小説喫茶・メル

小説喫茶・メル


テレジアで、テリ-との戦いから数百年・・・

ミハエルとメルは様々な異世界を周っていた。

一通りその世界を周ると、一旦アラスタへ戻り、一休みしてから次の世界へ行くパターンであった。

今回の世界も、一通り周り帰る予定だった。

そう



予定だった



  1  波乱の予感



「ここが次の世界か」

あれから随分と成長したミハエル。背もかなり伸び、顔も凛々しく、服装も黒いティーシャツに茶のジャケットというハルの御下がりを着ていた。

声も幼い感じがまだ少しするものの、はっきりわかるように変わっていた。

「う~ん・・・・・・むにゃむにゃ・・・・」

その背中で可愛らしい寝息でメルが寝ている。彼女はミハエルに比べるとあまり成長しているようには見えない。ただ髪が少し伸びており、いつもつけていたリボンをつけていない。

つまり下ろした状態である。服装は赤いローブのようなものを着ている。

そう考えるとかなり変わったと言えるべきなのだが、彼女自身が変わったとはやはり思えないだろう。

ミハエルはメルを背負って、新たな世界に足をついていた。

地面はコンクリートなのでかなり文明が進んだ世界だ。

周りには車や自転車、レストランやコンビニ、美容院も見える。

こういった光景を何度も見てきたミハエルは特に驚かなかった。

数々の世界を周っていれば当然なのであろう。

「宿っぽそうなのは・・・・・・これか」

彼は一通り目を配り、正面を向いた。

そこにはとても巨大な、塔のようなものがあった。

通天閣の何倍もあるそれからは、綺麗な蒼い光を発していた。

そしてその中央に

バトルタワー

とローマ字で書かれていた。




中は予想通りといった感じでとても広く、上に登るためのエスカレータやエレベーターがある。

当然人もたくさんいる。見た感じは普通の人間のようだ。

中央には『受け付け』と書かれた場所があり、一人の女性が座っている。

「すいません」

ミハエルはメルを背負ったままそこに向かった。

「はい、どういったご用件でしょう?」

女性は笑顔で対応し、ミハエルの言葉を待つ。

「少し休める場所が欲しいのですが、どこかにありませんか?」

「それならそこの突き当たりを右に行ってください。誰でも休める休憩場があります」

「どうも」

軽くお辞儀をし、言われた通りに足を進めた。



休憩場は意外に広く、ベットもいくつか置いてあった。

飲み物を買うための自動販売機もある。

ベットは一瞬使い回しと思ったミハエルだが、その隣にシーツがおいてあったので、綺麗にはしてあると確信した。

そしてシーツをひき、メルを寝かせてあげた。

「スースー・・・」

メルは起きることなくすやすやと眠っている。

その表情を見て、ミハエルは微笑した。

近くに置いてあった椅子を側に持ってきて座る。

だがすぐに立ち上がった。

「喉乾いたな」

そう言い自動販売機に向かう。

幸いにも前に行っていた世界の通貨と一緒なので、飲み物を買うことが出来るようだ。

百円玉と十円玉を入れ、コカコーラのボタンを押した。

ガランと音を立て、コーラが出てきた。

「次ええか?」

コーラを取り出してる最中に、陽気な関西弁の声が聞こえた。

振り向くとそこにはミハエルと同じぐらいの青年が立っていた。

燃えるような赤い髪に瞳、かっこいいというより少し可愛い感じの顔。服は羽織物という和風な格好だった。

「えっあぁ」

すぐにそこからどき、彼に場をゆずる。

お金を入れコーラのボタンを押した。

その際にミハエルの方を向いた。

「自分もコーラかいな!やっぱ若者はコーラやんな!?」

明るい声で話す青年、それを聞いたミハエルは

「そうだな、美味いしな」

と軽く笑って返した。

そしてコーラを持ちメルの元へ行く。

その後ろに何故か彼もついてきた。

青年はメルの方を観察するように見ている。

「この子自分の連れか?」

「あぁ」

「可愛い子やなぁ~、彼女?」

「そうなるんだろうな」

青年の言葉に特に照れもなくミハエルは返した。

前の彼に比べるとかなり落ち着きが増えた。

お互いコーラを一口飲み、側にある机に置く。

「自分等もバトルタワーに挑戦しにきたんか?」

青年からのその言葉に

「バトルタワー?」

疑問視を浮かべるミハエル。

元々来たばかりなので彼にはこの世界が良くわからない。

そんな心中を察したように青年が口を開く。

「自分等、異世界のもんやろ?」

「えっ?」

初めて会った者にすぐに見抜かれた、今までこんなことがなかったので当然の驚きを見せる。

少し警戒するように青年の方を見るが

「そない驚かんでええで、ここには異世界から来たもんもぎょうさんおる」

とそう言ったので若干気が退けた。

青年の表情は真っ直ぐしているので嘘には見えない。

「・・・どうして異世界からわざわざ?」

「なんや、自分何も知らんとここに来たんか?」

青年からすればかなり意外だったのだろう。拍子抜けした顔になっている。

「まぁえっか、何も知らんようなら説明したるわ」

青年はミハエルが「あっいや・・・」という言葉を言う前に話しを進める。

「ここの名前はバトルタワー、文字通り、戦いの場や」

「戦いの場?」

「そや、この世界だけでなく、いろんな異世界から腕に自身のあるもんが集まってきとる。まっ、中には修行目的なのもおるけどな」

言ってることを「なるほど」と理解するミハエル。

気がつけば青年の話を真面目に聞いている自分がいた。

「それとな、話ではここでトップになったもんは、なんでも願いが叶うらしいで」

「願いが?ホントかよそれ?」

さすがにそこは信じられないのか、思わず聞き返した。

「噂や噂、けどその噂を信じていろんなもんがやる気を出しとるっちゅーわけや」

「ふ~ん・・・もしかしておまえも?」

「そやで、あっ俺 『不知火』言うねん、自分は?」

「ミハエル、ミハエル・シルファーだ」

「ミハエルか、ほなミハエル、早速行こか」

不知火はそう言うとミハエルの手を取った。

「はっ?なんで?」

当然訳がわからないが

「やる気出たやろ?登録だけでも済ましとこ」

と不知火はミハエルに断る隙もなく連れていこうとする。

「おっおいちょっとまっ!!」

慌てて離れようとするミハエル。

すると

パチン

「あいたっ!!!」

不知火は頭を平手で叩かれた。

あまりの痛さに思わず頭をさする。

そんな彼の頭を叩いた張本人が、ミハエル達の前に立った。

「不知火!!エントランスでまっとくゆうたのになんでこんなとこおんの!?」

黄色い昔のメルのような髪に、少し独特のある顔、黄緑のティーシャツという女の子にしてはラフな格好であった。

「いったぁ~・・・神楽~・・・いきなり頭叩かんといてや・・・」

「うっさい!!ちょっとこっちきぃ!!!」

神楽は不知火の耳を引っ張って休憩場から出ていく。

「いたたた!!!ミハエル~!!ちゃんと登録してや~!!!」

最後にそう言い残し、二人はその場を去った。

「・・・・・・不知火・・・どこかで聞いたような・・・」

不知火という言葉が脳裏をよぎっていく、それが気になるので必死に脳内検索する。

しばらく考え

「あっ・・・」

思い出した。

気になっていたことを。

「そうだ、メルの国の言葉で不知火って確か・・・・・・」

二人が去った方を見て確認するように呟く

火影・・・・」













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