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小説喫茶・メル
6
お互いかなりのダメージを受けていた為、話し込んでいたとは言えその傷は癒えない。
だからこそ、次で決めようと言うのだ。
(・・・風水裂破はさっき一発放っちまったから、残りは後一発……)
修得した時より修行を積んだので、自分一人でコントロールは出来るようになったものの、それでも二発撃つとすべての力を使い切る。
強い技ほど当然そのリスクも大きかった。
(けどおっさんを倒すにはこれしかねぇ、体ぶっ壊れてでもやってやる)
覚悟を決め、右手に水を、左手に風を集め始める。
その間じっと佇んでいたシグマは
「・・・・・・」
無言で、ゆっくりと右腕に風を纏わせる。
それは徐々に大きな渦となり、その先端、彼の右手付近が
【龍風拳】
龍の顔となった。
「俺が唯一、名前をつけた技だ」
自分の最高の技と遠回しに言ったのを、ミハエルは当然理解した。
渦巻いている風から、とてつもないエネルギーを感じ取っているからでもある。
(凄い風だ・・・・・・あれをまともにくらったら、体がえぐられちまうな……)
そう考えるが、不思議と恐怖はなかった。
強い者と戦うことを望んでいる彼にとって、相手がより強い程、その炎は大きく燃え上がる。
そんな彼に恐怖心など皆無に等しかった。
(父さん・・・母さん……)
ハルとルミス、二人の姿を思い浮かべる。
「俺に力を!!」
叫んだ矢先、シグマが動いた。
真っ直ぐと風に乗り猛スピードで迫ってくる。
「いくぞーーーー!!!!」
迎え打つように、同じく突っ込む。
そしてミハエルは両手に合わさった水と風の玉を、シグマは風の龍を放った。
それらがぶつかり合うと
ドーンと、まず激しい地響きが起こり、次に彼等の周りが水と風によって渦巻いた嵐となり、さらに最上階なせいか屋根が吹き飛びそうになり、残っていた窓ガラスはすべて
吹き飛んだ。
その時下では
「なに!?この揺れ!?」
戦闘を終えたレイミが、激しい揺れのため尻餅をついた。
「これは・・・・・・ミハエル……」
すぐに察したマルシアは、ゆっくりと真上を見上げる。
そして上空より降って来るガラスの破片を、シレーヌを纏う事によりレイミと共に防いだ。
最上階の奥の部屋
ミハエルとシグマが戦闘を行っている中、二人の少女が向き合っていた。
「・・・あなた今・・・なんて言ったの?」
メルは目の前の少女が発した言葉を、理解したくなかったのか信じられなかったのか、思わず聞き返した。
「ふふふっ・・・聞こえなかったの?僕は、藤林メルだよ?」
自らをメルと名乗る少女は、不敵に微笑みそう言った。
その表情と口調は冷たく、見るものを凍りつかせそうなものだ。
「なっなに言ってるのよ!?藤林メルは私だよ!?変なこと言わないでよ!!」
最初はただの変体かと思っていたメルだが、容姿だけでなく声まで一緒なので、気味が悪いと感じる。
どうして自分そっくりの者がいるのか?それが気になって仕方がなかった。
そんな彼女に向かって
「・・・君は本当に、藤林すずの娘だと言い切れるの?」
メル?は今度は怖い表情で言い放った。
「・・・えっ?」
彼女の言葉に、メルはポカンとなる。
彼女はミハエルやマルシアのように感が鋭い訳ではない、その為後の事を考えたり予想するのは苦手だ。
「本当の娘である僕が、ある理由で両親の元から離れることになり、その穴埋めとして、どこの誰かもわからない君が、藤林すずとカムルの子供となった」
そのまま間をおかず、メル?は続ける。
「子供が欲しかった二人にとって、子供ならば誰でも良かった、そうは思わないかい?」
彼女のその発言をすぐに理解したメルは
「ふざけないでよ!!ママとパパは私を大事に育ててくれた!血だってちゃんと繋がってる!適当なことしゃべるな!!」
激しい怒声を上げた。
部屋中に彼女の声が響き渡る。
だがメル?はそれに怯むことなく、それどころかクスッと笑った。
「仮に二人が君を育ててくれてたとしても、それは仮初(かりそめ)で血だって君自信が確認したわけじゃないだろう?」
そう言われメルは
「そっ・・・それは……」
言葉に詰まってしまった。
頭が良い方でない彼女にとって、このような事を言われるとしばらく考え込んでしまう。
それを狙ったかのようにメル?はさらに口を進める。
「本当の娘の僕が君の前に現れた時点で、君の居場所はもうないよ」
「・・・ッ!?」
メルは思わず唇を噛みそうになり驚いた。
「あっそうだ」
何を思ったのか、突然また不敵に笑い始める。
そしてメルの方を向き
「
ふふっ・・・ミハエルは、僕がもらっちゃおうかな~?
」
はっきりと、言い放った。
数秒間沈黙が訪れ
「そっ・・・それだけはダメーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
メルが再び大声を上げ、右手に炎の短刀【息吹】を出現させ彼女に向かって行く。
しかし、メル?の笑い声がまた聞こえたかと思うと
「!?」
「遅いよ」
メルの首元に、彼女が背後よりクナイを添えていた。
「あっ・・・・・・あっ・・・あぁ……」
声にならない声を上げ、ボロボロと涙が両目より零れ落ちていく。
「はははっ、可愛いね~・・・・・・どこかの誰かさん」
「うっ・・・・・・うわぁああああああーーーーーーーーーーーー!!!」
メルはただ、叫ぶしかなかった。
頭の中がパニックになり、体を赤ん坊のように丸め蹲る。
そんな彼女を、メル?は不敵に微笑み見下ろしていた。
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