小説喫茶・メル

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7・四天王ウリエル





森の中に響き渡る、人が走る音、馬が駆ける音。

空は、雲が太陽を隠していた。

「はぁあああああああ!!!!」

部隊の先頭を切るジークが、目の前の軍勢に向かって突っ込んでいく。

ザシュンと一閃、数人の兵を切り裂いたと同時に、馬より飛び降りる。

今度は向かってくる大勢の兵達を迎え撃つべく、手に持つ槍を振り回し構えた。

続くように、ウェルギリウス軍と帝国軍の兵達が激突する。

たくさんの叫び声、血が飛び交う音、木々が切り倒され激しい振動が起こった。

その間ジークは、向かってくる敵を薙ぎ倒していき、周りに目をやる。

(大将はどこだ?)

彼はいつも出来るだけ早く大将を倒し、敵の戦意を喪失させ撤退させていた。

そうすることで、どちらの犠牲も最小限に抑えることが出来るからだ。

そのため彼の任はまず大将を見つけ出すこと。

(くっ・・・こう数が多いとなかなか見つけられない)

しかし今回は時間がかかってしまっている。

さらに敵軍に四天王の一人、ガブリエルがいると報告を受けたので、一瞬たりとも気を抜くことが出来なかった。

(いた!?)

大勢いる兵の中を潜り抜け、ようやくその先にいる大将らしき者を発見する。

大きな鎧に鋼鉄の剣、見るからに重装備で、少し歳をいっているように見えた。

「私はウェルギリウス軍特攻部隊隊長・ジークフリート!いざ尋常に勝負!!」

槍を力強く握り締め突撃する。

それに対して

「待て」

重装備の者は、力強い空気を出しながら、一声言った。

その声色から男だと思われる。

ジークは妙な圧に押され、その場に止まった。

「私と戦いたければ、場所を変えさせてもらう」

そう言い男は敵であるジークに背を向け、ゆっくりと歩き出していく。

唖然となるが、ああまで堂々と隙を見せられては、攻撃するわけにも行かない。

警戒しつつも、男の後をついていった。






ジーク率いる部隊が戦闘を行っている中、別部隊であるサリア達は

「始まってるみたいね・・・急がないと」

戦闘区域より離れた位置にある森の中を進んでいた。

数はリフィルを含めてたったの5人である。

それでも不安がることなく、皆順調に前へ進んでいく。

「みんな良いこと、今回の任務は敵部隊の補給庫の破壊、極力戦闘は回避するように」

しんがりを勤めているリフィルが4人へと、確認させるように言った。

今回の戦闘、敵の数が多いということは、当然それ相応の武器や食料があるはず。

ジークが敵大将を討ち取った所で、数で圧倒している帝国は、そのまま攻めてくる可能性が高い。

そのため急遽加わった彼女等5人に、補給庫を絶ってもらい、敵の戦意を喪失させるのが、軍師グラディウスの狙いだった。

サリア達は彼に言われた道を通り、敵の拠点へと向かっている。

そして後もう少しの所までたどり着いた。

その時

「!?」

突如、足元より無数の棘が出現した。

棘はまるで生きているかのように、5人の体へと絡め付いていく。

「なっ・・・何!?」

「なんで棘が地面から!?」

驚いている間もなく、全員手足の自由を奪われ拘束されてしまった。

「くっ・・・まさかこんな罠があるなんて・・・油断したわ」

リフィルまでもが、無防備に宙に浮かされている。

そんな5人の下に

「うふふっ、見事に引っ掛かってくれたみたいね~」

一人の女性が現れた。

ドレスとマントに身を包むその姿は、とてもそこらの兵には見えない。

その証拠に彼女からは

「締め付け具合はどう?なんなら手足の一本や二本、切断してあげようかしら?」

たくさんの、不気味な棘が出ていた。

まるで彼女を守るように、棘達はウネウネと動いている。

「貴方たち、ウェルギリウス軍の者でしょ?大方こちらの補給庫を狙ってきていたんでしょうけど、残念だったわね」

女性はさらっと髪を撫で、サリア達を見渡す。

「さすがの天才軍師グラディウスでも、四天王が二人も戦陣に出ているとは予測出来なかったのでしょうね」

その言葉に、一同驚きを隠せない。

