小説喫茶・メル

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3・ウェルギリウスと帝国





ジークに小屋に案内された4人。

中は外から見た通り広くはなく、逆に狭くもないといった感じとなっている。

とても6人で住めそうな環境ではなかった。

疑問を抱きつつも、6人はリビングのテーブルに座る。

何故か椅子は6人分あった。

「・・・まず、今この世界の状況だが」

「へっ?」

いきなりジークが、先程言わなくて良いと語っていた内容を話し始めたので、驚くサリア。

その様子を察したのか、彼は彼女の方を見た。

「ロムルスを追い出されたってことは、もう君達はロムルスの者じゃないってことだ」

ここで一呼吸し、続ける。

「なら教えても問題はないだろう、今君達はウェルギリウスの領内にいるのだしな」

「あっ・・・ありがとう」

少し照れながら礼を言う。

4人はとりあえずホッとした。

「じゃあ本題に入るよ」

ジークが話始め、他の皆は言葉を待つ。



スキット:【この世界について】

ジーク「ウェルギリウスと帝国は、何十年も前から友好関係を築き上げてきていたんだ」

マリア「条約が結ばれてからは両国とも、戦争なんて起こしたことはありませんでした」

ジーク「けど、数年前・・・帝国の現皇帝であるシグルズが、突然条約を破棄し始めた」

サリア「・・・どうして急に?」

ジーク「詳しいことはまだわかっていない、ただそれ以来、帝国との長きに渡る戦いが続いているのは事実

だ」

マリア「戦いの引き金となったのは、ウェルギリウスの使者を惨殺したからです」

ジーク「奴等は問答無用で、俺達に降伏を要請してきた」

マリア「しかしこの国の皇帝、セレス様はそのような事を受け入れるはずがありません」

ジーク「そこから、帝国との戦いは始まったんだ」

コノハ「う~ん・・・けどさ~・・・」

アクア「どうしたコノハ?」

コノハ「どうして何年も戦争が続いているわけ?戦いってそれほど長続きするものなの?」

フレア「・・・確かにそうだよね・・・」

マリア「それは・・・」

ジーク「帝国の目的は、俺達ウェルギリウス軍を降伏させ、この国を自分の領土とすること」

マリア「私達を皆殺しにしては、支配ではなくなってしまいますから・・・」

ジーク「・・・無論俺達は奴等に支配される気はないし戦う気もない」

マリア「けど帝国が諦めない限り、戦いは終わらないのです・・・」

ジーク「だから決着がつかず現段階まで至るってわけだ」

サリア「そうか・・・帝国が戦う理由はこの国の支配、この国はそれを阻止するための守りの戦い・・・こ

ちらが向こうを潰さない以上、終わることはないわね・・・」

ジーク「そういうことだ」







「と、大体わかってくれたか?」

一段落、一旦話を切る。

皆黙って頷き気を緩めた。

それを確認し、マリアが立ち上がる。

「お茶入れますね」

「あっ、私も手伝う」

フレアも立ち上がり、マリアと共に作業に取り掛かった。

「えっと・・・ジークフリートさんでしたっけ?」

彼の隣に座っているサリアが確かめるように尋ねる。

「ジークで良いよ、みんなそう呼んでるし」

「じゃあジークさん、あなたはこの国の兵士なんですよね?」

ここに来るまでに聞いたこと、ジークとマリアの事だ。

彼は「あぁ」とだけ返し、次の言葉を待った。

「見た所、私より少し年上そうですけど、戦争が始まった当初から戦っていたのですか?」

サリアは現在16歳、実年齢に換算するともっとあるのだが。

ジークは立派な青年に見える。

かといって特別老けているわけでもなかった。

「まぁ・・・一応な・・・」

「・・・数年も続いてるのに良く無事でしたね・・・」

彼の実力に驚きを隠せないサリア。

年数的にも、こんな若い者が大きな障害もなく生きていることが珍しかった。

「どうぞ」

マリアとフレアが、全員にレモンが入った紅茶を配っていく。

温かいそれからは良い香りが漂っていた。

アクアとコノハは熱いのにも関わらずすぐに飲み始める。

