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3
ルシアンはカンパニーの副社長、そのおかげで不知火達は増援をよこされずに済んだ。
彼女の話により今夜はこの町で過ごすようだ。
町は広くもなく狭くもなく普通で、夕方なせいか人通りは少ない。
そんな町中を、不知火とアリアが並んで歩いていた。
「それにしても」
最初に口を開いたのはアリアだった。
その口調は何故か少し嬉しそうな様子。
「不知火さん、さっきからずっと良い顔してますね」
「へっ?そか?」
いきなりそんなことを言われたので驚いた。
気付かず内に自分の表情が和らいでいたことにも。
「ルシアンさんと、仲が良いんですか?」
アリアも良い顔なので不知火も気分が良い。
「あぁまあ仲がえぇと言うか・・・・・・あの人は俺の母親みたいなもんやからな~……」
「・・・お母さん、ですか?」
その単語に声のトーンが下がるアリア。
しかし不知火は笑顔のまま続ける
「そや、俺がカオスに拾われてからずっと育ててもうてな、ホンマお世話になったわ~」
そこまで言い、アリアの様子を伺う。
すると彼女が少し顔を下げているので話しをやめた。
(・・・・・・もしかして、俺地雷踏んでもうたか?)
そう不知火が考えているのを見透かしたように、アリアは顔を上げ口を開く。
「良いんですよ、私も、両親のこと少しは覚えていますから」
「・・・・・・」
彼女も不知火も実の両親を亡くしている、その為二人はどこか共感出来るものがあった。
それを考えると神楽も含まれるのだが。
二人がそんな空気で歩いている所に
「お花いりませんか~!?」
一人の小柄な少女が通りかかった。
水色の少し傷の入ったワンピースを着、長い青色の髪をリボンでくくっている。
幼い感じがするが、メルや神楽とそう変わらない雰囲気もあった。
「・・・・・・」
何を思ったのか、不知火は少女の元へ向かう。
「一つもろてえぇか?」
「あっ、ありがとうございま~す!」
少女は元気に微笑み、籠に摘んである一つのお花を手に取った。
良く見るとそれは髪飾りになっているようだ。
黄色いタンポポのような綺麗な姿である。
「いくらや?」
「10円です!」
安い、と思った不知火だが、すぐに財布より10円玉を出し少女に渡した。
「ありがとうございました~!」
頭を下げ、少女はその場を走り去る。
その途中でこけかけたのを見て苦笑する二人。
「ほい」
そして不知火は買った花をアリアに手渡す。
「えっ?あの……」
「無事・・・って訳やないけど、戻ってこれた記念ってことで」
笑って言うその姿を見てアリアは
「・・・・・・はい、大切にしますね♪」
同じく笑い、花を頭に付けた。
宿では神楽が未だ眠っている。
レイミとヘスティアは不知火達と同じように町を見ており、スイとマルシアは
「・・・・・・テリー以来だな、こんな厄介そうな事」
二人で、真剣な面持ちで話していた。
スイは腕を後頭部で組みドアにもたれて座っている。
「確かにな・・・だが、放っておくわけにもいかぬだろう」
マルシアの方は椅子に座り足を組んでいた。
とても大人の雰囲気を漂わすポーズだ。
「あのルシアンって人、
この世界の人の事は任せて
なんて言ってたが、どうしたもんかね~」
「不知火があれ程信頼しているのだ、信用は出来ると思うがな」
まだ少し疑い気味のスイ。
マルシアもスイ程ではないが完全に信用しているわけではない。
とは言え、ひとまずはこの世界に詳しい彼女等に任すしかなかった。
「そういえばスイ」
話題を変えるように、声色を穏やかにし話す。
「結局おまえも、剣技を主体にしたのだな」
彼が腰に下げている刀を見てそう言った。
「まぁな、戦いやすいしこの【黒刀】も扱いやすいからな」
スイの刀は、月明かりすら寄せ付けない程綺麗な黒色を発しており、かといって邪悪な雰囲気があるわけでもない。
リーチも長く、外見ではあまり使いやすそうなものには見えなかった。
「まっ、おまえのクライシスに比べたら子供みたいなもんだけどな」
今度は彼がマルシアの腰に下げてある剣を見る。
その剣からは、薄っすらと白いオーラのようなものが出ていた。
「ホント贅沢な剣だぜ、ロイドさん達の愛刀をすべて合わせた業物なんだからな」
「・・・・・・そのせいで最初は頂く時に気が引けたがな……」
「けど、おかけで神器クライシスは最強の形で蘇えった、ロイドさん達の想いも込めてな」
少し羨ましそうな表情で見るので、マルシアは気が引けたと同時に、再びこの剣を誇らしく思った。
両親の親友達の想いが集まった剣、それを託された時はかなり困っていた記憶が蘇える。
「そんな俺達でも、今回は油断出来ないぜ」
スイの声が強張る。
「あぁ、元より私は油断などしておらぬ、常に真剣だ」
「・・・・・・ったく、怖いぐらい頼りになる姉貴だぜまったく……」
ここに来てようやく彼は苦笑した。
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