・・・・・だが、そんなはずは・・・」
「ご名答よ、まっ
本来私のもの
なのだから、驚くことではないと思うのだけれど?」
「ッ!何故だ!?何故抜いたはずのおまえに・・・【ガイアの力】が戻っているんだ!?」
カオスの焦りと戸惑いの姿。
それをおもしろがるように、アリアは苦笑する。
「ふふっ・・・エネルギーを、ここに保管している貴方が悪いのよ?」
「なに!?」
驚きつつ、彼女を良く見てみると、白い光が、徐々にだが彼女へと注がれていっているのがわかった。
それが、ガイアの力。
「私の力なのだから、私に戻ってくるのは別に不思議ではないわ」
彼女の周りに、静かに渦巻く光。
優しく、癒されそうなものだった。
「こんな・・・こんなバカな事が・・・・・・」
「・・・これでわかったでしょう・・・」
呟くように口を開く。
「
人の命を、自分の意のままに使うことなんて出来ないって
」
彼女のその言葉にカオスは黙り込む。
その間、彼女の周りでは
「その通りだ」
マルシア
「貴様は・・・命の重さをわかっていない」
ヘスティア
「おまえの命も、おまえが犠牲にしていった命も、みんな一緒なんだよ」
マナ
「・・・メルの・・・命も・・・」
ミハエル
「エリスの命だけ・・・特別やないんや」
そして不知火
倒れていた皆が、立ち上がっていた。
「カオス・・・・・・すべてを終わらせましょう」
アリアを先頭に、皆臨戦体勢となり構える。
レイミとマナだけは、メルの側で座っていた。
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