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第三話
エデン学院、放課後
「あぁ~今日も終わったー!!」
両手を組み、上に伸ばし背筋を張るコノハ。
「コノハー!帰るぞ~!!」
隣のクラスより、アクアとフレアがやってきた。
3人は基本的に、毎日一緒に帰っている。
コノハは「うん!」と返し、鞄に荷物を積めていく。
その時
「おーほっほっほ!!!」
廊下に、甲高い声が響き渡った。
その声を聞いたコノハは
「・・・また来たよ・・・・」
肩を落とし、そう呟いた。
そして彼女の教室に、一人の女子生徒が入ってくる。
エデン学院の制服を着ているのだが、周りにつけているアクセサリーから、とても派手に見えた。
女子生徒は急ぎ足でコノハの元へやってくる。
「コノハさん、今日こそ決着をつけますわよ!!」
「あのさ~・・・決着も何も、この前の勝負はあたしが勝ったじゃん」
「あれはあなたが得意なスポーツだったからですわ!!今回はそうはいきませんことよ!!」
普段元気の良いコノハが、珍しく気落ちする相手。
「受けてあげなよコノハ、じゃないとクローバさん、家までついてくるよきっと…」
フレアが言ったこの生徒、クローバ。
アラスタ城下町に住む、皆と変わらぬ生徒なのだが、コノハと対決してからは、お嬢様キャラをしている。
理由として、コノハが王女であることから、戦いの土俵に立つにはまず立場からと、自分なりの精一杯の貴族スタイルだった。
コノハ以上に騒がしく、コノハ以上に大きい声。
さすがの彼女も、クローバには変に圧倒され、普段のテンションを保てなかった。
観念したように、返事をする。
「あぁ~もう、相手すれば良いんでしょ!?」
「それでこそライバルですわ!!」
「で、一体何の勝負?」
それを聞き、「ふっふっふ」と呟き、人差し指をコノハに向ける。
「ずばり!お菓子作り対決ですわ!!」
クローバは、彼女が料理を出来ないことを知っている。
(ふふふっ・・・これなら私(わたくし)に勝機が十分にありますわ)
しかしその情報は、少し前までのこと。
家庭科室
判定役、アクア、フレア、アヤメ、スイレン
結果、4対0でコノハの勝ち。
「なっ・・・なぜですのーーーーーーーーーーーー!!!!?」
地面に這いつくばり、頭を抱えるクローバ。
彼女の出来も悪くはないのだが、お菓子作りならコノハの方が上だった。
「さっ帰ろ帰ろ・・・」
何かを言われる前に、皆を連れ一目散に教室を出ていく。
次の日
魔法演習の授業は、2クラス合同で行われる。
今回は、コノハのいるクラスと、クローバのいるクラス。
「運動能力はコノハさんの方が上ですが、魔法力なら私が上のはずですわ!」
昨日負けたというのに、すぐに立ち直っているクローバ。
気合満々に、初めの練習、炎の玉を作り出す作業を行う。
皆が必死にサッカーボール程の大きさを作り出している間
「さあみなさん!私の魔法力に見惚れなさい!!」
クローバは、その倍程の大きさの炎を、両手から出現させていた。
その時
「うわっ!!」
ボーンと爆発が起こり、皆の視線はそちらへ向かう。
クローバも何かと思い見ると
「あいたたた・・・失敗しちゃった…」
コノハが尻餅をつき倒れていた。
「もうコノハ、力込め過ぎだってば!」
「コノハちゃん大丈夫!?」
「今はサッカーの時間じゃないんだぜ?」
女子も男子も、コノハの元へ集まり、わいわいと賑わっている。
それを見ていたクローバは、炎を消し拳を握り締めた。
「どうしてコノハさんの方が人気がありますの!?失敗してますのよ!?」
納得いかず、地面をバンと蹴ろうとし、足を滑らせこける。
コノハのように倒れたが、寄ってくる生徒は少なかった。
放課後になり、一人学園から出ていくクローバ。
「あぁあああイライラしますわ!!何故あのような人が王女なんですの!?」
文句を言いつつ下を向いて歩いている。
「ッ!いってー!!」
目の前より歩いてきた二人組みの男にぶつかった。
クローバより少し大きいところを見ると、高等部の生徒に思える。
「あらごめんなさい、私考え事をしてまして」
その愛想のない言葉に腹を立てたのか、男の一人が彼女の胸倉を掴んだ。
「おいおい、最近の中等部は礼儀を知らないのか?」
「ぶつかっといて詫びの言葉がそれだけかぁ!?」
二人して迫るので、クローバは思わず顔を逸らす。
「だから!謝ったではありませんか!!?」
逸らしながら言うので迫力に欠けるせいか、男達はさらに調子に乗る。
学園委員長だったマルシアが卒業してからは、このような者達が少しずつ増えかけていた。
「どうした?何事だ?」
3人の周りに、さらに悪そうな生徒が増えていく。
およそ10人、クローバを取り囲んでいった。
(ッ・・・これは・・・私ピンチなのでは?)
逃げようにも、胸倉を掴まれているので動けない。
「とりあえず一発、ぶつかりやがったお返しだ!」
掴んでいる男子生徒が、クローバの顔目掛けて拳を放った。
思わず目を瞑り、覚悟する。
しかし男子生徒の拳は空をきり、気がつけばクローバもいなくなっていた。
どこに行ったかと思い周りを見渡すと
「・・・クローバに、何する気だったの?」
少し離れた所に、クローバを抱えたコノハがいた。
鋭い目つきで、生徒達を見つめる。
「決まってんだろ!?ぶつかった仕返しを・・・」
そこまで言った所で、一人の生徒に肩を掴まれる。
「おいやめろ・・・あいつ、王女のコノハ・シルファーだぜ」
そう耳元で呟かれ、黙り込んだ。
王族が有名なのは今に始まったことではないが、コノハはアクア、フレアに比べるとかなり名が知れていた。
「ちっ・・・・王族に舐められてたまるかっ・・・・・・」
そう言い彼女の方を見た瞬間
「今度クローバに何かしたら・・・許さないからね…」
独特の強い圧にやられ、生徒全員がすくんだ。
彼女はそれを確認すると、クローバを下ろしてあげ、手を握り去る。
城下町、クローバの家付近
「どうして・・・私を助けたのですか?」
自分はひたすら彼女にからみ、迷惑をかけていたのではないかと、さすがに勘付いていた。
だがコノハは、そんな彼女の疑問を打ち消すように
「どうしてって、友達を助けるのは、当然でしょ!?」
普段の笑顔で、初めて彼女の前で微笑んだ。
クローバは心打たれ、声には出さず思う。
(コノハさんが皆に慕われているのが・・・わかった気がしますわ…)
そして改めて彼女と向き合い、微笑む。
「コノハさん、ありがとうございました」
「へっ?あっうん・・・どうしたの?」
急に雰囲気が変わるので、戸惑うコノハの手をクローバは握る。
目をキラキラ輝かせ、叫ぶ。
「私、今日から貴方のことを師と称えますわ!!」
「えぇ!?ちょっまっ!!」
「コノハ様~!!」
「これならライバルの方が良かったよ~!!勘弁してーーーーーーー!!!」
城へと走り去るコノハを、クローバは追いかけ続けた。
続く…
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