小説喫茶・メル

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話し合い、と言った形になったせいか、お互いの闘気は和らいでいた。

「カオスは、不可能を可能にする男だ」

「・・・・・・?」

簡潔過ぎるので少し理解に苦しむミハエルを見、シグマは続ける。

「異世界への移動手段を作り、死んだ者を生き返らせ、魔物ですら従えてしまう」

どれも普通の者なら出来ることではなかった。

ミハエル達も異世界を行き来しているが、そもそもそれを可能にしている門は元々作られていたもので、当然ロイド達が作ったわけでもない。

人を生き返らせる事を主体としていたフレイも、今ではその力はあまり見ることは出来なかった。

「そんなカオスに誰もが惹かれた、皆必ずしも叶えたい願いがある、それをカオスが可能にしてくれるのだからな」

ここにきてミハエルはようやく、バトルタワーの【なんでも願いが叶う】の意味がわかった気がした。

嘘ではなかったとは言え、複雑な気分である。

「俺も、アルセウスも、レオも、ヤイバもな」

知らない名前が出たのが気になったが、すぐにシグマの話に集中し、口を開いた。

「あんたの願いってなんだ?」

「・・・・・・」

彼のその問いに、シグマは黙った。

だがあまり間をおかず

「おまえ、この世界の今の状態がわかるか?」

そう答えた。

それにミハエルは答えれず、彼の言葉を待った。

「おまえもここに来て少しは見てきただろう、この世界の荒れた姿を」

確かに彼の言う通り、ミハエルとメルはこの世界に来て荒野ばかりを見てきた、花や木の姿などほとんどない。

アリアが住んでいた村も、昔は花でいっぱいだったが、今ではその原型を留めていない。

「昔は花や緑で溢れていたこの世界が、もはや動物達が生きるのが困難なほどになっている」

「・・・・・・そうなのか?」

神楽の動物達を見ていたミハエルにとって、そこは少しあやふやになった。

「そのすべての原因が、戦争による被害だ」

どこの世界に行っても聞く言葉に、ミハエルの集中力が増す。

表情も真剣になり顔が少し強張った。

「この世界は他の世界に比べて小さい、その為に少しの戦闘で大地は一瞬にして死ぬ」

「・・・・・・」

ここでミハエルの様子を伺うが、次の言葉を待っているようなので続ける。

「戦争事態は俺達カンパニーによって止められたが、当然大量の死者も出した」

「・・・確かにここの人は少ない感じがしたけど」

「この世界に住んでいる今の人間は、異世界から来ているものが大半を占めている」

つまり、ここに住んでいた人達はもうほとんどいないというのだ。

「だからカオスは、この荒れた世界で生活しているわずかな人達のために、この世界を昔のように戻そうとしているのだ」

シグマのその言葉に、さすがのミハエルも驚きを隠せなかった。

カオスが、嫌な予感がしていた事が、予想外のことだったからだ。

しかしすぐに我に返った。

「その為に、アリアが必要なのか?」

それを聞き少し間をおいたシグマだが、すぐに答える。

「そうだ、だが安心しろ、あの少女はもう用済みだ」

用済み、その言葉に少しカチンときたミハエルだったが、理性を抑え止まった。

「小さな世界と言えども、再び元に再生するには、大量のエネルギーが必要だった」

「・・・・・・」

必死に抑えるミハエル。

「普通の人間では無論そんな力はない、だが極希に、とてつもないエネルギーを持った者がいる」

ミハエル達は今までそんな者に出会ったことがなかったので、あまり想像はつかなかった。

「俺達はそれを、 ガイアと呼んでいる」

今まで言葉しか聞かなかったことが、ようやくわかってくる。

「しかし、そのガイアの力を持ってしても、完全に再生させることは不可能だ」

淡々と続けるシグマに対して、表情が真剣になったり驚いたりと変わるミハエル。

口調は変わらず、話は続く。

「だからこそ仕上げとして、残っているこの世界の人間を使い、再生は完了する。それがカオスの狙いだ」

「なっ!?」

初めて声に出して驚いた。

「俺達カンパニーも最初は驚いたが、カオスには蘇生の力もある、だからすぐに承諾した」

シグマは平然とそう言うが、ミハエルの方は

「・・・・・・ふざけるなよ……」

声が、強張っていた。

「さっきから聞いてりゃエネルギーだとか使うとか・・・・・・人の命をなんだと思ってんだあんたらは……」

「・・・・・・」

ミハエルの言葉に今度はシグマが聞く立場となった。

二人に、闘気が徐々に戻ってくる。

「生き返るから使っても平気、そんな簡単なもんじゃねぇだろ……」

下げていた顔を、ゆっくりと上げていく。

「確かにカオスの理想は良い事だと思う、けど」

怒り、戸惑い、そして自分の考えすべてを込めた思いの表情で

「人の命を使ってまでやるなんて、絶対に間違ってる!」

叫んだ。

それに対してシグマは

「・・・・・・そうか」

解いていた闘気を戻し、再び風を纏っていく。

「やはり、共に歩むのは無理のようだな」

「あぁ、カオスを止めて、おっさん達の目を覚まさせてやるよ」

彼の周りにも少量の風が舞い起こった。

そしてお互い目を合わせ言い放つ。

『次で決着(けり)をつけよう』
















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