小説喫茶・メル

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1章:1


この広い世界、アステル

ここに、世界を代表する二つの国があった。

一つは皇帝セレスにより統治されている、理想国家・【ウェルギリウス】

もう一つは、表に出ず自らを神と名乗る者が支配している国・【オウィディウス】別名・帝国

二つの国は数年前、長きに渡る友好関係を帝国側が破り、現在終わらない戦争を続けている。

この物語は、そんな世界に生まれた、ある二人の物語。







1・戦いの狼煙







西の国・ウェルギリウス

今住民には非難警告が出ている。

敵対国である帝国が、攻めて来ているからだ。

「我々の指示に従って、速やかに非難してください!!」

一人の兵が叫ぶ中、住民達は次々と城へと向かっていく。

帝国の進行を止められない場合、真っ先に戦地となるのはこの城下町。

万が一に備えての当然の処置だった。

「グラディウス様!全民、非難完了致しました!!」

兵は敬礼をし、城の高台より城下町を見つめている男に報告する。

男の方はそれを聞き頷くと、片手を上げた。

「全軍、帝国軍を迎え撃て!!」

その声を合図に「おぉー!!」と言う兵達の雄叫びが聞こえる。

そして城より大勢の兵が、城下町前の森へと進行していった。

「相変わらず、貴方の指揮力は凄いわね」

号令を出した男の前に、一人の女性が現れる。

スタイルが良く容姿も美しい彼女は、男の少し後ろへ行く。

それを横目でチラリとだけ見、口を開く。

「皇帝陛下側近の貴様が、こんな所に来るとはな」

「今回の軍勢、大したことないのでしょう?なら問題はないわ」

少し偉そうな口ぶりの男にさらっと返す女性。

男は彼女の言葉に微笑した。

「グラディウス様!ウェスタ様!ジークフリート隊長が、前線に到着する模様です!」

兵からの報告を聞き、男・グラディウスは呟く。

「さて、今回も良い功績を期待しているぞ、ジーク」






森へと侵入した前線の兵士達。

その先頭を行く、馬に乗った男。

敵前衛を切り崩し、戦闘を有利に運ぶ役割、特攻部隊隊長・ジークフリート

もっとも危険を伴う部隊だが、彼の確かな実力と冷静な判断力のおかげで、ここまで戦闘を優位に

進め、犠牲者も少数でいた。

全体の指揮を取っているのは、軍師・グラディウスであるが、今この場での最高責任者は隊長であ

るジークになる。

爽やかな容姿にガッチリとした体格、そして少し熱血漢溢れる彼に、誰もが憧れた。

「見えた!敵部隊だ!!」

右手に握る鋭い槍、馬に鞭を入れさらに加速する。

「うぉおおおおおおおおおお!!!!」

最初の薙ぎ払いで、すれ違った複数の敵兵が倒れた。

それに乗るように、後ろの兵達も続く。

「くっ・・・またジークフリートか!?」

長きに渡る戦い、その中でジークの名は有名になっていた。

わずか15歳で特攻部隊に入り、1年で隊長まで登りつめた彼。

そんな彼を敵勢は、鬼才の騎士と呼んでいた。

「隊列を崩すな!ジークの相手は私がする!!」

敵兵の中で部隊長である男が、馬からおりジークと対峙する。

それを見た彼は、相手に応えるため自分も馬から降りた。

「私は帝国軍第七部隊隊長・シェルド!いざ勝負!!」

剣を構え、ジークへと突撃してくる。

「ウェルギリウス軍特攻部隊隊長・ジークフリートだ!」

迎え撃つように、彼も突撃した。

そして一瞬、刹那の振動と斬撃音が鳴り響く。

「ぐふっ・・・一太刀しか浴びせられんとは・・・さすがは・・・・・・鬼才の・・・騎士・・」

シェルドは武器を落とし、その隣に自分も倒れた。

ジークの方はそんな彼を数秒見つめ、自分の頬の血を手で拭う。

周りを見渡し、口を開く。

「お前達の大将は倒れた!!この戦闘に勝ち目はないと悟り、今すぐ引き上げろ!!」

彼の言葉に、敵兵はどよめき始めた。

「まさか・・・隊長があんな一瞬で・・・」

「逃げろー!!隊長が敵わないのに俺達が敵うはずがねぇ!!」

武器を投げ捨て、兵は一目散に逃げ出す。

ジーク率いる特攻部隊は、彼等が見えなくなるのを確認すると、同じく引き上げを始めた。





城に戻り、中庭と思われる場所で休んでいるジーク。

可愛い小鳥達が彼の側に寄る。

「無駄な犠牲を出さないために大将を真っ先に倒し、尚且つその大将すらも生かし捕虜とする」

そこに、グラディウスと一緒にいた女性、ウェスタがやってきた。

相変わらずのさらっとした態度で続ける。

「隊長に昇任してからの貴方の戦い方、変わらないのね」

「・・・帝国側であろうと、同じ人間です・・・むやみやたらに命は取りたくないですから」

そう彼女に言い、立ち上がった。

「そうそう、貴方のお姫様、来てるわよ」

「えっ?」

その言葉に反応し、ウェスタの方を見る。

すると彼女の後ろより、小さな女の子が現れた。

小さいと言っても15そこらはあると思われる少女である。

ポニーテールの赤い髪が風で少し靡いていた。

「マリア!?帰ってなかったのか!?」

マリアと呼ばれた少女は、泣きそうな表情になり、彼へと駆け寄る。

そしてガバッと抱きついた。

「だって・・・お兄ちゃんが心配で・・・」

彼女は声を聞き、ジークは微笑し、頭を優しく撫でてあげる。

ゆっくりと彼女と離れる。

「お兄ちゃん、怪我してるの!?」

彼の頬の傷が目に入ったマリア。

ジークの返答を待たず、彼の頬へと手を添えた。

彼女の手より優しい光が溢れ出し、それが徐々にジークの傷を治していく。

「・・・ありがとう、マリア」

「あまり無理しないでね・・・お兄ちゃん」

そんな初々しい二人を

「・・・・・・」

ウェスタは真剣な表情で見つめていた。

特に、マリアの方を。
















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