「あっつーーー!!」

当然の反応だった。

それを呆れながら見つめるサリア。

フレアは隣で笑っていた。

「軍師のおかけだよ」

「???」

ジークが話の続きを言い始めたので、向き直る。

「今までの戦いで、俺を含めて犠牲者が少ないのは、グラディウス軍師のおかげだ」

「・・・軍師?」

どこか聞いたことのあるような単語にポカンとなる一同。

ジークは紅茶を一口飲み続ける。

「天才軍師グラディウス、この国であの人の名前を知らない人はいないだろうな」

「・・・・・・」

呆気に取られる4人。

それぞれ脳裏にどういう人物か思い浮かぶ。

何故かコノハだけ剣の姿が浮かんでいた。

「あの人は、こちらの犠牲を最小限にし、尚且つ敵を効率良く迎撃する作戦を毎回立ててくれるんだ」

「お兄ちゃんがここまで無事に戦ってこれたのも、グラディウスさんのおかげなんです」

「ふぁ~・・・凄いんだねその人・・・」

サリアもかなり頭の良い方だからわかること、自分の兄達以外にそこまで凄い人は見たことも聞いたことも

なかった。

「・・・サリア姉ちゃん」

そんな空気を破ったのは、アクアの声。

何かと思い振り向くと、彼はいきなり立ち上がった。

「俺達も、ジークさん達の手伝いしようよ!?」

その言葉に、呆然となるジークとサリア。

「賛成!私も久々に体動かしたい!!」

アクアの隣にいたコノハは元気良く立ち上がる。

しかしサリアは、落ち着いた様子で口を開く。

「ちょっと待って二人とも」

テンションの上がっている二人に、はっきりと話す。

「手伝うって、貴方達も戦うってこと?」

「あぁ!俺達の力を見せて、帝国側を驚かせて諦めさせてやろうぜ!!」

自信満々に言うその笑顔を見て、微笑むフレアとコノハだが、サリアは違った。

真剣な面持ちで、彼へと向き直る。

「戦争は遊びじゃないのよ、そんな適当な気持ちで戦うなんて、私は許さないから」

「えっ・・・」

久しぶりに見る、彼女の怒った表情。

アクアとコノハは黙ってしまった。

それを見かねたのか、ジークが二人へと視線をやる。

「サリアの言う通りだ、君たちみたいな子供を、巻き込むわけにはいかない」

「でっ・・・でも!!」

彼が何かを言う前に、サリアは席から立ち上がり、一人外へと出て行った。

その行動で一気に重くなる空気。

「マリア、みんなの寝床を用意してくれないか?」

「えっ?あっうん・・・」

呆然と座っていたマリアは、ジークの言葉で我に返った。

そして言われた通り寝室へと向かう。

「・・・私・・・ちょっと行ってくる」

フレアはサリアを追うため、外へ出た。

ジークも席を立ち上がり、残された二人はただ黙って座っている。

彼はそんな二人を真剣な表情で見ていた。







【親心】

フレア「サリアお姉ちゃん」

サリア「フレア・・・」

フレア「・・・・・・」

サリア「ダメだな~私・・・二人にあんなこと言って・・・」

フレア「ううん、お姉ちゃんは二人の事を想って言ってくれたんでしょ?」

サリア「・・・・・・」

フレア「お兄ちゃんもコノハもお調子者だから、サリアお姉ちゃんが叱ってくれないと」

サリア「・・・うん・・・ごめんね・・・兄さん達がいないから、3人のことは私がちゃんと看ないとって

思ってるんだけど・・・なかなか上手くいかないね・・・」

フレア「そんなことないよ!お兄ちゃんもコノハも私も、サリアお姉ちゃんの事は大好きだよ!」

サリア「・・・ありがとう・・・フレア」

フレア「明日、二人ともう一度話しようね」

サリア「ははっ・・・フレアはしっかり者だね・・・」




【気まずい】

アクア「・・・・・・」

コノハ「・・・・・・」

マリア「あの・・・お風呂の用意出来たよ・・・」

二人「・・・・・・」

マリア「お兄ちゃんと私は後で入るから・・・お先に良いよ・・・」

二人「・・・・・・」

マリア「なっ・・・なんか言ってーーーーー!!!!」
















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