小説喫茶・メル

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4章・1







34:戦う意味







涙を流しながら気絶したサリアは、ゆっくりとミハエルへ倒れこむ。

「サリア・・・俺は、一体何を・・・?」

そっと抱えながら、自分の今に至ることを思い出そうとするが、出てこない。

「ようやく目ぇ覚ましたか」

二人の元にやってきた不知火とメル。

炎を解き、不知火は羽織を着、メルの方は髪が元に戻った。

彼等の姿に、ミハエルは驚くが、落ち着いて尋ねる。

「不知火、メル・・・なんでおまえらがここに?」

「・・・何も覚えてへんのか?」

少し予想はしていたが、先ほどの戦いまで覚えてないのかと疑問が生まれる。

しかし、考えていても仕方がないので

「しゃーない、この世界で起こってること、俺等も聞いた限りやけど話すわ」

説明するよう、メルと共に話し始めた。







中庭で、激しい戦闘を繰り広げている、ジークとラファエル。

お互いに一歩も退かず、決定打を与えられぬまま攻撃し続ける。

そんな中、距離が空いたので、ラファエルは一息いれるように口を開く。

「確かに、かなり腕を上げましたね・・・」

以前は彼の圧勝にも近かったのだが、今回はほぼ互角の勝負に思えた。

その証拠に、少し息が乱れている。

ジークの方も、同じぐらい息を乱しているが、まだいけるといった雰囲気だった。

「あなたに勝つため・・・大切な人を守るため、そして・・・」

呼吸を整え、続ける。

「あなたを、シグルズから解放するために、強くなると決めました」

「・・・・・・軍師から聞いたのですね・・・」

ラファエルの表情が曇る。

何かを思い詰めたように、剣を強く握り顔を下げた。

「はい・・・あなたは、シグルズの正体に気付いていながら、それでも部下としての勤めを果たすため、命令を聞いていると…」

「・・・・・・」

「兵として、俺はあなたを尊敬します・・・だけど、女神ブリュンヒルドを放っておけば、どうなるかぐらいわかるはずです!?」

戦いにより流れる血、それを阻止するためにボロボロになる仲間。

アクアがそれを止めようとしたように、彼も止めたくて必死だった。

「アクア達がシグルズを元に戻したら、もうこれ以上戦う必要なんてないんです、だから!」

「そういった台詞は」

急に返されたので、彼の方を良く見てみると

「私を、倒してから言ってもらいたいですね」

今まで以上の、気迫があった、

全身よりピリピリと迸る威圧、震える空気。

ジークには、その正体がすぐにわかった。

(本気で・・・くる!?)

それでも退くわけにはいかないと、槍を持つ手に力を込め、構えた。








ようやく祭壇へと着いたアクア達。

グラディウスを先頭に、一人ずつ入っていく。

中は他の場所に比べると広くはなく、その名の通り奥に祭壇があるだけだった。

そこにいる、皇帝シグルズの体に宿っている

「そろそろシグルズを返してもらおうか、女神ブリュンヒルド」

ブリュンヒルド。

ワルキューレを消し、今回の戦いの火種となった女神。

以前はシグルズのように振る舞っていたが、今回は

「さすがは人間の中で天才と呼ばれているだけはある、私の存在に気付くとはな」

隠す様子もなく、初めから女神として構えていた。

だがそれだけで、アクア達にとっては威圧がかかる。

フレアに至っては、震えそうな体を必死に耐えていた。

それを横目で見たアクアは、そっと彼女の前に行く。

「お兄ちゃん・・・」

少し安心したのか、しっかりと目を開き、ブリュンヒルドの方を見ることが出来た。

「女神・ブリュンヒルド・・・」

前に出たアクアが、静かに口を開く。

その様子をカノンノは心配した様子で見つめる。

「どうして・・・ワルキューレを手にかけた・・・?」

彼が暴走しないかどうかが、不安だからだ。

そんな彼女の心配を余所に、アクアとブリュンヒルドは話し続ける。

「簡単だ、奴は姉である私の計画に背いた、だから殺したまでのこと」

そのあまりにも無情で冷徹な言葉に、アクアは

「ッ・・・このクソやろぉおおおおおおおお!!!!!」

我を忘れたように、飛び出した。

剣を抜き、猛スピードで迫っていく。

「お兄ちゃん!?」

「いけない!アクア!!」

慌てて止めようと走るフレアとカノンノだが、グラディウスは何故か動かずじっとしていた。

「愚かな奴だ、怒りのまま剣を振るうのは自殺行為だというのに」

そう言いながら、手に数十本のナイフを持ち、一斉にアクアへと投げつける。

真正面から向かってくるそれを

「!?」

彼はまともにくらってしまった。

ザシュンという、無残な音が鳴り響く。

「ッ!?いやぁああああああああああああああああ!!!!」

涙を流し叫ぶフレアに、あまりの出来事に思考が止まるカノンノ。

それを高い声で笑う女神。

しかし、良く見ると

「俺が怒りに身を任せて、突っ込んだと思ったか?」

血がない。

ナイフは彼に刺さったのではなく、彼が背中につけていたマントに刺さっていた。

「なっ!?」

不意をつかれ、慌てて振り向くブリュンヒルドだったが

「幻影刃!!」

一閃、すり抜けるように動いたアクアに、胸辺りを切り裂かれた。

彼はそのままフレア達の元へ行く。

「こう見えても俺の母親は忍者なんだ、陽動や変わり身くらいは出来るんだぜ?」

先程までの逆上した様子はなく、落ち着いて前を向いていた。

グラディウスはそれに対し苦笑し、フレアは腰が抜けたように座り込み、カノンノは

「・・・初めから、私が心配する必要なんてなかったね♪」

ニコっと笑い、アクアの成長に心震わせていた。








スキット:【忘れないで!】

ミハエル「そうか・・・俺の意識がない時にそんなことが・・・」

不知火「いろいろと、面倒なことになってるみたいやで」

ミハエル「あぁ・・・不知火、メル、迷惑かけてすまなかった」

メル「今回は、私達より謝る相手がいると思うけど?」

サリア「えぐっ・・・・・・兄・・・さん…」←気絶中

ミハエル「・・・そうだな・・・」

シルフィー「いやぁ~でも、やっと元に戻れてよかったです」

メル「・・・あれ?」

不知火「おりょ?」

ミハエル「どうした?」

メル「シルフィーの声が聞こえる!?」

不知火「メルも聞こえたんか・・・どういうことや?」

シルフィー「本当ですか?」

メル「うん!聞こえるよシルフィー!!」

シルフィー「嬉しい!またメルとお話が出来る♪」

ミハエル「・・・これもサリアのおかげか?」

不知火「んなアホな・・・つかシルフィーのこと忘れとったわ…」←ミハエルへ投げる

シルフィー「忘れないでください!!」
















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