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9
9・覚醒
数時間前、帝国領内
部隊を率いている大将の大男の側に、四天王の一人ガブリエルの姿があった。
「なっ・・・本気で仰っておるのですか!?」
大男は驚き、確かめるように聞き直す。
ガブリエルが言ったことが、あまりに信じられないことだったからだ。
「当たり前だ!戦いなんてものはな、かちゃ良いんだよ!!」
叫び、再認識させるように言い放つ。
「ジークフリートを、罠にはめてぶっ潰す!」
崩壊していく建物の中、大男は走った。
瓦礫はジークの頭上に迫り、まさに直撃する寸前。
一筋の願いを込め、男は飛び込んだ。
ウェルギリウス城、戦場の森を見渡すことの出来るバルコニー。
「お兄ちゃん!?」
そこでグラディウスとウェスタと共に戦いを見ていたマリア。
突如嫌な感じが彼女の全身に走った。
「マリアちゃん?」
どうしたのかとウェスタが尋ねた矢先、マリアは塀を乗り越え、城下町へと飛び降りる。
意外と身軽な彼女は、民家の屋根を伝って森へと向かっていった。
「ちょっと!マリアちゃん!?」
慌てて止めようと動き出した時
「グラディウス様!国境付近にあった古い建物が崩壊しました!!」
側で双眼鏡のようなもので森を見ていた兵がそう叫んだ。
それを聞き足を止め、真ん中で静かに立っている軍師へと目をやる。
「私が行く。ウェスタ、おまえはここと陛下を頼んだぞ」
「・・・了解・・・気をつけて・・・」
彼女の言葉を聞き、グラディウスも塀から飛び降りた。
建物は無残に崩壊し、瓦礫の山となっている。
ジークと男の姿はない。
「はぁ・・・・はぁ・・・」
そこに、荒い息を立て両手を膝に置いているマリアがやってきた。
すぐに呼吸を整え、瓦礫の山へと足をやる。
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!?」
何故か彼女には、ここに彼がいることがわかった。
彼女自身理由はわかっていないだろうが、必死にジークのことを叫ぶ。
嫌な予感が頭から離れないからだ。
そこに
「ここにジークがいるのか?」
後から追ってきたグラディウスが辿りついた。
マリアと違い息を切らしておらず、冷静そのもの。
そんな彼にすがる思いで言う。
「はい!わかるんです!ここに・・・ここにお兄ちゃんが!!」
それを聞いたグラディウスは、静かに羽織の内ポケットへ手をやる。
出てきた物は
「どいていろ」
拳銃。
ハンドガンのようで、真っ黒で少し光っているようにも見えた。
引き金をひき、ドーンと銃声が鳴り響くと、銃口よりその大きさに似つかわしい程の、炎の玉が放たれる。
瓦礫に直撃し、ほぼすべてが激しい音をたて吹き飛んだ。
一瞬マリアは呆気に取られたが
「はっ!お兄ちゃん!!」
我に返り、目の前に現れた人影に走る。
グラディウスも銃をしまい、歩いていく。
人影は二つ、鎧を着た大男がおりその下、ジークがまるで守られているかのようにいた。
「お兄ちゃん!しっかりして!!」
マリアは当然男は目に入らず、半分出ている彼の体を揺らす。
「うっ・・・・・・ぐっ・・・」
血まみれで傷がありながらも、ジークはゆっくりと目を開けた。
それを見たマリアは、涙ぐみ
「お兄ちゃん・・・良かったぁああああ!!!!」
ガバッと抱きついた。
「マリア?どうしてここに・・・?」
彼女のことが気になったが、ふと自分の状況を思い出す。
体全身が痛いことも。
「俺は確か・・・建物に連れてこられて・・・それで大将らしき男に・・・」
そこまで思い出し、ようやく自分に覆い被さっている存在に気付く。
「この人・・・なんで・・・まさか俺を助けたのか?」
「そのようだな」
突然の声に驚くが、それがすぐに軍師のものだとわかった。
彼は巨体の男を、蹴り飛ばす。
鎧もあるのでかなりの重さのはずだが、軽々しく蹴り、男は地面を転がった。
「ジーク、ここで一体何があった?」
そう言い、彼の方を見た瞬間、目を奪われる。
マリアの流していた涙は、喜びのものから恐怖と悲しみのものへと変わった。
「お兄ちゃんの・・・・・・あっ・・・足・・・足が・・・・」
ジークの右足が、膝下よりなくなっている。
周りの血から察するに、瓦礫などの衝撃によって潰れたようだ。
彼自身驚いたが、不思議と痛みがなかったので、どう反応して良いかわからなかった。
ただはっきりと認識できるのは、自分の足がなくなっているということ。
「ふん、自分の命を犠牲にしてまでジークを守ったのは良いが、これでは戦闘不能だな」
男の方へ目をやり、そう言ったのを聞き、ジークは訳がわからなくなった。
「どうして・・・どうしてこんなことに・・・・」
相手の大将の死、自分の足、この短時間の間で起こった出来事すべてが、彼には信じられない。
「とにかく、早く治療した方が良さそうだ。貴様の今の状態、放っておけば死ぬぞ」
そうはっきりと言う軍師の言葉を聞いたマリアは
「・・・ダメ・・・・」
流していた涙を止め、立ち上がった。
何をする気なのかと彼女の方へ目をやる。
次の瞬間
「ダメーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
彼女の叫び声と共に、周りより激しい光が現れた。
光は色鮮やかな虹色をしており、それらはここら一帯を包み込むように流れ行く。
「マッマリア!?」
「・・・・・・」
驚くジークに対して落ち着いてマリアを見ているグラディウス。
二人が彼女の方を見ている間、ジークの傷が消えていく。
そして、足も元に戻るように再生したいた。
「あっ足が・・・これは一体?」
呆然となる中、先程蹴られた男にも光が注がれていく。
経つ事数秒、気がつくとジークの傷はなくなった足を含めて完全に元に戻っていた。
「マリア!?」
バサっと倒れこんだ彼女を抱きかかえる。
マリアは静かに目を閉じており、気絶していた。
「ジーク」
グラディウスに呼ばれ、彼の視線の先を見てみると。
「・・・ここは・・・これはどういうことだ?」
死んでいたはずの、鎧の男が立ち上がっていたのだ。
その光景に唖然となり、ジークの頭はパニックになっていた。
スキット:【リフィルの力】
コノハ「さっきのリフィルさん凄かったねぇ!!」
アクア「ホント!棘をバーンと消してさ!かっこよかったな~」
サリア「あれは私達も出来るのですか?」
リフィル「それは難しいわね、あれは私のようにエルフの血を持つ大量のマナを有してるから出来るもので、いくら悪魔の貴方達でも、マナを体外に放出したら命の危険があるわ」
アクア「ちぇ~、俺もやりたかったなぁ~」
フレア「お兄ちゃんは魔力が少ないからどっちにしろ無理だと思う・・・」
【マリアの覚醒】
ジーク「グラディウス軍師、さっきの・・・マリアの力ですよね?」
グラディウス「そうだろうな、お前を助けたい一心で、内に秘めていた力が覚醒したと言ったところか」
ジーク「でも・・・死んだ者を生き返らすなんて・・・」
グラディウス「・・・ひとまず城へと戻るぞ、大将を捕獲したともなれば、帝国も今しばらく兵を引くだろう」
ジーク「そうですね・・・サリア達が上手くやっていると良いのですが」
グラディウス「・・・あの力、やはり女神の・・・、私の最悪なプランにならなければ良いがな」
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