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小説喫茶・メル
7
ただそこは荒地の真中辺りにポツンとあるので、洞窟と言うよりただの穴に見えた。
しかし中に入ってみると、たいまつがあり、壁が崩れないようにと、塗装の後も見える。
つまり正式にバトルカンパニーが占拠しているということだ。
中の通路はさほど広くない、せいぜい人が二人並んで歩ける程度だった。
そこを5人は一列になって進む。
先頭を不知火、続いてミハエル、メル、神楽、黒姫と並んでいる。
「・・・・な~んか妙だな・・・」
そんな中、ミハエルが独り言のようにポツリと呟いた。
小さな声だが、洞窟なのでいつもより大きく聞こえる。
「どうしたのミハエル?」
メルが彼を少し追い抜き、ひょこっと顔を覗かせる。
「あっいや・・・なんかおかしいと思わな・・・」
彼がそこまで言った時
「きゃーーーーーーー!!!!」
洞窟奥より悲鳴が聞こえた。
「悲鳴!?」
すぐに反応したミハエルが真っ先に飛び出した。
そして皆もそれに続く。
すぐ進んだ所、そこは洞窟の最深部だった。
通路の数倍はあるフロア、周りの壁もより塗装されており、とても明るい。
そのフロアに
「あっ・・・・あぁ・・・・・・」
腰を落として震えている小柄な少女がいた。
赤と白が織り交ざったローブを着ており、橙色の長い髪をポニーテールにしてくくっているその姿は、レイミのような雰囲気を漂わせる。
彼女の周りには、4人の人間が倒れている。
皆男で、大量の血を出しているが、わずかながら息がある。
そしてその5人の前に
「弱い奴等だ・・・そんなんで良くバトルタワーに参加しようと思ったな」
体格の良い大男のような男がいた。
黒い短髪にサングラスといういかつい格好であった。
上着と黒の長ズボンしか着ておらず。まさに男の中の男のような姿である。
「最後はおまえだが、かかってこないのか?」
震えている少女に向かって言う男。
「・・・だっ・・・だめ・・・・・・」
当然のように少女は動くことが出来なかった。
恐怖で体が動かないのだ。
そこに
「おいおっさん」
ミハエルが割って入った。
そして自分より背の高い男に向かって
「バトルタワー参加メンバーだ、お相手頼むぜ」
笑ってそう言った。
「えっ!?どゆことミハエル!?」
彼のその発言にメルや神楽は驚いた。
ここに来た目的はルビーの原石調達だったはずだと。
彼女等は当然そう思っていた。
そんな彼女等に説明するように、ミハエルは口を開く。
「おかしいと思ってたんだよ、いくら予選とは言えルビーの原石を持ってくるだけなんてな」
「どういうことだ?」
珍しく黒姫が理解していないようで、尋ねた。
「ルビーなんて簡単に手に入るってことさ、不知火、この世界の物価わかるか?」
「へっ?あぁ、確か今日の日経平均株価が1万2255,12円で金1gが1332円やから、普通の世界に比べたら物価はそう高ないの~」
いつの間にかいろいろと詳しくなったミハエルに、さらにこの世界について詳しい不知火が説明する。
「物価が安いと当然手に入れるのも楽になる、そうなれば当然、洞窟に行くのがめんどうな人達は直に買ってくるだろ」
「確かにそうだな」
簡単に理解している黒姫だが
「・・・???」
メルだけずっとわからずにいた。
「けど、それじゃあ不合格になるんだよなおっさん?」
ミハエルのその問い掛けにしばらく間をおき
「・・・・・・ふっ・・・大したガキだ・・・そこまで推理するとはな・・・」
呆気に取られたような、驚いたような感じが混ざった声で言った。
「おまえの言う通り、ここに来なければクリアにはならない」
「どういうこと?」
まだほとんどわからずにいるメルが聞いてみた。
すると男の変わりに今度は不知火が口を開く。
「ここには・・・・・・ルビーの原石はないんや」
「ご名答だ」
「つまり第二審査の本当の目的は、ここに来てこのおっさんと戦わせることだったんだよ」
ミハエルがここまでの話をまとめた。
彼のこの明確な判断力、推理力、それはやはりハルとルミスから受け継いだものなのか、それとも彼自身のものなのか。
どちらにせよミハエルは、肉体的にも精神的にもかなりの成長を遂げていた。
「話は終わりだ、目的がわかったのなら、戦う準備は出来ているな?」
人が変わったように、男の空気が変わった。
一変空手の構えのように見えるその姿に隙は見当たらない。
「さて、久しぶりにやるか」
と意気込み前に出ようとするミハエルを
「ちょいまち」
不知火と神楽が前に出ることによって止めた。
「5対1で戦うのはさすがに卑怯や、そやから」
「うちらの戦い見とき!!」
二人にそう言われ
「・・・まっ、おまえ等がそう言うなら仕方ないか」
ミハエルは研ぎ澄ましていた感覚を解いた。
表情が少し緩む。
「不知火と神楽の戦い見せてもらうよ!!」
メルの方は元より状況がわかっていなかったので、笑顔で言い放った。
「ふっ・・・」
そして黒姫は苦笑し
「危ないから私の後ろにいると良い」
倒れている4人と、少女の前に出た。
「あっ・・・はい・・・」
少女の震えはいつしか消えていた。
「別に俺は5人でも良かったがな、おまえ達の実力の程、見せてもらおう」
男は構えの状態からそう言い
「いくぞ!!」
二人に向かって突っ込んだ。
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