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16
城下町
「はぁあああ!!!」
長い槍を振り回し、ロムルスの兵達を薙ぎ払っていくジーク。
周りでは城の兵士達が応戦し、街の人たちを守っている。
「こいつら・・・一人一人が普通と違う!!」
体術と剣術を扱うアスベルは元々複数相手は慣れていないので、少し苦戦していた。
「!!」
彼の背後をとった兵が、手に赤い光を纏い突撃してくる。
「しまっ!?」
「ぎゃふ!!」
しかしそれはアスベルに届くことなく、風の弾丸に吹き飛ばされ倒れ込んだ。
「ぼさっとすんな!次来るぞ!?」
「すまないユーリ!!」
助けてくれた彼に礼を言い、お互い背中合せになる。
その少し離れたところでは
「大丈夫です、しっかりしてください!」
傷つき倒れている兵を、シェリアが治療していた。
森の中
それぞれ散った一同は、ロムルス4人衆と戦っている。
「おらおらどうしたぁ!?いつまで逃げてやがる!?」
大声を発し、両手より氷の刃を次々に投げつけてくる男の攻撃を、アルフィーネはひたすら避け続けていた。
しかしたまにかすり、腕や足より血を流す。
「俺はロムルス皇帝ヴァーリの側近ヘイムダル!狙った獲物は死ぬまで逃がさねぇよ!!」
両手に水を集め、それが巨大な氷の塊となった。
大きさの割にそれは猛スピードで迫ってくる。
「・・・・・・」
アルフィーネがいた木に直撃し、木はバラバラに砕け散った。
「・・・ちっ、もう終わりかよ、つまんね~」
唾を吐き出し、その場から去ろうと背後を向ける。
「やれやれ」
だが声に反応し、バラバラになった木くずへ振り返った。
木の破片をどけていき、アルフィーネがゆっくりと立ち上がる。
服についた汚れをパッと払い、微笑する。
「同じ氷でも、セルシウスとは大違いだな」
あれだけの氷を受けても大した傷を負っていないアル。
それを見たヘイムダルはニヤっと笑った。
「いいじゃねぇかガキ!!だが逃げてばかりじゃ俺を倒せ…」
「逃げていたわけじゃないさ」
彼の言葉を遮るアル。
「ここの木に、マーキングをしていたんだよ」
「・・・はっ?」
アルフィーネの言っていることがわからないので、呆然となる。
少し小馬鹿にしたように、彼は説明し始める。
「異世界とは言え、森を燃やしたらある人に怒られるんだ、だから僕の攻撃対象にならないようにマーキングしていたんだよ」
「燃やすだと?」
ヘイムダルの問いかけに、今度はアルフィーネがニヤっと笑った。
「あぁ、あんたの氷がセルシウスより上だと期待しておくよ」
赤い指輪をつけている手を前に出し、叫ぶ。
「契約の名においていでよ、イフリート!!」
アルフィーネ達から少し離れたところでは
「あちらは派手にやっているようですね」
フレアとルイが、優男と対峙していた。
ルイが一歩前に出、その後ろよりフレアが話だす。
「あんな酷いことをする貴方は、一度人の痛みを知るべきです」
先程この男がしたことを思い出し、握っている杖にぎゅっと力を込め直した。
それを見た優男は、フッと軽く笑う、
「君は治癒者(ヒーラー)なんだってね、それなら…」
目の前より優男がいなくなったと思うと
「ッ…」
「君自身も、痛みを知ってみるのも良いと思うんだけど?」
首筋に長い爪をした手を当てられていた。
どうしようかと考えていた瞬間、優男が急に飛び退き距離をあける。
みるとすぐ近くの木に一本のナイフが刺さっていた。
彼女が呆然としている間、優男は次々と飛んでくるナイフをかわし続けている。
その内の一本、地面に刺さったナイフを一本抜き、顔を歪ませる。
「ふ~ん・・・毒ナイフか、子供のくせになかなか恐ろしいものを使っているね」
ナイフを投げていた本人、ルイのほうを向いた。
さっきまで黙っていた彼が、ここにきて口を開く。
「人の痛みを知っているから・・・治療ってのはできんだ…」
「ん?何だい急に?」
「フレアちゃん以上に優しい奴なんていねぇ!!人の痛みや悲しさを知らないクズ野郎が、フレアちゃんに触んな!!」
「ルイ…」
彼の叫びに、心打たれるフレア。
それを聞いた優男は
「口が悪いね最近の子は…そういう子は、ヴァーリ様の側近であるこのロキが教育し直してあげるよ」
先程以上に表情を歪めた。
さらに離れたところで
キンキン、キンキンと、刃物の音が鳴り響く。
「でやぁああああ!!!」
勢いよく剣を振り下ろしたコノハだが
「ふふっ」
女性の周りにある光の壁に阻まれ、届かない。
「ぐ・・・うわっ!!」
バーンと弾かれ、さらに吹き飛んだ所に複数の銃弾が飛んでくる。
柔軟な体を反らすことによりかわし、地面に着地した。
「残念ね~、あなたにもう少し力があれば、私に攻撃が届いたかもしれないのに」
「はぁ・・・・・・はぁ…」
息を切らしているコノハに対し。女性の方はなんともない。
「あなた、以前ガブリエルを倒したんですってね?」
(なぜそれを…?)
