小説喫茶・メル

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ただそこは荒地の真中辺りにポツンとあるので、洞窟と言うよりただの穴に見えた。

しかし中に入ってみると、たいまつがあり、壁が崩れないようにと、塗装の後も見える。

つまり正式にバトルカンパニーが占拠しているということだ。

中の通路はさほど広くない、せいぜい人が二人並んで歩ける程度だった。

そこを5人は一列になって進む。

先頭を不知火、続いてミハエル、メル、神楽、黒姫と並んでいる。

「・・・・な~んか妙だな・・・」

そんな中、ミハエルが独り言のようにポツリと呟いた。

小さな声だが、洞窟なのでいつもより大きく聞こえる。

「どうしたのミハエル?」

メルが彼を少し追い抜き、ひょこっと顔を覗かせる。

「あっいや・・・なんかおかしいと思わな・・・」

彼がそこまで言った時

「きゃーーーーーーー!!!!」

洞窟奥より悲鳴が聞こえた。

「悲鳴!?」

すぐに反応したミハエルが真っ先に飛び出した。

そして皆もそれに続く。

すぐ進んだ所、そこは洞窟の最深部だった。

通路の数倍はあるフロア、周りの壁もより塗装されており、とても明るい。

そのフロアに

「あっ・・・・あぁ・・・・・・」

腰を落として震えている小柄な少女がいた。

赤と白が織り交ざったローブを着ており、橙色の長い髪をポニーテールにしてくくっているその姿は、レイミのような雰囲気を漂わせる。

彼女の周りには、4人の人間が倒れている。

皆男で、大量の血を出しているが、わずかながら息がある。

そしてその5人の前に

「弱い奴等だ・・・そんなんで良くバトルタワーに参加しようと思ったな」

体格の良い大男のような男がいた。

黒い短髪にサングラスといういかつい格好であった。

上着と黒の長ズボンしか着ておらず。まさに男の中の男のような姿である。

「最後はおまえだが、かかってこないのか?」

震えている少女に向かって言う男。

「・・・だっ・・・だめ・・・・・・」

当然のように少女は動くことが出来なかった。

恐怖で体が動かないのだ。

そこに

「おいおっさん」

ミハエルが割って入った。

そして自分より背の高い男に向かって

「バトルタワー参加メンバーだ、お相手頼むぜ」

笑ってそう言った。

「えっ!?どゆことミハエル!?」

彼のその発言にメルや神楽は驚いた。

ここに来た目的はルビーの原石調達だったはずだと。

彼女等は当然そう思っていた。

そんな彼女等に説明するように、ミハエルは口を開く。

「おかしいと思ってたんだよ、いくら予選とは言えルビーの原石を持ってくるだけなんてな」

「どういうことだ?」

珍しく黒姫が理解していないようで、尋ねた。

「ルビーなんて簡単に手に入るってことさ、不知火、この世界の物価わかるか?」

「へっ?あぁ、確か今日の日経平均株価が1万2255,12円で金1gが1332円やから、普通の世界に比べたら物価はそう高ないの~」

いつの間にかいろいろと詳しくなったミハエルに、さらにこの世界について詳しい不知火が説明する。

「物価が安いと当然手に入れるのも楽になる、そうなれば当然、洞窟に行くのがめんどうな人達は直に買ってくるだろ」

「確かにそうだな」

簡単に理解している黒姫だが

「・・・???」

メルだけずっとわからずにいた。

「けど、それじゃあ不合格になるんだよなおっさん?」

ミハエルのその問い掛けにしばらく間をおき

「・・・・・・ふっ・・・大したガキだ・・・そこまで推理するとはな・・・」

呆気に取られたような、驚いたような感じが混ざった声で言った。

「おまえの言う通り、ここに来なければクリアにはならない」

「どういうこと?」

まだほとんどわからずにいるメルが聞いてみた。

すると男の変わりに今度は不知火が口を開く。

「ここには・・・・・・ルビーの原石はないんや」

「ご名答だ」

「つまり第二審査の本当の目的は、ここに来てこのおっさんと戦わせることだったんだよ」

ミハエルがここまでの話をまとめた。

彼のこの明確な判断力、推理力、それはやはりハルとルミスから受け継いだものなのか、それとも彼自身のものなのか。

どちらにせよミハエルは、肉体的にも精神的にもかなりの成長を遂げていた。

「話は終わりだ、目的がわかったのなら、戦う準備は出来ているな?」

人が変わったように、男の空気が変わった。

一変空手の構えのように見えるその姿に隙は見当たらない。

「さて、久しぶりにやるか」

と意気込み前に出ようとするミハエルを

「ちょいまち」

不知火と神楽が前に出ることによって止めた。

「5対1で戦うのはさすがに卑怯や、そやから」

「うちらの戦い見とき!!」

二人にそう言われ

「・・・まっ、おまえ等がそう言うなら仕方ないか」

ミハエルは研ぎ澄ましていた感覚を解いた。

表情が少し緩む。

「不知火と神楽の戦い見せてもらうよ!!」

メルの方は元より状況がわかっていなかったので、笑顔で言い放った。

「ふっ・・・」

そして黒姫は苦笑し

「危ないから私の後ろにいると良い」

倒れている4人と、少女の前に出た。

「あっ・・・はい・・・」

少女の震えはいつしか消えていた。

「別に俺は5人でも良かったがな、おまえ達の実力の程、見せてもらおう」

男は構えの状態からそう言い

「いくぞ!!」

二人に向かって突っ込んだ。
















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