小説喫茶・メル

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かなり走ってきたため、息切れしているものもいる。

「よし、いくぞ」

ミハエルが言い、一同はタワーへと入った。

まだ朝とも言えない時間なせいか、中には人はほとんどおらず、受け付けの女性がとても眠そうにしている。

周りにあまり人がいないので、ミハエルやメルは少しほっとした。

エレベーターで20階へ向かう。

一般用エレベーターは20階までなのだ。

そのせいか、ここまで来ると人がまったくいない。

「たぶんアリアは最上階に捕らえられてるはずだ、ここからは階段で行くか」

ミハエルを先頭に大きめの階段へ向かう。

しかしその時、シュっと何かの影が彼等の前へ出た。

「えっ?」

当然一瞬何かと思ったミハエル達だが、すぐに

「悪いけど、ここまでや」

それが誰かわかった。

ミハエル達の前に出た人物は、ここまで一緒に来ていた、不知火だった。

「へっ?何してんの不知火・・・?」

神楽は彼の行動に訳がわからず、思わず聞き返した。

「・・・ここから先には行かれへんってことや」

「どういうこと!?」

神楽ではなく、メルが驚きを隠せず叫んだ。

その驚きの訳は、恐らく二つあるであろう。

一つは何故ここから先へ行けないのか、そしてもう一つは

「・・・・・・不知火・・・」

どうして、彼が自分達の前に立ちふさがるようにいるのか?ということ。

ミハエルと黒姫は険しい表情で彼を見つめていた。

「しっ・・・不知火・・・冗談やんな?そんな冗談ここで言うても全然おもんないで・・・」

神楽の、今にも泣きそうな声、それを聞いた不知火は

「冗談やない・・・ミハエル、おまえは前から気付いとったんやろ?」

あっさりと、話をミハエルへと向けた。

「ッ!!」

彼が嘘を言っていないこと、自分を冷たい目で見たこと、それがショックで神楽はその場に蹲った。

「神楽!?」

隣にいたメルが彼女に寄り添う。

ミハエルはそれを片目で少し見、再び視線を彼へと移した。

「・・・少しだけわかっていた・・・だけど、それを認めたくはなかった・・・」

彼も少し辛そうな雰囲気に見えるが、決して視線を不知火からそらさない。

その隣にいる黒姫が

「不知火・・・おまえもやはり・・・」

仮説したことを彼へと問う。

それに対して不知火は

「そや、俺はバトルカンパニーの最上位クラスのもんや・・・」

少し顔を伏せ、そう答えた。

ミハエルと黒姫はやはりと言った表情になり、神楽は既に耳に入っているかわからない状態で、メルは驚きを隠せなかった。

「おまえらと一緒に行動してたのも、すべてはガイアを持つ者を見つけるためや」

「・・・そのガイアってのはいまいちわからないが、アリアがそれを持っていることをカンパニーに連絡したのは・・・おまえだろ?」

「・・・そや・・・」

ミハエルと不知火、お互い真剣な表情で話し合う。

「しかし何故だ不知火?何故奴等に協力する?」

そこに黒姫が割って入った。

メルは神楽の側にいるだけで精一杯だった。

「・・・・・・俺はな、小さい頃カオスに拾われた」

不知火はやや下を向いたまま、語り始める。

「俺は忍者の里で、火影の一族として生まれてな、幼い時から大して強くもないのに火影の後継ぎを任された」

彼が初めて話す過去に、黙って聞く一同。

「里は至って平和で、何の争いもなかった・・・そやけど・・・」

彼の声のトーンが鋭くなった。

「俺の6歳の誕生日の時、一人の男に、里は滅ぼされた」

ピクっとミハエル達は思わず反応した。

「俺以外の、家族や友達はみんな殺された、ほんでなんでか俺だけが生かされた」

「おまえだけ?」

「そうや、なんで男が俺を殺さんかったかはわからへん、そしてただ一人呆然としてる俺の所に」

「カオスがやってきたのだな」

ミハエル、黒姫と言い、不知火はさらに話しを続ける。

「あいつは俺に、『あの男が憎いなら、強くなって復讐するといい、なんなら僕達が今研究しているものが完成した暁には、君の願いを叶えてあげるよ』って言いよった」

「・・・なんでも願いが叶うというのは嘘ではなかったのか・・・?」

未だに少し信じていた黒姫は、どこかほっとした気分でもあった。

「・・・・・・けど不知火、おまえの願いは・・・」

「・・・俺の願いは俺にしか叶えられへん、それは・・・ あの男を自らの手で殺すことが、俺の願いや」

不知火は真剣な面持ちを上げそう言うが

「・・・本当にそうか?」

ミハエルにはすべてが本当には聞こえなかった。

それに不知火は少しピクっとなったが、再び口を開く。

「・・・・・・あの男を倒すために俺は、カオスの元へおる・・・利用されてるとわかっとってもな・・・」

彼の言葉に、沈黙が訪れる。

そしてしばらくして

「嘘やんな・・・」

ずっと黙っていた神楽が、涙を流しながら口を開いた。

「いつもみたいに・・・・・・笑って・・・頭撫でてや・・全部・・・嘘なんやろ!?」

涙を流した顔を上げ、彼へと叫ぶ。

それに対してミハエル達は辛い表情で黙っていた。

そしてメルは

(うちはずっと不知火の側におる・・・それがうちのすべてや)

彼女の言葉を思い出していた。

(ずっと不知火の側にいたい・・・やっぱり・・・好きやからかな?)

一人の、自分と変わらぬ恋する少女の言葉を。

大切な人と一緒にいたいという思いを込めた少女の言葉を。

「・・・・・・神楽・・・」

不知火はゆっくりと視線を彼女達に移した。

哀れむような目で。

「おまえホンマに・・・おめでたいやっちゃな」

彼のその言葉を聞き、神楽は激しく胸を、辛い意味で貫かれた。

そして

「不知火ーーーーーーー!!!!!」

メルが激しい怒声を上げ、炎を周りより噴出し、不知火へと飛びかかった。

瞬時に右手に出現させた炎の短刀を振り下ろす。

それを

「ええ炎や・・・悪ない・・・そやけど」

不知火は片手、素手で掴んでいた。

火影の炎も・・・・・・なめんほうがええで?」

眼前にいる、怒りを込めた表情のメルにそう言い

ゴーと、メルよりさらに激しい業火が彼の周りよりほとばしった。

「きゃあああ!!!」

同じ炎だが、メルはその勢いに吹き飛ばされた。

地面に激突しそうなのをミハエルが上空でキャッチ。

「さてと・・・話しは終わりや・・・」

不知火は着ていた和風な羽衣を脱ぎ捨てた。

siranui

「終いにしよか」





















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