「タフな彼も所詮はその肉体で攻撃を受けていたんでしょうけど、私の防御壁はそんな弱い攻撃じゃ崩せないわよ?」
銃を構え、コノハに向けて一発放つ。
「・・・すぅ~…」
彼女はそれを回避重視の技、【桜花】によりかわす。
「見えているわ!そこでし…」
銃を向けた瞬間、赤い衝撃波が地面を削りながら迫ってきていた。
それは防御壁に直撃する。
パラパラと吹き飛んだ地面の小石が落ちていき、煙の中から女性が現れた。
(私の防御壁が・・・破壊された!?)
驚いている彼女に向けて、コノハは口元を緩め言い放つ。
「直接はダメでも、今のなら届くみたいね…おばさん!」
「ッ・・・この小娘が!!」
森の一番街に近い場所にて
「うぐっ・・・・・・くそっ…」
アクアが剣を地面に刺し、なんとか倒れずに踏ん張っていた。
彼の目の前にいる大男はかすり傷程度しか負っていない。
「その年と体格でよくここまで戦えている、だが…やはりまだ子供だな」
男が話している間、アクアは剣を両手で握り直し構える。
「ブリュンヒルドを倒したというのも、ほとんどが仲間の力だったということか」
そう言い、彼の前から一瞬消えたかと思うと
「おまえ一人の力では、私を倒すことなど…」
目の前に現れ、懐に入られた。
「出来ん」
大きく振りかぶった右拳を、剣で防ぐが、パキーンと音が鳴り折れる。
そのまま腹部に拳が直撃し、アクアは後ろの木まで吹き飛び直撃した。
(俺一人じゃ・・・何も出来ない…)
声に出ず、途切れゆく意識の中でそう思う。
完全に気絶しかけていた時、耳に聞き覚えのある声が響き渡る。
「・・・くあっ!」
(この声…)
「アクアァ!!」
ぼんやりとしている彼の前に
「ワルキューレ?」
この世界で再び出会った幼き少女がいた。
彼女は大男を無視し、倒れているアクアに抱きつく。
「あっくあ!ア~クア!!」
ようやくまともに名前を呼べるようになったワルキューレは、笑顔で頬をすり寄せていた。
「なんで・・・ここに?」
「ワルキューレだと?」
失いかけていた意識を、男の声ではっきりと取り戻す。
そして彼女を守るように自分の後ろへとやった。
「まさか生きていたとは・・・しかしずいぶんと小さい、本当に本人なのか?」
自分よりはるかに大きい男に睨まれ、ぎゅっとアクアの裾を掴むワルキューレ。
それを感じたアクアは、キッと男を睨み返した。
「あんたには、関係ない…」
そう言った瞬間、突然全身を激痛に襲われる。
「ぐっごほっ!!」
口より血を吐き出し、その場に膝をついた。
「アクアァ!?」
「無理をするな、さっきの一撃が相当効いているはずだ」
さらに血を吐き出し、今にも倒れそうなアクアを見たワルキューレは
「・・・!!」
「・・・・・・何の真似だ?」
彼の前に出、両手をバッと広げ、男を睨みつけた。
体をがくがく震わせながら、精一杯叫ぶ。
「あっくあ・・・まほる…」
「ワルキューレ・・・・・・下が…」
「アクア!!まもる!!!」
数秒、激しい光に包まれ目を閉じ、おさまってきたので開けてみる。
「その光・・・まさか?」
全身の傷が治り、優しき白い光に守られているアクアが立っていた。
背中には悪魔の黒い羽根ではなく、天使のような白い羽根が生えている。
「この力・・・感覚・・・・・・ワルキューレ!?」
(わるぅ!!ワル、アクアといっしょ!!)
スキット【さしすせそ】
アルフィーネ「いいかワルキューレ、僕の名前はアルフィーネだ」
ワルキューレ「あぅあるぅふぁい…」
アルフィーネ「言いにくならアルで良い」
ワルキューレ「わるぅ!!アルゥ!アルゥ!!」
アルフィーネ「よし、なら次は、僕のことをアルお兄様だ」
ワルキューレ「アルおにいたん?」
アルフィーネ「うぐっ!!」
コノハ「ねぇワルちゃん!あたしは!?あたしは!?」
ワルキューレ「コノハおねえたん!」
コノハ「はぐぅ!!」
アクア「・・・どうしたんだこの二人?」
フレア「ワルちゃんが可愛すぎて倒れたみたい…」
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