話に聞いていた四天王が、まさか自分達の方に現れるなんて。

「あなたが・・・四天王?」

サリアの問い掛けに対し、女性は微笑しながら口を開く。

「そう、四天王の紅一点・ウリエルよ。よろしくね、愚かなウェルギリウス軍の人達」

戦闘興のガブリエルではないが、同じ四天王には違いない。

そのためサリア達に確かな不安が溢れてきた。

このままではやられる、と。

アクアとコノハは先程から棘をなんとかしようと動いているが、棘は解けない。

「まっ、今から死ぬ人達に名乗っても、意味はないでしょうけど」

彼女の声でさらに焦り出す。

サリアとフレアも必死に動くが、体を反らす程度でまったく意味がなかった。

その間、一人落ち着いて動いていないリフィルが

「貴方がここにいると言う事は、今回の戦いにおいて、補給庫はかなり重要なものと言う事ね」

そう静かに答えた。

彼女の突然の言葉に、ウリエルを含めた一同が静まり返るが、やがて彼女だけ返すため口を開く。

「その通りよ、けれど今更そんな事を知ったところで、貴方たちに何が出来るの?」

彼女の言う通り、5人は棘で拘束され身動き取れない状態。

ウリエルがその気になればいつでも殺せる状況。

そんな中で何故平然としていられるのか、それが気がかりだった。

(リフィル先生・・・まさかピンチで頭おかしくなったとかないよな?)

アクアにそう思わせる程だ。

しかし彼の心配を余所に、彼女は「ふぅ」と軽くため息をついた。

「やはり、軍師の狙いは正確のようね」

「なんですって?」

ウリエルが疑問を持ち返した時

「えっ!?」

驚くサリア達の目の前で、リフィルの体を締め付けていた棘がすべて弾け飛んだ。

バンバンと爆発してような音が鳴り、棘は周りの木や草にべったりと付く。

「なっ!?私の棘を!?」

「リフィル先生すげぇ!!!」

アクアとコノハは歓喜の声を上げ、宙で暴れていた。

リフィルはゆっくりと地面に降り、手に持っている杖を天へとかかげる。

すると上空から光の閃光が降り注ぎ、サリア達を捕らえている棘をすべて焼き尽くした。

彼女等は自由になりドサっと地面に降りる。

「リフィルさん、ありがとうございます!」

彼女のお礼を聞き、少し微笑み、ウリエルへと向き合う。

「さて、反撃開始といきましょうか」

その声を合図に、4人は臨戦態勢へとなった。





スキット:【グラディウスの見切り】

リフィル「私達5人をそのような重要な任につけるなんて、本気なの?」

グラディウス「無論だ、何か問題でもあるというのか?」

リフィル「サリア達の実力を知らないで、もし私達が敵の部隊に見つかりやられたらどうするつもり?」

グラディウス「そうならないように、貴様がいるのだろう?」

リフィル「・・・・・・」

グラディウス「奴等4人の実力は、初めに見たとき把握した、当然貴様もな」

リフィル「見ただけで実力がわかるものなの?」

グラディウス「大体わな、後はそれに対しての結果を想定し、修正を加えた結果だ」

リフィル「ふぅ・・・大したものね・・・貴方が敵だった場合を想像したくないわ」

グラディウス「私としても、出来れば貴様は敵に回したくないものだな」





【アクアとフレア】

サリア「こらアクア、人参も食べなさい」

アクア「えぇ~・・・嫌いなんだから良いじゃ~ん!!」

フレア「ダメだよお兄ちゃん、なんでも食べなきゃ大きくならないよ?」

アクア「うぅ~・・・」

フレア「ほら、こうやってお肉に挟んだら食べられるから」

ジーク「なんだか、どっちかって言うとフレアの方がお姉さんに見えるな」

リフィル「フレアはミハエル似で面倒見が良い子ですからね、良いお嫁さんになると思うわ」

フレア「でも・・・まだ理想の相手が見つからないんですよね・・・」

サリア「まだ12なんだからそんなに慌てなくても……」

アクア「大丈夫だよ!もしお嫁にもらえなかったら俺が結婚してやる!!」

フレア「うん・・・ありがとうお兄ちゃん・・・」

ジーク「やっぱりフレアの方が上だな……」
















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