小説喫茶・メル

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ミハエルの周りにも風が舞い起こることにより、再びお互い出方を伺っている。

「・・・・・・どうやら」

動かず、対峙しているシグマが静かに口を開いた。

「俺も本気を出さなければ、今のおまえには勝てそうにないようだ」

少し微笑しながらそう言うと、彼の周りの風が、目に見えるぐらいに渦巻き始めた。

まるで小さな竜巻のようになったそれは、彼を守るように回る。

(・・・凄い風だ・・・・・・父さんのラグナロク・・・それ以上かもしれない)

さすがのミハエルもここまで風を操れる人は、父親のハル以外見たことがない。

そのため驚きを隠せなかった。

だがそれでも

「・・・・・・へへっ・・・」

笑っていた。

そんな彼をおかしな表情で見つめるシグマだが、すぐに同じように笑い

「いくぞ」

目の前から消えた。

(真正面!)

瞬時に判断し、真上に羽根を使って急上昇する。

するとミハエルのいた部分の地面を、シグマが勢い良く拳を突きつけた。

それにより廊下はボコっと凹み、少々の揺れが生じる。

その間上空へ回避したミハエルは、右手に水を集めていた。

「こいつは母さんの技だ!!」

集めた水を一気に凝縮させ、シグマ目掛けて

「水刃!!」

放った。

無数の水の刃が一斉に降り注ぐ。

しかしそれらすべては、シグマの周りの風により軌道をずらされた。

そのため彼は一撃も浴びていない。

そして上空を見上げると

「はぁーーーーー!!!!」

ミハエルが右手に水の剣を纏い、正面から向かってきていた。

彼は勢いをつけ、その剣を振り下ろす。

シグマは無防備にも防御の体制を取らない。

「ぐっ・・・なんて風だ……」

周りの風によりミハエルの風では対抗出来ず、剣がシグマに届かなかった。

「・・・ふんっ」

シグマは逆に無防備になってしまった彼の腹目掛けて拳を放つ。

先程より激しい風を纏っているため

「がっ!!」

もろに食らい、物凄いスピードで吹き飛んだ。

ドーンと壁に激突し、その場に倒れ込む。

それをシグマは黙って見ていた。

だがすぐにパシャーンと音が鳴り、水の渦が迫ってきている。

かなりの勢いの水だが、またもや周りの風により軌道をずらされ、流れ落ちた。

「おっさん」

真横より、ミハエルの声が聞こえた。

「さすがのその風でも、こいつは防げるかな?」

横を向いてみると、黒い羽根をはばたかせ突撃してくる。

その両手には、水と風が渦巻いていた。

「くらいやがれ!!」

そしてそれがシグマの周りの風に当たり

「風水裂破!!」

「!?」

激しい、大嵐を起こした。

今まで以上の突風が巻き起こり、二人を包み込む。

周りの窓ガラスが割れ、激しい地響きが起こる。

ゆっくりと土埃が晴れていくとそこから

「・・・・・・凄まじい威力の技だな……」

上半身のスーツがボロボロで無くなったシグマと

「へっ・・・本当は人相手に使っちゃいけない技なんだ、効いてくれなきゃ困るぜ」

同じく上に着ていた茶のジャケットが襤褸切れ(ぼろきれ)となったミハエルが現れた。

シグマはかなりのダメージを受けたのか、体中が切り刻まれ多少出血もしている。

ミハエルの方も反動か、巻き込まれたのか、傷跡があった。

「・・・・・・ミハエルと言ったな?」

突然シグマがゆっくりと話始めるので、ミハエルは警戒を少し解き向き合う。

それを確認したのか、彼はそのまま続ける。

「おまえは、もしここで捕らえている二人を取り戻せたら、この世界から帰るのか?」

シグマからの問い掛けに

「いや、アリアも助ける」

ミハエルはさらっと返した。

しかし彼はそう答えるのを知っていたように口を開く。

「ならばあの少女も取り戻せたなら……」

「最初はそうしようと思ってた」

シグマが問い掛ける前に、ミハエルは話しを進めた。

それに驚いたのか、シグマの口が止まる。

「けど、おっさん達・・・カオスが何を企んでるのか気になった」

「・・・・・・」

彼の話を聞くシグマの表情は少し怖い。

元から怖い顔なので尚更だ。

「カオスは、何を企んでるんだ?」

真剣な表情と口調で言う彼の問いに対して

「・・・おまえに・・・・・・教える必要はない」

シグマは口を濁らし答えた。

だがミハエルは下がることなく返す。

「だったら、あんたを倒して直接カオスに聞くまでだ」

ミハエルの言っていることが本気だと感じたシグマは

「・・・何故だ?」

思わず、気になっていたことをとうとう口に出した。

「何故おまえは、異世界のことにそこまで本気になれる?」

初めて、ミハエルは彼の本気の問い掛けを聞いた気分だった。

淡々と話していたシグマの声が、自分の感情がようやく出たような。

そのためミハエルも、自分の感情を素直に話す。

「・・・・・・この世界で、失いたくない大切な仲間が出来た、しかも一人は姉さんの姉だ」

彼の脳裏に、不知火、神楽、ヘスティア、アリアの姿が思い浮かぶ。

「その仲間に害が加わるようなことがあるなら、それを阻止するのは当然だろ?」

「・・・・・・仲間のためか?」

「あぁ、アリアを無理矢理利用したあんた達を、俺は許さない」

シグマは再び黙ってしまった。

気にかけつつ、ミハエルは続ける。

「【一人のピンチはみんなのピンチ】、俺の父さんの・・・・・・親友の人が良く言っていた言葉だ」

彼の表情が、真剣さを増し少し強張った。

「俺はメル達を助ける、異世界だろうがなんだろうが、もうこれ以上大事な仲間を傷つけさせない」

その声の圧に押されシグマは閉ざしていた口を

「・・・・・・カオスがどういう奴なのか」

「・・・?」

「話してやろう」

ようやく開いた。

















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