小説喫茶・メル

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タワーの最上階、ミハエルとシグマが対峙しているフロアのさらに奥に、一つの部屋があった。

その部屋に

「あぁ~もう!!いつまでこんなとこに閉じ込めてるの~!?」

メルの姿があった。

彼女は戦闘時になると着ている忍装束、すずの御下がりを着てベットに座っている。

一面真っ白の部屋にはベットと机しかなく、そのベットには

「・・・・・・もう・・・三週間も眠ったままなんて……」

神楽が、静かに目を閉じ眠っていた。

彼女のすぐ側では、リスのリオも同じように眠っている。

「あのことがショックだったにしても・・・さすがにこれはマズイよね・・・」

あのこと、不知火の裏切りにより神楽は今までにないショックを受けた。

「私はここに連れてこられてからすぐに目を覚ましたけど・・・・・・神楽のこれは・・・」

予想以上にマズイ状況だと思った。

しかし迂闊に脱出出来ない彼女は、未だここに留まっている。

ただ助けが来るのを、待つしかなかった。

「ミハエル・・・・・・早く来て・・・」

祈るように手を合わせる彼女の頭上、天井より

「ふふっ……」

不敵に笑う、少し幼い声が聞こえた。

その声はどこかはっきりしており、メルは一瞬動揺し、すぐに真上を向く。

「誰?」

向いてすぐに、その天井の一部が扉のように開いた。

そしてそこから

「僕だよ、メル」

一つの影が飛び降りた。

メルと同じく長い茶髪、橙の瞳、同じ体格、容姿、その姿はまさに

「・・・・・・嘘・・・・・・わた・・・し・・・?」

メルそのものだった。






ミハエルとシグマは黙ってお互いの出方を伺っていた。

「・・・・・・いくぜおっさん」

そう言った矢先、ミハエルが一瞬でシグマの前より消えた。

黒いスーツに身を包む彼は、雲のようにゆっくり背後を向き

「!?」

さらに一瞬、ミハエルのほぼ眼前に現れた。

そのまま右の拳を顔面へと目掛けて放つ。

それをミハエルは同じく右手を前に出し、そこより風を巻き起こし

「!?」

シグマの表情を歪ませた。

だが拳の勢いは止まることなく彼に直撃し、吹き飛ぶ。

しかしミハエルは、壁に激突することなく途中で羽根をはばたかせ止まった。

「・・・・・・」

眼鏡越しに歪んだ表情でミハエルを見つめる。

「へへっ、やっぱりな」

そのミハエルは得意気に鼻を鳴らし笑った。

「この前の戦いで、おっさんの強さの秘密わかっちまったんでな」

「・・・・・・」

シグマは答えることなく聞いている。

表情は変わらず険しいままだ。

「あの時俺の水のガードを貫いて手を入れて、その上あれだけの威力で吹き飛ばす力」

確信したように、ミハエルはシグマを指差す。

「その正体は、あんたの周りで小さく渦巻いている風だろ?」

彼のその言葉を聞き、シグマは眉をピクっとひそめた。

「俺の水の腕での攻撃の時は自分の周りに激しい風を発生させクッション代わりに、俺とメルを吹き飛ばした時は腕の周りに風の渦を、そして吹き飛ばす瞬間にそれを突風のように放つ」

ミハエルは一旦呼吸を整えさらに話す。

「移動スピードも、風に乗ればかなりのものになる・・・・・・風を上手く操っている証拠だろ?」

話終えた彼を見、そして徐々に顔を上げ口を開く。

「・・・レオに聞いていた通り、洞察力の鋭い奴だな」

その声はどこか嬉しそうにも聞こえる。

険しいと言うより笑っているようにも見えた。

「その上俺の風の拳を受けて留まるとは、この前よりはるかに戦い方が上手くなっている」

「タネさえわかれば後は合わせるだけだしな、それに」

強い者と戦っているせいか、ミハエルの方も少し笑っている。

「うちの父親は、風のエキスパートでね」

その言葉を聞き、シグマは苦笑した。

彼もミハエルと同じようなタイプなのだろうか。

「じゃあおっさん、仕切りなおしといこうぜ!!」

また笑い、ミハエルの周りにも風が舞い起こった。

















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