小説喫茶・メル

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あなたは天才だ。

そんな事を良く言われることがある。

僕自身、そうは思わないし意識したこともない。

人より好奇心が旺盛、それぐらいにしか考えていなかった。

でもそれが原因で、僕は周りから孤立した。

初めは心配してくれていた唯一の肉親、姉さんも徐々に僕を避けるようになる。

別に良かった。

彼女だけ、エリスだけは、僕といつでも共にいてくれたから。

だからそんな彼女のために、僕はなんでもした。

この衰退し枯れ果てている世界。

エリスは生まれ育ったこの世界を、なんとか元に戻したいと願った。

僕は彼女の願いを叶えるため、久しぶりに頭をフル回転させ考えた。

そして、ある方法を思いつき、彼女に知らせようとした日。

僕の目の前が、赤く染まっていた。

何故?どうして?

何度考えてもわからない。

何故彼女が殺されなければならないのか。

エリスは人から怨まれることなど何もしていない。

ただ純粋に、この世界と生きる人達を救おうとしただけなのに。

後でわかった事、原因。

彼女は、小さい子供達から食料を奪っている大人を注意したらしい。

その際に大人達と喧嘩となり、気の短い大人のせいでエリスは。

死んだ。

否、殺された。






「どうしたら良いかわからなかった・・・」

臨戦状態のアリア達の前で、ガクっと頭を下げ呟くカオス。

闘気は感じられず今にも倒れそうだ。

「エリスが殺された・・・この世界の・・・腐った人間どもに・・・」

一同はただ聞く。

警戒は解かないが、黙って彼の言葉を聞いていた。

「彼女のいない世界なんて意味がない・・・そう思って、もうどうでも良くなった」

ここに来て彼は

「でも・・・」

下げていた顔を上げる。

悲しそうな表情。

初めて見せる彼の一面。

「それじゃ彼女は報われない、だからせめて、エリスが望んだ願いだけは、叶えてあげようと思った」

そう言い、剣を力強く握りなおす。

「その為に・・・」

黙っていた中、一番に口を開いたのはミハエルだった。

険しい表情を彼へと向ける。

「メルを・・・・・・たくさんの人の命を・・・犠牲にしたのか!?」

彼等の後ろ、レイミとマナの側で静かに倒れているメル。

彼にとって大切な人。

勿論仲間達にとっても。

「・・・犠牲か・・・じゃあエリスの死も・・・犠牲だったと言うのかい!?」

叫びと共に、彼向けて動き出す。

すかさず身構え、剣を回避しようと真横に飛ぶミハエル。

その時、彼とカオスの間に

「なっ!?」

アリアが割って入った。

彼女はカオスの剣を、片手、素手で握っている。

その行動に誰もが驚いたが、彼女は平然としていた。

振動が伝わっていないのか、血はまったく出ない。

「・・・貴方が本当に苦しいのは・・・エリスの死でも・・・この世界に失望したことでもない・・・」

アリアの声は、まるで子供に優しく話す、母親のような雰囲気だった。

「再び・・・一人ぼっちになるのが・・・怖かった・・・」

「・・・ッ・・・」

空いている手を、彼の頭まで持っていく。

彼は少しかがんでいるため、アリアの背と丁度良かった。

「自分の事を、エリスのように認めてくれる人が欲しかった・・・・・・そうでしょう?」

優しく、頭を撫でる。

その行動、温もりにカオスは

「エリ・・・・・・ス・・・」

剣をカランと落とし、膝をついた。

彼には彼女が、かつてのエリスと重なって見えたのか。

力無く、涙を流す。

それに唖然となる一同だったが

「ッ!?なんや!?」

突如発生した揺れに驚く。

揺れは収まらず、地震のように激しい地響きを起こした。

「・・・やはり、こうなってしまいましたか・・・」

「アリア!どうなっとんやこれは!?」

何かを知っている彼女に問う不知火。

その間も揺れは続いている。

すると彼女は、前を向いたまま話出す。

「私のガイアエネルギーと、この世界の人達のエネルギーが、私の中にすべて入ろうとしているわ」

世界全体を再生さす程のエネルギー、それが一気に活動している為、周りの空気や大地が反応している。

そのせいの揺れだった。

「おまえの・・・中に?」

「ならば問題ないのではないか?」

良くわからない不知火に対し、冷静に考えているマルシア。

だが、彼女の考えは甘かった。

「・・・ガイアだけならともかく・・・すべてのエネルギーとなると・・・さすがの私の体も・・・耐え切れないでしょうね」

彼女のその言葉の意味を、皆すぐに理解する。

結果的にどうなるかを、不知火は恐る恐る尋ねようと口を開く。

「・・・おまえは・・・どうなってしまうんや?」

少し間を置いて、アリアは答える。

「消滅・・・するでしょうね・・・」

「・・・そんな・・・」

不知火ではなく、マルシアとヘスティアが二人して驚く。

ミハエルやレイミも、呆然としていた。

ただ不知火だけは

「止めても・・・無駄そうやな」

何故か皆と違い、落ち着いていた。

緩やかないつもの口調で話す。

「おまえのことや、こうなることはわかっとったんやろ?」

「えぇ、まぁ」

アリアも彼がそんな調子なせいか、口調が和らいでいた。

「・・・おまえが消滅したら・・・エネルギーはどうなるんや?」

「・・・すべて大地へと帰ります・・・そして、世界は元の緑豊な姿へと戻るはずです」

「・・・・・そか・・・」

少しばかりの沈黙。

ミハエル達は揺れの中、二人を見会話を聞いていた。

「まっ、後の事は俺に任しとき、もう二度と・・・世界をこんな状態にはせぇへん」

その言葉を聞き、アリアはようやく振り向く。

はい!それでこそ私が好きな不知火さんです♪

口調が戻り、いつもの彼女の笑顔。

それが一同の目に刻まれ、そして

(さようなら・・・皆さん・・・さようなら・・・・・・私が・・・初めて好きになった人・・・)

激しい光に包まれ、アリアは、消えた。

光は優しく綺麗なオーロラのようになり、彼等を包み込んだ。














次回、最終回


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