小説喫茶・メル

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第四話









エデン学院、放課後

本日は週末なので、皆休みの日の予定のために話し合っている。

コノハもその一人だった。

「ねぇねぇ!今週の休みどこか行かない!?」

元気一杯で、机の周りにいるスイレン達に提案するが

「あぁ~ごめん、あたし今週彼とデートだから」

「私も・・・家族で旅行に行く予定なの」

「ごめんねコノハ」

それぞれ理由があり、拒否された。

彼女等はそのまま教室を出ていく。

スイレンはコノハの横を通り過ぎる際、ポンと肩を叩いて呟く。

「あんたも汗臭い修行ばっかやってないでさ、そろそろ彼氏でも作ってデートでもしなよ」

そう言い手をヒラヒラ振りながら、教室を出ていった。

一人、残されたコノハは

「・・・うぅー・・・何よみんなして・・・・・・デートぐらい、あたしだって…」

お菓子作りの時のように、何かを考えていた。







アラスタ城、中庭

「ってなわけでアクア!あたしとデートして!!」

「ブーーーーーーーーー!!!!!」

飲んでいたオレンジジュースを勢い良く吹き出すアクア。

隣で聞いていたフレアも呆然となるが、話を進めるために尋ねる。

「どうして急に・・・?」

「いやぁ~それがね…」

学校であったことを話すコノハ。






「それで、デートっていうのを経験しておきたいと…」

「うん、かといってクラスの男の子に頼むわけにはいかないしさ~・・・アクアなら適任かと思って」

「・・・俺ら一応身内だろ・・・?」

兄弟でデートというのもおかしな話であるが、完全ではないのでアリだと認識しているようだ。

コノハは負けず嫌いな性格なので、スイレンにバカにされる度に相談してくる。

それに慣れている二人とはいえ、今回は驚いた。

「お願いアクア!!明日一日だけで良いから、あたしとデートしてよ~!!?」

両手を合わせ頼んでくるので、本当に困っているように思えるので、頭をポリポリとかく。

「けどな~・・・もしスイおじさん・・・・・・それにカノンノにバレたら俺・・・殺される…」

背筋がブルっとなり、震えるアクア。

さすがのコノハも、諦めたような表情をする。

それを見かねたのか、震えを止め向き直った。

「・・・・・・わかったよ・・・」

「えっ?」

「兄弟が困ってるのを、ほっとくわけにもいかないしな」

彼の言葉に、コノハは目を輝かせ手を握る。

「ありがとうアクア!!ホントもう大好き!!!」

なんとか一件落着したが、一人不安なフレアは

(・・・な~んか心配だから、私が見張ってたほうが良いかも…)

