小説喫茶・メル

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エネルギーが溜まるまで、あと1時間を切った。

アクアとマリアは少しでも早くするために、より集中し送り続けている。

そこに

「みんな!大変!!」

部屋のドアを勢いよく開け、カノンノが入ってきた。

彼女もほぼ休まず治療していたせいか、疲れた様子で呼吸を整える。

「どうしたのカノンノ?」

二人の集中を乱さないために、リフィルは落ち着いて対応した。

それに対しカノンノも落ち着こうとするが、息は少し荒げながら話す。

「みんなもう限界なの!!今ミハエルとメルとロイドと、グラディウスさんが食い止めてるけど、いくらあの4人でも・・・これ以上は!!」

カノンノがあげた4人は皆より体力があるが、それでもずっと戦えるわけではない。

サリアやリタ、ジーニアスなどの魔術師系は当然持久戦は困難。

ラタトスクの力を借りれるエミルや、ソーディアンデバイスで強化出来るリオンも、さすがに限界がある。

不知火も体力がある方ではなく、コノハに至ってたは怪我のせいで元々万全ではなかった。

ジークとラファエルはほぼ地上専門のため、戦える範囲も限られている。

「・・・まずわね・・・後1時間、私も出るしか…」

「・・・・・・」

集中しながらも、アクアにはリフィル達の会話が聞こえていた。

そのせいか、彼女等には気付かれないように、込めるエネルギーを強くしていく。

少しでも早く終わらせるために。

(相変わらず、誰かのためならどこまでも無茶をするのですね)

(!?)

突如聞こえた声に反応し、思わず目を開けるが、隣にマリアがいるだけだった。

そして再び目を瞑ると、聞こえる。

(でもその優しさが、私を救ってくれましたね)

(ワル・・・キューレ?)

(ふふっ・・・・・・もう声を忘れてしまいました?)

聞こえるのは紛れもない、彼女のもの。

自分が命を欠けて守ろうとした、女神ワルキューレ。

今自分に、力を貸してくれている存在。

(どうして・・・?今まで、聞こえなかったのに…)

(・・・最後ですから、話しておきたかったのです)

(最後?)

その意味有り気な言葉に疑問を持つ。

だが集中を切らすわけにはいかないので、あまり考えられない。

(アクア、兄を・・・ブリュンヒルド姉様から解放してくれて、ありがとう)

(・・・約束だったからな・・・・・・シグルズさんを元に戻して、戦いを終わらせるって…)

その言葉を聞き、彼女は少し間をおき返す。

(・・・・・・えぇ、だから・・・終わらせましょう)

(えっ?)

(これ以上、誰も犠牲にしてはいけません)

アクアの体の周りに、白い光が強く発生し漂う。

さらに体の中で、力が沸いてくると感じた。

(ワルキューレ…)

(・・・アクア、カノンノさんを、大事にしてあげてね)

(・・・・・・)

彼女に言われると、少し複雑な気持ちになるが、男らしく「あぁ」と返す。

それを聞いたワルキューレは、声色を柔らかくし

(わらわはいつも、お主達を見守っているからの♪)

彼の心の中に現れ、微笑んだ。

その瞬間、彼とマリア、そして封印君三号が激しい光に包まれた。









始まりの生物と戦闘中の4人。

「きゃあ!!」

メルが巨人の腕に吹き飛ばされる。

勢い良く地面に激突しそうなのを、ミハエルがキャッチし受け止めた。

しかしかなりのダメージなのか、彼女の周りの炎が消えかかっている。

「ミハエル!メルを連れて下がれ!!」

そう叫び前に出るロイドだが、彼も相当疲労しており、自らは仕掛けなかった。

グラディウスも様子を見ているのか、ミハエル達の側に寄る。

そこに

「お待たせしました」

マリア、リフィル、フレアの3人がやってきた。

予定より早いことに驚くが、皆が落ち着いて空を見上げているので、釣られて見ると

「アクア・・・」

悪魔とワルキューレの羽根で飛んでいる、アクアが舞い上がった。

光に包まれた彼は、右手に封印君三号を持っている。

そして何かを思い詰めた表情で呟く。

「・・・・・・辛いよな…」

彼の言葉に、ミハエルやロイドは呆然となる。

彼は今、始まりの生物に話しかけていた。

「いや、感情がないから・・・辛いってこともわからないんだな…」

何故話すのか、何を言いたいのかはわからないが、皆はただ、彼の言葉を聞く。

「何のために生まれたもわからず、何も感じることが出来ずに・・・」

「・・・お兄ちゃん…」

「・・・けど」

険しい表情のまま顔を伏せる。

封印君三号を握り締め、ゆっくりと上げていく。

「もし生まれ変わることが出来たら、辛いことも悲しいことも・・・嬉しいことも全部・・・」

瞬間、二つの声が重なる。

『俺(わらわ)達が、教えてあげるから!!』

その声は、ここにいる全員に聞こえた。

さらに皆には、アクアの背後で、ワルキューレの姿が重なって見える。

彼はゆっくりと、封印君三号を投げた。

コツっと始まりの生物に当たり

『バイバイ』

爆発したように、激しい光が辺りを包んだ。

光は巨人を飲み込み、徐々に小さくなっていく。

そしておさまった時、始まりの生物は、消滅していた。







スキット:【最後だから】

ワルキューレ「マリ姉、いろいろとすまなかったの」

マリア「何言ってるの・・・一番辛い想いをしたのは、貴方じゃない…」

ワルキューレ「そんなことはないぞ!わらわは・・・・・・人間に転生出来て良かった…」

マリア「・・・・・・」

ワルキューレ「兄が出来・・・アクアに、会えたからの」

マリア「そう・・・だね」

ワルキューレ「ブリュ姉は・・・・・・いや、今となっては確かめようのないことじゃな…」

マリア「・・・うんでも、あの人にもあの人の考えがあった・・・それは事実だと思う」

ワルキューレ「・・・・・・」

マリア「感情はあった方が良いのか、なかった方が良いのか・・・そんなことに迷ってたんだね、あの時の私達は」

ワルキューレ「そうじゃの・・・人になってから、ようやくそのことに気付くとは、わらわは情けない女神じゃ」

マリア「だけど、大切なのはこれからだよね」

ワルキューレ「うむ、これ以上、同じ過ちを繰り返さないために」

マリア「・・・・・・後は、任せて」

ワルキューレ「・・・またの、マリ姉♪」

マリア「うん、またねワルキューレ♪」
















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