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番外編
アラスタの昼
異世界アステルへの出発控えた1週間前、アクアはカノンノとのデートのためにナルクのショッピングモールにいた。
「約束の1時間前、いくら暇だからって早く来過ぎたな…」
一人休憩用のベンチに座り、周りの人を眺めている。
大勢の人が行き交う中
「あの、食品売り場はどこですか?」
女性の声が聞こえ、見てみると、一人の女性がすれ違った人に道を尋ねていた。
桃色の髪に、紅葉の髪飾りをつけているその姿は
「えっ・・・カノンノ!?」
彼の知っている、カノンノ・イアハートにそっくりだった。
思わず叫んだので、似ている女性は、こちらを見てやってくる。
「あっ!!もしかしてあなたがアクア君!?」
さすがに声までは違うのだが、顔やスタイルがそっくりで驚く。
「えっと・・・・・・なんで俺のことを?」
「妹から良く聞いてたの、まだ子供だけど確かに良い顔つきしてるね」
「妹って・・・まさか?」
「そうだよ、私はあの子の姉のグラスバレー、姓は違うけど姉妹だよ♪」
顔をグイっと近づけて言うので、アクアは反らしベンチから立ち上がった。
様々な想いで困惑する彼を他所に、グラスバレーは一人ぶつぶつと呟いている。
「私のこと言ってなかったのかな?あの子ってパスカお姉ちゃんと違って、抜けてる所あるからな~…」
しばらく呟き、アクアの方を振り返った。
「ねぇねぇ!せっかくだからここ案内してくれない!?」
「えぇ!?」
戸惑う彼の手を握り、半ば無理やり引っ張っていく。
(まぁまだ1時間あるし・・・・・・ちょっとぐらいならいっか…)
そう決意し、彼女にモールの中を案内し始めた。
ペットショップ、スポーツクラブやフードコートなどを適当に回っている内に、あっという間に時間は過ぎる。
フードコートの中の、リンゴ飴やアップルパイなどが売っている、リンゴ専門店の前のベンチに座っているアクア。
「はい!」
グラスバレーが、両手に持っている紙皿の一つを渡した。
「これは?」
「焼きリンゴだよ、案内してくれたお礼」
そう言い彼の隣に座り、一口頬張る。
「ん~美味しい♪」
(・・・姉妹ってかほぼ双子だよなこの似ようは…)
と思いつつも、同じようにリンゴを頬張った。
しばらくして食べ終わり、口直しにドリンクを飲んでいると
「ねぇ、アクア君」
突然グラスバレーの声色が変わり、話してくる。
何かと思い返さず、ひとまず聞く。
「私の事、どう思う?」
「どっどうって・・・?」
「勿論、女としてだよ」
彼女の声が冗談ではないと感じているので、少しの間考えた。
恋愛をしているとはいえまだ14歳、精一杯言葉を選び、言い放つ。
「そりゃ~・・・可愛くて綺麗だと思いますし、優しいし素敵な女性だと思いますけど・・・・・・」
頭をポリポリかきならが言う彼は、困った表情をしているが、グラスバレーは続ける。
「じゃあ、私と付き合わない?」
「・・・はっ?」
「こう言うのはあれだけど、私あの子よりは気がきく女だと思うよ?それに胸も私の方が少し大きいから」
いきなり思わぬことを言われ、再び困惑するアクア。
「顔も一緒なんだから、私でも別に良い・・・」
「グラスバレーさん!!」
しかしすぐに我に返り叫んだ。
その瞬間周りの人達がこちらを向いたが、特に気にせず過ぎ去っていく。
「・・・・・・確かに、貴方とカノンノはそっくりで、とても気が利いて、貴方のような人と付き合えたら幸せだと思う…」
「・・・だったら…」
「でも、貴方とカノンノ・イアハートは違います」
彼の言葉に、今度は彼女が黙る形となった。
リンゴ屋の店員がおもしろそうにニヤニヤと見ているが、二人は気づいていない。
「いくら似ていても、俺にはあいつじゃなきゃダメなんです」
「・・・・・・」
「俺はあいつと生きて行きたい、これからも、どんなことがあっても」
静まり、周りの人達の声が聞こえてくる。
そこでふと思う。
(・・・・・・やっべぇ~・・・勢いとは言え俺結構失礼な事言ったんじゃ…)
冷や汗がタラタラと流れていき、顔を反らそうとした時
「ふふっ・・・あははははははっ!!!」
彼女が笑い出したので、一歩引き驚いた。
グラスバレーは笑いながら、アクアの肩を両手で掴む。
「さすがあの子が好きになっただけあるね、合格だよ♪」
「へっ?」
掴みつつ笑うので、少しずり落ちそうになる。
「あなたの気持ちを知りたかったの、ほら、あの子危なっかしいし、変な男に騙されてないかなって?」
「変な男って…」
「試すようなことしてごめんね、でも、あなたにならあの子を・・・・・・イアハートを任せられる」
改めてそういわれると照れるのか、また頭をかいた。
グラスバレーは肩にあった手を、彼の背中に回していく。
「あの子の事、よろしくねアクア君…」
「グラスバレーさん…」
彼女に抱きしめられ、再びいろいろなことを考え始める。
しかし急に違和感に気付く。
「ん?あのっ・・・グラスバレーさん・・・・・・いっ・・・いだだだだだ!!!」
「勇気出して告白したのにフラれるなんてショックだなぁ~、あぁ~このまま握り潰しちゃいそう」
「いでででででで!!!ちょっ!グラスバレーさん!!ギブギブ!!!」
本気で痛みを感じ、彼女の背中をバンバンと叩いていると
「あぁ!?お姉ちゃん!?」
待ち合わせ時間にきたイアハートが走ってきた。
「カッ・・・カノンノ~…」
「あれ?今日もしかしてデートだったの?」
彼女が来たことにより、グラスバレーはアクアを離す。
彼はぐったりと地面に倒れ、背中を押さえている。
「大丈夫アクア!?」
「うっ・・・う~ん・・・(さすが姉妹・・・・・・きっと大剣振り回してるんだろうな…)」
「お姉ちゃん!来てたんなら連絡してよ」
アクアを支えながら、実の姉に怒鳴る。
しかしグラスバレーの方はあまり気にせず、二人の元から去っていく。
「邪魔してごめんね~、イアハート、家で貴方の好きなパイナップルご飯作って待ってるから」
「ちょっとおねえ・・・・・・パイン多めだからね!!」
そう言い交わし、その場を解散する。
「ごめんねアクア・・・お姉ちゃん悪い人じゃないの…」
「わかってるよ、たださすがに最後のは痛かったけど・・・」
二人の会話を遠くでギリギリ聞こえていたグラスバレーは
「はぁ~あ・・・・・・恋って良いなぁ~やっぱり…」
ため息をつき、一人食品売り場へと向かった。
あとがき
レディアントマイソロジー3発売記念ということで書いた番外編です。
ちなみにここでのグラスバレーは原作とは少し設定が違うのでご了承ください(今更w
ここでの関係設定は、長女パスカ、次女グラスバレー、三女イアハートとなっております。
しかしこれも、次回作の冬カノンノの登場により変わるかも知れませんので、広い目で見てやってください…
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