そう思い、ついていくことを決めた。








次の日になり、城前ではスイ達にバレる恐れがあるので、学園前で集合にした二人。

休みの日なので、生徒達は部活動をしている者達しかいない。

コノハは大勢の運動部から誘われているのだが、彼女には師匠である、エミルとマルタとの修行がたまにあるので、完全に入部するわけにはいかなかった。

門より少し離れた所で、コノハを待つアクア。

待つこと数分。

「アックアーーーー!!!」

聞き覚えのある大声が聞こえ、その方向を見てみると

「いやぁ~おまたせ!!」

普段とは違った雰囲気の、コノハがやってきた。

ボーイッシュな感じの彼女だが、今回は妙に女の子らしい格好をしている。

「・・・なんだその格好?」

「あぁこれ?フレアがせっかくのデートだからって、自分の服から選んでくれたんだよ」

学園に行く時は制服なのでスカートだが、普段着で彼女のスカート姿を見るのは初めてだった。

当然ながら、彼女は良く動くので短パンを履いている。

しかし今回はレギンスだった。

「へぇ~・・・可愛いじゃん」

普段とは違う姿に、思わず少し見惚れてしまったアクア。

それに対してコノハは、自身満々に返す。

「でしょ~!?やっぱあたし見た目は良いんだよね~、趣味が男の子っぽいだけで」

「自分で言うか…」とツッコミたくなったがやめておいた。

話を切り替えるために、一歩足を踏み出す。

「さて、じゃあ行くか」

「うん!ってどこに?」

「まぁそれは、着いたらのお楽しみってことで」

そう言い、二人はゆっくりと足を進めた。

その背後で

「・・・さすがお兄ちゃん、カノンノさんと付き合ってるだけあって、それなりのプランは立ててきたのね」

全身を黒いスーツのようなもので覆われた、フレアが見張っていた。







二人はアラスタ城下町に着き、西側へと向かう。

そこには

「うわぁ~・・・ここって…」

とても巨大な、ショッピングモールがあった。

綺麗な飾りつけなどもあり、この世界に似つかわしくないものだが

「そっ、最近出来た、ナルクおじさんが経営してるとこだよ」

経営者がナルクなら、話は別だった。

彼は異世界のことも詳しく、その上発明好きなので、こういったものを作るのは容易。

今までは森の奥でひっそりと発明をしていたのだが、アクア達が生まれてからは、こういったものを作り、アラスタの民を喜ばせていた。

「ここに来たってことは、買い物?」

「う~んまっ、ちょっと見せたいものがあってさ」

「???」

?を浮かべるコノハを余所に、アクアは中へと入っていく。

「あっ!待ってよアクアー!!!」

急いで追いつき、彼の腕に抱きついた。

「っておい!コノハ!?」

「だって~、カップルはこうするものだって、フレアが言ってたよ?」

我が妹ながらどんな知識をつけているのだと思ったが、深く考えないようにする。

そうして中に入ると、圧倒的な光景に目を奪われた。

「ひゃ~・・・・・・城よりデカイっていうか・・・長い!!」

横幅はそれほどないのだが、高さと長さが異常。

目をこらさないと奥の壁が見えないほどだった。

周りの店をキョロキョロと見渡しながら、奥へと進む二人。

途中コノハが左右へ行ったり来たりするので、何度もこけそうになるアクア。

「・・・コノハと付き合う人って・・・やっぱり大変そう…」

それを遠くから見ているフレアが、頭を抱えていた。





二階に上がり、さらに奥へと進むと

「はぁ~~~~~ん♪」

コノハの目がとろけ、周りにハートが具現化し始めた。

着いた場所は、ペットショップ。

「見せたいものってこれぇ!?」

「うん、コノハ動物好きだったろ?」

彼女はフレア以上の動物好きで、神楽が来る度に、周りの動物と戯れているほど。

「だから、一匹だけ飼っても良いように、レイミおばさんから許可もらってきた」

「えぇ!?ママから!?」

彼がレイミに今回のことを打ち明けたのは、彼女が口の堅い性格だからである。

さすがに無許可で動物を飼うとなると、後々面倒なことになるであろう。

「せっかくのデートなんだ、記念に残る方が良いだろ?」

と言ってる内に、気付けばコノハはいろんな動物達を選んでいた。

その姿に頭をかき、「まっいっか」と心で思う。

ここには犬や猫をはじめ、ウサギや鳥など、様々な動物がいる。

たまに奇妙な姿をしたものもいるが、客のほとんどは経営者がナルクと知っているので、疑問に思わなかった。







1時間後

「・・・長い・・・・」

初めは一緒に動物を見ていたアクアだが、そろそろ飽きがきていた。

一方コノハは、まだ目を光らせており、キョロキョロと悩んでいる。

そしてふと止まり、アクアの方を振り向く。

「・・・・・・全部ダメ?」

「ダメに決まってるだろ!?」

「うわぁ~ん!みんな可愛過ぎて決められないよ~!!!!」

頭を抱えおろおろと地面をくるくる回る。

他の客に見られているので、アクアは慌てて止めた。

それに落ち着いたのか、コノハは決心したように、一匹の犬の元へ向かう。

「よし・・・この子にする!!」

抱きかかえたのは、一匹の子犬。

まだ1歳程度の、可愛らしい姿をしていた。

「決まったな、じゃあ行くぞ」

店員さんを呼び、購入するように話す。

経営しているのがナルクなだけあってか、値段は子供でも簡単に買えるほど安い。

しかもここにいる動物達は、元は捨てられた子達や、飼えなくなったということで引き取られた子達である。

このペットショップを作ろうと提案したのは、神楽の配慮だった。

「そうだ、名前はどうするんだ?」

外に出、子犬を抱きかかえているコノハに尋ねる。

「あっそうか、う~ん・・・・・・・・・・・・・・」

悩むこと数秒

「うん!タマ!!!」

「・・・・・・犬だぞ!?」

「えぇ~良いじゃ~ん?可愛いもんね~♪」

そう子犬に向かって微笑むと、ペロペロと頬をなめてきた。

そしてじゃれあっている姿を見て、またも「まっいっか…」と思う。

二人と一匹はそのまましばらく中を周り、最後にクレープを買いモールを出た。







日が暮れ、城前まで帰ってきた。

「ふぅ~・・・なんかあっという間だったな…」

思えばもう日が暮れていることに驚く。

妙に疲れた気分のアクアは、足早に城へと進んでいくと

「アクア」

「えっ?」

チュ

頬に柔らかな感触を感じた。

「ッ!?コノハ!?」

あまりの出来事に思わず目を丸くする。

そんな彼の前に行き、コノハは振り向き微笑む。

「今日はありがとね!!ホントに楽しかったよ♪」

そうしてタマの手を取り、一緒に手を振った。

スキップしながら城へ入っていく姿を、アクアは呆然としながら見ている。

そこに

『ア~ク~ア~』

男性の声と女性の声が重なり、背後より聞こえた。

聞き覚えのある声に、体全体が震え、恐る恐る後ろを振り返ると

「俺の・・・可愛いコノハに手を出すとは・・・良い度胸だな?」

「・・・信じてたのに・・・・・・私・・・信じてたのに!!」

スイとカノンノが、言葉に表せない表情で近づいてきていた。

お互い手をボキボキ鳴らしている。

アクアは少しずつ、逃げるように後退していくが

「おっ・・・お二人さん・・・・・・少しお話を聞いて欲しいのですが…」

『問答無用!!』

捕まった。

その後、2・3日アクアが学校を休んだのは、言うまでもない。






その頃

「お客さん・・・もう閉店なんですけど…?」

「・・・・・・あっ・・・」

一人動物達と触れ合い続けていたフレアだった。









続く…









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