小説喫茶・メル

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11







深夜、綺麗な月が世界を照らしている中。

アクアとワルキューレはオウィディウス城下町に着いた。

夜遅いためか、警備は門番二人しかいない。

ひとまず中に入るために、門へと近づく。

その間ワルキューレは、アクアの耳元に顔を持っていく。

「よいか、アクアは新たに帝国の兵士になるために、来たという設定じゃぞ」

「OK~」

ワルキューレはともかく、アクアは完全な敵国の者なので、事前に考えていたことである。

これで準備は万端、そう思った所で門の前に着く。

「ワルキューレ様、お帰りになられたのですね」

一人の兵が平然とした様子でそう言い、視線をこちらへやった。

「うむ、すまぬが門を開けてもらえるかの?」

彼女がそう言ったのを聞くと、二人の兵は互いに顔を見合わせ

「すみませんが、それは出来ません」

手に持っている槍を、ワルキューレへと向けた。

その行動に驚く二人。

アクアは瞬時に彼女の前へ出、庇うように立ち塞がる。

「貴方様に、帝国を裏切った反逆罪として、処刑せよとの命令が出ています」

「なっ・・・!?」

信じられなかった。

ほんのわずかの間城を抜けていただけだと言うのに。

そんな彼女にさらに追い討ちをかけるべく、兵は話す。

「これは、シグルズ様が決定なさったことです」

ズキンと、何かに貫かれたような感覚に襲われる。

実の兄が、自分を殺せと命令。

彼女にとってはそれだけで頭がパニックになった。

そんな中

「・・・ざけるなよ・・・」

顔を下げ、拳を震わせているアクアが、静かに口を開く。

「ふざるなよシグルズ!!!!」

叫んだ瞬間、目の前の兵達へと突撃。

一人は顔を殴り、もう一人は腹を蹴り飛ばした。

それだけで二人の兵はダウン。

そしてその勢いを殺さず、門を小さい体ながら、体当たりで突き破った。

ワルキューレは呆然と、彼の方を見ている。

「ワルキューレ、シグルズのところに案内してくれ」

手を握られ、我に返る。

なんとか意識を保ち「うむ・・・」とだけ返し、道を教えた。






門が破られたというのに、城内は静かで、兵の姿もない。

罠かと考えるが、ワルキューレに導かれ、シグルズのいる部屋の前までくる。

そこは謁見の間で、ウェルギリウス城と同等の広さがあった。

部屋に入ろうと、足を進めた時

「お帰り、ワルキューレ」

背後より、少し柔らかい声が聞こえた。

振り返ってみるとそこには、予想していた人物。

「あっ・・・兄上・・・」

「あんたがシグルズか!?」

ワルキューレの兄で、帝国皇帝、シグルズの姿があった。

アクアよりも一回り程大きい体格、顔も、着ている魔術師のような服も綺麗で、長い髪を後ろで少し束ねている。

その様子から、女性にも見えた。

しかしアクアは、そんなところは見ておらず、一人拳を握り締め、突撃する。

「アクア!?」

慌てて止めようと叫んだが、彼は耳に入っておらず、シグルズへと向かう。

「シグルズーーーーーーーーーーー!!!!!」

「君がワルキューレのボーイフレンド?随分忙しい子だね」

アクアの拳が彼へと届く寸前

「!?」

体が動けなくなり、地面へと這い蹲った。

気がつくと、自分の上に誰かが乗っている。

「よお!生きてやがったかクソガキ!?」

四天王の一人、ガブリエル。

アクア達と戦った男で、リフィルに相当ダメージを負わされたはずだが、その傷はもう見えない。

「ガブリエル!?やめるのじゃ・・・ッ!?」

「動かないでください」

叫んだ途端、両手を後ろにやられ、立ちながらも動けない状態にされた。

「ラッ・・・ラファエル・・・」

四天王の隊長が、ワルキューレの動きを抑えることにより、二人は拘束された状態にある。

それを見ていたシグルズが、先程と変わらぬ口調で話し始める。

「悲しいよワルキューレ、まさか君が、僕を裏切るなんて」

彼に言われ、ショックだったことを思い出し、それでも耐え言い返す。

「兄上!いい加減目を覚ますのじゃ!!こんな戦いをして、何になると言うのじゃ!?」

彼女の精一杯の叫びを聞いても、彼の様子は変わることはない。

それどころか微笑し、話続ける。

「もう君がそれを知る必要はないよ、だって・・・」

そこまで言い、ガブリエルとラファエルが、武器の刃を二人の首元に当てた。

「二人とも、ここで死ぬんだから」

その言葉に、アクアはじたばた動くが、逃げられない。

ワルキューレの方は再びショックに襲われ、言い返すことが出来ない。

絶対絶命、二つの刃が二人の首元で少し動く。

刹那

「!?」

バリーンと、上のテラスへと続く窓ガラスが割れ、ガブリエルとラファエルに向けて、二つの銃弾が飛んできた。

いきなりの出来事なので、二人はアクア達を離し、飛び退く。

シグルズのいる場所に行き、何者かと窓の方を見る。

そこには

「まだ生きているようだな、アクア、ワルキューレ」

「大人3人で子供をいじめるなんて、かっこ悪いと思わないんですか?」

先程撃った一丁の銃と構えたグラディウスと、剣を抜き臨戦体勢のエミルの姿があった。






スキット:【大切だから】

リタ「お互い・・・派手にやられたわね・・・」

リフィル「貴方程ではないわよ」

リタ「ふん・・・まぁ確かに、似合わないことしちゃったわねあたし・・・」

リフィル「そうね、エステル以外にそんなことしたのって、初めてじゃないかしら?」

リタ「・・・かもしんない・・・・だって・・・」

リフィル「???」

リタ「あの子は・・・死なせたくなかったんだもん」

リフィル「・・・・・・」

リタ「弟子っていうかその・・・大切な、妹みたいなものだから」

リフィル「・・・ふふっ・・・」

リタ「なっなによ?」

リフィル「ごめんなさい、人って変わるものだな~と思って」

リタ「うっうるさいわね!!どうだって良いでしょそんなこと!!?」

リフィル「はいはい、ごめんなさいね」






【修復】

ロイド「門の調子はどうだ?」

ハロルド「う~ん、やっと二人まで通れるって感じかしらね」

ロイド「整備していたとはいえ、長年使ってるからなこれも」

ハロルド「そうなのよね~、未だに私が解明出来ないなんて、ホントに凄い代物よこれ」

ロイド「まっ、とにかく二人か、じゃあ最後のアクア担当は二人行ってもらうか」

ハロルド「そうね、実験データも取りたいし♪で誰を行かせるの?」

ロイド「一人はあいつだ、厳しいがアクアを鍛えるには最適だと思う」

ハロルド「もう一人は?」

ロイド「アクアを支えてやれる・・・あいつだな」

ハロルド「・・・あぁ~、あの子ね」
















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