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第九話
燃え盛る運動場、動けない仲間達。
コノハはシードの攻撃、爆弾のようなものをかわし続けていた。
彼はその場から動かず、次々と放ってくる。
「どうした?あの時みたいに俺を殴りに来ないのか?」
そう言われるが
「・・・・・・」
コノハは悩んでいた。
【桜花】による動きで、爆弾をかわし続け、攻撃に転じることは可能。
しかし、本当に戦うべきなのか。
(・・・理由・・・まだ聞いてないのに…)
あの時はついカッとなり、怒りのままに行動していたが、落ち着いている今は違う。
冷静に考えているからこそ、攻撃出来なかった。
それを察しているのか、シードは攻撃しつつ
「・・・俺やプラント達はな、落ちこぼれなんだよ」
ようやく、理由と思われることを話し始めた。
コノハだけでなく、アクアやスイレン達も炎の中、耳を傾けて聞く。
「初めは他の奴等と同じように、毎日が楽しく、希望に満ち溢れていたさ」
そこまで言い、彼の声のトーンが低くなる。
「テストや魔法演習で、他の奴等と競い合うのも、それなりに楽しんでいた」
彼の思いに共感するように、プラントや他のメンバーも険しく、しかしどこか悲しんだ表情をしていた。
それに疑問を感じるコノハ達だが、シードは気にせず続ける。
「だがな、徐々に気付き始めたんだよ」
「???」
攻撃が止んだので、桜花を止め立ち止まった。
「競い合っているうちに、【絶対に勝てない】相手がいることにな」
そんな者がいたのかと考える一同。
特にコノハやマルシアは思い当たる節がない。
しかしそれは
「・・・おまえら王族や、貴族の奴等だ」
彼女等だからこそ、わからないことだった。
アラスタは基本貧富の差はないのだが、それでも名門と呼ばれる家系はいくつもある。
「俺達だって最初は、そんな奴等に勝ちたいと思い、必死になった時期もあったさ」
低めだった声が、徐々に大きくなってくる。
「だがな・・・俺達が何時間もかけて勉強したことも、何時間も練習した魔法も・・・」
手を前に出し、先ほどより大きな爆弾を作り出した。
「あいつらは、たった少しの時間でマスター出来るんだよ!!!」
叫び、コノハに向けて放つ。
桜花ではなく上空に飛び上がり、激しい爆風を回避した。
そして悪魔の羽根を生やし、空中に停滞する。
「・・・シード・・・」
「俺達は悟ったんだよ!!どれだけ頑張ろうが、結局最後は【血に恵まれた】奴が上に立つんだってな!!」
アクアやマルシアも呆気に取られる。
自分達も王族だが、それほど皆より優れているなど、意識したことがなかったからだ。
アクアに至っては、成績は悪い方なので尚更。
「俺達がそいつらにどれだけバカにされたか・・・どれだけ恥をかいたか…」
「・・・・・・」
「親の期待にも答えられず・・・・・・どれだけ苦しんだか、おまえにわかるのか!?」
彼の叫びに共鳴するように、メンバー達は炎をより激しくさせる。
さすがに苦しくなってくるので、スイレン達は魔力で自分の体を守っていた。
「そんな・・・そんな理由で・・・・・・」
ここにきて、ようやくコノハが口を開く。
顔を下げつつ、声色を怖くして話す。
「多くの人達を・・・・・・大怪我させるまで傷つけたの…?」
彼女の言葉に、シードの声がより大きくなる。
「そんな理由だと!?王族のおまえには、やはりわからないようだな!!」
「・・・・・・」
「どれだけ時間を費やしても、何度挑んでも敵わない、そんな辛さを!!」
抑えきれない気持ちを、相手を傷つけることでしか発散出来なかった。
少し可哀想だとも感じたアヤメやスイレン達だが
「甘ったれんな!!!」
コノハが、本気とも思われる怒声を上げた。
その独特の圧に怯むシード達。
彼女は顔を上げ、険しい表情で言い放つ。
「あんた達・・・そこまで言い放てるぐらい、努力したの!?」
「なんだと?」
「血のせいだとか勝手な被害者面して!こんなに追い込まれるまで・・・努力したのかって聞いてるのよ!!」
彼女の叫びを聞き、シードはさらに怒る。
爆弾を作り出し、コノハ目掛けて放った。
「おまえ!俺達を愚弄する気か!?」
地上に降り【桜花】を使い、すべて回避していく。
「貴族の人達やあたし達が、少しの時間しか努力してないなんて決めつけて・・・」
「本人達に直接聞いたんだ!おまえ等だって・・・」
「影でどれだけ努力してるかも知らないで!偉そうなこと言わないでよ!!?」
こういうことは自分で言うべきではないのだが、この場合は仕方がなかった。
現にコノハもアクア達も、皆の知らないところで必死に勉強や練習をしている。
「どうして・・・もっと知ろうとしなかったの・・・?」
大声が、少しずつ小さくなっていく。
「どうして・・・・・・途中で諦めたの・・・?」
その声の異変に初めに気付いたマルシアは、少し驚いた。
「どうして!同じ学校の生徒同士!傷つけ合わなきゃならないの!?」
彼女の瞳より、一粒の雫が流れ出ている。
アクアとフレアだけは見慣れているのか、あまり驚いていないが、スイレン達は驚愕だった。
「・・・もっと・・・頑張ってみようよ・・・・・・どんな人にも、勝てるように…」
誰かのために涙を流せる。
コノハは、そういった優しい女の子。
だからこそシードも
「ッ・・・・・・今更・・・頑張れるわけねぇだろーーーーーーー!!!!?」
感情的になり、巨大な爆弾を出現させた。
今までになく大きく、大人2・3人分はある。
「こいつはさっきまでのとは格が違うぞ!?こんな学校ごと、破壊してやる!!」
その言葉に、アクア達だけでなく、プラント達も驚くが
「あぁあああああああああ!!!」
シードは気にもせず、爆弾を放った。
真っ直ぐとコノハに迫りくる。
「・・・人を強く成長させるのは・・・・・・」
しかし彼女は、動かずじっと立っていた。
ゆっくりと腰に下げてあるレイピアを抜き、精神を集中させる。
「血統なんかじゃないよ」
彼女の周りに、赤色の霧のようなものが漂う。
その状態で、剣を両手で持ち地面を擦るように
【覇道熱風】
振り上げた。
それにより、衝撃が地走りのように地面を抉り、爆弾に直撃する。
そして
「・・・バカ・・・な…」
爆弾を爆発させず、砕け散ったように、完全に消滅させた。
そのまま衝撃はシードに向かい、彼を上空へ吹き飛ばす。
「ぐっ・・・・・・がはっ・・・」
吹き飛び、地面に落ちた彼は、血を吹き出し倒れ込んだ。
「シード!!?」
彼が倒れたことにより、プラント達は炎を消し、彼に駆けつける。
体の大きいプラントが、ゆっくりと彼を抱え起こした。
そこに、剣をしまいコノハが近づく。
炎が解かれたことにより、アクア達も側に寄ってきた。
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