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ワルキューレの件より、1週間が経った。
帝国が攻めてくることはなく、皆各自戦いに向けて、修行したり休んだりと様々だ。
アクアだけは、リオンとカノンノと共に、山にこもっている。
シグルズの狙いを、独自に調べているグラディウスだが、未だはっきりとした目的はわからなかった。
ジーク家にて、昼食を終えお茶をしている時、城からの伝書鳩が窓より入ってきた。
マリアはいつものように、鳩より手紙を受け取る。
そこに書かれている内容を見、表情が険しくなった。
サリア達に告げ、城へと向かう。
グラディウスからの、召集命令。
会議室に、再びメンバーが集まった。
しかし、アクア、リオン、カノンノの姿はない。
まだ修行から帰っていないためだ。
それをわかりつつ、軍師は話し始める。
「帝国軍が、今まで以上の兵力で、かなりの速さで進軍してきている」
ついに、あの事件から初めて帝国が攻めてきた。
数が多い理由も、皆なんとなくだがわかっている。
ワルキューレにより少しとはいえ、目的がバレたシグルズが焦っているのだろう。
「四天王はガブリエル一人だけのようだが、今回の戦い、厳しくなるぞ」
ただ数が増えただけでなく、戦う上で注意しなければならないことがある。
「刃がついた武器は使用するな、極力相手を気絶させるなりして、傷つけずに迎え撃て」
ワルキューレの話によると、両軍ともに血を流してはならない。
こちらだけなら、相手を圧倒して追い返せば良いのだが、それが難しくなる。
兵のほとんども武器を使っているため、ほぼ素手での戦闘になってしまう。
「要するに、全員黒焦げにしたら良いんでしょ?」
「リタさん・・・それはちょっと違う気が・・・」
魔術で応戦するのも、限られたものしか使えないため、厳しくなるのは必須だった。
その上自分達も傷ついてはいけないため、余計に難しい。
「みねうちか~、あたし苦手なんだよね~」
「出来るだけ体術でいくしかないね、僕もどちらかというと苦手だし」
本来はエミルも強気な方ではないため、苦手なことがくると気落ちする。
コノハの方は苦手と言いつつ、気合でなんとかしてしまいそうだが。
各々が戦い方を話し合っている中、軍師がリフィルとフレアのもとにいく。
「お前達二人は戦闘を避け、負傷した兵の治療を最優先としろ」
一度血を流してしまったらダメなのか、それはわからないが、もしもを考えの配慮。
二人はコクっと頷く。
そしてあまり間もなく、戦闘配置を命じられた。
国境付近で、北東、東、南東に分かれて配置されたジーク達。
ジークは東、サリアとリタは北東、コノハとエミルは南東、フレアとリフィルは中央で救護部隊。
そしてマリアはグラディウスとウェスタのもとで待機している。
彼女は狙われる恐れがあるので、腕の立つ二人の側にいる必要があった。
ジークの側は危険であるからでもある。
皆後方にたくさんの兵を構えているとはいえ、状況によっては守りながらの戦いになる。
そんな思いをしている内に
「来た!?全軍、戦闘態勢!!」
目で見える位置に、帝国兵の姿があった。
その数はおよそ500を越える。
それに比べてこちらはわずか50足らず。
3箇所すべて合計しても、敵はこちらの約10倍。
「これは・・・少し厳しいな・・・」
槍ではなく、長い棒を握り締め、向かってくる敵に突撃する。
相手は当然ながら刃物を使っているため、回避を優先した戦いとなった。
サリアとリタも、詠唱を開始し、戦闘に入る。
前衛は味方の兵達に任せているため、問題なく完了した。
「サンダーブレード!!」
「フレイムドラゴン!!」
頭上より雷の剣を落とし、大勢の敵の痺れさすサリアに対し、紅蓮の炎で容赦なく燃やし尽くすリタ。
確かに出血は抑えられるが、加減をしないといけないので、やりづらくもあった。
その上、味方の兵がやられないよう援護しなければならないので、次から次へと、詠唱が止まることはない。
まさに、耐久戦である。
同じように、コノハとエミルも苦戦していた。
コノハは体術、エミルはグラキエスを主体として戦っているが、何せ数が多い。
そんな中、エミルと対極の位置にコノハが、いきなり叫ぶ。
「師匠!【アレ】やろうよ!?」
「えぇ!?ホントにやるの?」
久々に、驚いた様子のエミル。
する必要があるのかと思うが、彼女がやる気満々なので、仕方なく合わせる。
二人して、大勢の敵を囲むようにスタンバイした。
そして互いに、剣の代わりの棒を抜く。
「瞬間響き合い!」
「こっ・・・心交わる///」
笑顔で言うコノハに対し、照れながら言うエミル。
二人は突きの構えとなり、猛スピードで突っ込んだ。
『衝破!十文字!!』
互いに交差することにより、周りの兵達が、その速さで吹き飛んでいく。
動きの速いこの二人だからこそ、出来ることだった。
フレアとリフィルも、次々と負傷してくる兵達の治療で精一杯だった。
思った以上に皆出血をしており、とにかく血を止めるのが最優先。
持てる全てを引き出し、癒しの光を放ち続けた。
当然こんな状態では、援護攻撃や、補助をつけることも困難だった。
「このままではマズイわね・・・」
こちらの力が尽きる前に、相手を追い返さなければならないが、今回はそれが厳しい。
そのため、リフィルの額からも汗が流れていた。
「お兄ちゃん・・・早く・・・・戻ってきて…」
かすかな願いを込め、少女は治療に専念する。
今自分に出来ることを、全力で行う。
それを遠めから見ていた、軍師グラディウスも、さすがに険しい表情が隠せなかった。
スキット:【急げ!】
カノンノ「もう少しで、戦闘区域だよ!」
リオン「間に合うか・・・苦戦しているようだからな…」
アクア「・・・リオンさん」
リオン「何だ?」
アクア「先に行って、良いですか?」
リオン「・・・・出来るのか?」
アクア「やります・・・やらせてください」
リオン「・・・・・・良いだろう、行ってこい」
カノンノ「気をつけてね・・・アクア」
アクア「あぁ・・・戦いを、止めてみせる」
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