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小説喫茶・メル
8
アラスタ王国へ帰ってきたマルシア達。
ミハエルとメルはすぐさまナルクさんに診られ、神楽はレイミの部屋を借り眠っている。
マルシアは簡潔にハル達に起こった事を告げると、各々解散した。
ハル達の部屋のベットに
「傷が深い上に、あの技を二発放ってしまったんでしょう、だから自然回復が出来なかったんですね~」
ミハエルが寝かされていた。
彼は今ようやく治療を終え、安静状態にある。
その側に
「融合技を二発使わないと勝てない奴がいたとはな・・・世界は広いぜ……」
父ハルが、腕を組んで顔を下げてため息をついていた。
ミハエルが倒れていてもあまり驚かないのは見慣れているからであろうか。
その隣では、ルミスが険しい表情で息子を見つめていた。
だがふっと振り返り、ドアへ向かう。
「ルミス?」
「・・・・・・ミハエルをお願い、私は、メルを……」
「あぁ……」
ルミスの含みある発言を理解したハルとナルクは、承諾し再びミハエルの容態を確認しようとした。
レイミの部屋で寝かされている神楽の側にいる不知火、そしてアリア。
二人とも椅子に座り、ただ黙って彼女を見ている。
「しかしどういうことや?」
その沈黙を不知火が破った。
「はい?」
「ヘスティアは生き返った際に記憶を消されとるのに、なんでアリアは俺等のこと覚えてるんや?」
彼女はこの姿になって出会った時、確かに不知火達全員を覚えていた。
それが何故かは当然彼にはわからない。
アリアはそれを説明するように、人差し指を口元に当て、話始める。
「私も良くわからないのですが、ヘスティアさんを生き返らせてから改良を加えたんじゃないでしょうか?」
可愛らしい仕草で話すので、少し幼さが残っている感じだ。
「・・・・・・ごめんなアリア」
突然彼が顔を下げ謝り始めたので、ポカンとなる。
「おまえを・・・助けられんで……」
「・・・・・・良いんですよ、不知火さんは、あそこでああするしかなかった。それに私は年をとったと言えど生きているんです、結果オーライってやつですよ♪」
落ち込んでいる彼を励ますため、笑顔で返す。
それに少し安心したのか、不知火の表情も緩んだ。
しかしアリアはすぐにその笑顔をやめ、真剣な表情になった。
「私より・・・・・・一番に謝るべき人は神楽さんじゃないのですか?」
彼女のその言葉に、不知火は黙り込む。
また沈黙が訪れた。
しばらくして
「神楽が目を覚ましたら、真っ先に謝るつもりや・・・・・・ほんで」
静かに口を開いた。
真っ直ぐ、ベットで眠っている彼女を方を見つめ直す。
「俺がずっと側にいたる、それが、神楽の願いなんやろ?」
「・・・知っていたのですね」
彼はやはりしっかりしている、そこを改めて認めなおすアリアだった。
(さすがは・・・私が初めて……)
アラスタ城の屋根庭
無数の花が咲き乱れる中、そこより見える城下町を見つめているヘスティアの姿があった。
静かに立って見つめるその姿は、ほとんどの男性なら見惚れてしまいそうな美しさだ。
「姉上」
そこに、妹であり同じく美しいマルシアがやってきた。
隣にはいかず、少し後ろで彼女に問う。
「・・・何故ここに?」
妹の問いに答えるべく、顔をやや下げる。
「昔、アルセウスと一緒に来ていた気がしてな……」
姉の幼馴染の名を聞き、マルシアは表情を少し曇らせさらに問い掛ける。
「姉上は・・・・・・アルセウスを殺すつもりですか?」
「・・・・・・」
当然ヘスティアはすぐに答えられなかった。
「私は複雑です・・・・・・姉上の意思も聞かずに勝手にこのように蘇生させた奴を許したくはない・・・・・・ですが……」
マルシアは口を濁らせながらさらに続ける。
「もし殺して記憶が戻った時の姉上の苦しむ姿も・・・・・・見たくない……」
心底姉の事を思い話す言葉を、ヘスティアは黙って聞いていた。
そして返答すべく口を開く。
「私も、複雑だ。しばらく考えたい・・・・・・私が、どうするべきなのかを……」
姉妹は二人揃って、賑やかな城下町を眺めていた。
一日経ち、異界の門の前に集まる一同。
「アリアの話が本当なら、あの世界に残っている数少ない人達を急いで助けなあかん」
不知火達は昨夜、アリアより、ミハエルがシグマに聞いた内容のほとんどを聞かされた。
再生に、アリアのエネルギーだけでなく残った人達も使うことを。
「正直・・・ミハエルとメルがおらんのはキツイ気もするけど、行くしかしゃーないしな」
ミハエルは全治1週間と言われ動ける状態ではない、そしてメルも、精神ショックのためとても戦闘を行える状態じゃなかった。
そのため今いるのは、不知火、アリア、マルシア、レイミ、ヘスティアだけである。
神楽もいるが彼女は不知火の背中で眠ったままだ。
本来なら連れていくべきではないが、不知火の要望あってどうしてもということになった。
敵が異世界を行き来出来る者であってか、ハル達大人組はアラスタにいなければならない。
少し不安なまま、一同は門へと足を進めようとする。
そこに
「ミハエルとメルの穴を埋めれば良いんだろ?」
陽気な、しかし落ち着いたはっきりとした声が聞こえた。
その声に一番早く反応したのは、レイミだった。
「はっ?」
当然訳がわからない不知火はポカンとなり周りを見渡す。
そしてその彼の前に、一つの影が降り立った。
「弟ばかりに任せてられないしな、俺が一緒に行ってやるよ」
「・・・・・・まったくおまえは……」
マルシアは目の前に現れた者に呆気に取られた。
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