小説喫茶・メル

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ルシアンはカンパニーの副社長、そのおかげで不知火達は増援をよこされずに済んだ。

彼女の話により今夜はこの町で過ごすようだ。

町は広くもなく狭くもなく普通で、夕方なせいか人通りは少ない。

そんな町中を、不知火とアリアが並んで歩いていた。

「それにしても」

最初に口を開いたのはアリアだった。

その口調は何故か少し嬉しそうな様子。

「不知火さん、さっきからずっと良い顔してますね」

「へっ?そか?」

いきなりそんなことを言われたので驚いた。

気付かず内に自分の表情が和らいでいたことにも。

「ルシアンさんと、仲が良いんですか?」

アリアも良い顔なので不知火も気分が良い。

「あぁまあ仲がえぇと言うか・・・・・・あの人は俺の母親みたいなもんやからな~……」

「・・・お母さん、ですか?」

その単語に声のトーンが下がるアリア。

しかし不知火は笑顔のまま続ける

「そや、俺がカオスに拾われてからずっと育ててもうてな、ホンマお世話になったわ~」

そこまで言い、アリアの様子を伺う。

すると彼女が少し顔を下げているので話しをやめた。

(・・・・・・もしかして、俺地雷踏んでもうたか?)

そう不知火が考えているのを見透かしたように、アリアは顔を上げ口を開く。

「良いんですよ、私も、両親のこと少しは覚えていますから」

「・・・・・・」

彼女も不知火も実の両親を亡くしている、その為二人はどこか共感出来るものがあった。

それを考えると神楽も含まれるのだが。

二人がそんな空気で歩いている所に

「お花いりませんか~!?」

一人の小柄な少女が通りかかった。

水色の少し傷の入ったワンピースを着、長い青色の髪をリボンでくくっている。

幼い感じがするが、メルや神楽とそう変わらない雰囲気もあった。

「・・・・・・」

何を思ったのか、不知火は少女の元へ向かう。

「一つもろてえぇか?」

「あっ、ありがとうございま~す!」

少女は元気に微笑み、籠に摘んである一つのお花を手に取った。

良く見るとそれは髪飾りになっているようだ。

黄色いタンポポのような綺麗な姿である。

「いくらや?」

「10円です!」

安い、と思った不知火だが、すぐに財布より10円玉を出し少女に渡した。

「ありがとうございました~!」

頭を下げ、少女はその場を走り去る。

その途中でこけかけたのを見て苦笑する二人。

「ほい」

そして不知火は買った花をアリアに手渡す。

「えっ?あの……」

「無事・・・って訳やないけど、戻ってこれた記念ってことで」

笑って言うその姿を見てアリアは

「・・・・・・はい、大切にしますね♪」

同じく笑い、花を頭に付けた。





宿では神楽が未だ眠っている。

レイミとヘスティアは不知火達と同じように町を見ており、スイとマルシアは

「・・・・・・テリー以来だな、こんな厄介そうな事」

二人で、真剣な面持ちで話していた。

スイは腕を後頭部で組みドアにもたれて座っている。

「確かにな・・・だが、放っておくわけにもいかぬだろう」

マルシアの方は椅子に座り足を組んでいた。

とても大人の雰囲気を漂わすポーズだ。

「あのルシアンって人、 この世界の人の事は任せてなんて言ってたが、どうしたもんかね~」

「不知火があれ程信頼しているのだ、信用は出来ると思うがな」

まだ少し疑い気味のスイ。

マルシアもスイ程ではないが完全に信用しているわけではない。

とは言え、ひとまずはこの世界に詳しい彼女等に任すしかなかった。

「そういえばスイ」

話題を変えるように、声色を穏やかにし話す。

「結局おまえも、剣技を主体にしたのだな」

彼が腰に下げている刀を見てそう言った。

「まぁな、戦いやすいしこの【黒刀】も扱いやすいからな」

スイの刀は、月明かりすら寄せ付けない程綺麗な黒色を発しており、かといって邪悪な雰囲気があるわけでもない。

リーチも長く、外見ではあまり使いやすそうなものには見えなかった。

「まっ、おまえのクライシスに比べたら子供みたいなもんだけどな」

今度は彼がマルシアの腰に下げてある剣を見る。

その剣からは、薄っすらと白いオーラのようなものが出ていた。

「ホント贅沢な剣だぜ、ロイドさん達の愛刀をすべて合わせた業物なんだからな」

「・・・・・・そのせいで最初は頂く時に気が引けたがな……」

「けど、おかけで神器クライシスは最強の形で蘇えった、ロイドさん達の想いも込めてな」

少し羨ましそうな表情で見るので、マルシアは気が引けたと同時に、再びこの剣を誇らしく思った。

両親の親友達の想いが集まった剣、それを託された時はかなり困っていた記憶が蘇える。

「そんな俺達でも、今回は油断出来ないぜ」

スイの声が強張る。

「あぁ、元より私は油断などしておらぬ、常に真剣だ」

「・・・・・・ったく、怖いぐらい頼りになる姉貴だぜまったく……」

ここに来てようやく彼は苦笑した。
















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