小説喫茶・メル

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不知火達が泊まる予定の宿。

その真上、屋根に

「ふふふっ、私は知ってるです」

一人の小さな女の子の姿があった。

濃い目の紫のショートヘアーにパッチリとした目をしている可愛い顔。

その割りに服はジャージのような地味な物だ。

外見から察するに10歳そこら、いっていても12歳程度であろう。

少女は屋根の上で一人でぶつぶつしゃべっていた。

「奴等は男二人に女六人の集団です、その内男一人に女一人がぐったりとの報告も聞きましたです」

小声なので下にいる人達には聞こえないが、どう見ても怪しい姿である。

「そして赤髪の男、橙色の女、桃色に黄緑に黒い髪の女どもは皆外出中・・・・・・つまり!!」

急に立ち上がり、片腕を高く上げた。

「今宿にいるのは、倒れている神楽と言う女一人なのです!!」

その大きな声に、当然町人は気付き足を止める。

しかし子供が遊んでいると思い込み、特に気にもせず再び足を進め始めた。

それにニヤッと笑った少女は、ゆっくりと神楽が寝ている部屋の窓に手をかける。

キィーと窓を開け、中へと侵入した。

「潜入成功なのです!!」

満面の笑みで叫び、ガッツポーズを決めたが

「・・・・・・」

その様子を一人の男に見られていた。

ドアの隣の壁にもたれて座っている美形の容姿の男、スイに。

彼はマルシアが外出すると言うので、一人神楽の守りをしているのだ。

「・・・・・・部屋を間違えましたです~……」

「マテ」

忍び足で外に出ようとしたが、勿論のことスイに止められ、ビクッとなる。

そしてすぐに、まるでネズミのように部屋の隅に向かった。

「おっ・・・おかしいです・・・・・・仲間の数が合わないです~・・・誰ですかあの男は~……?」

不知火達が帰る際までのことしか知らないのか、スイの存在がわからなかったようだ。

「いやでも・・・侵入事態は成功したです・・・あんなすぐにエッチィことしそうな男一人ぐらい……」

「聞こえてるぞ」

「はにゃっ!?」

独り言を聞かれた驚きと、的確なツッコミに思わず飛び跳ねた。

どうにも忙しい少女である。

そんな彼女を半分おもしろがって見ていたスイだが、急に表情が強張った。

「君みたいな可愛いお嬢さんまで、バトルカンパニーのメンバーなんだな」

だが少女はその鋭い声に怯むことなく彼に向き合う。

「ふっ!その通りなのです!私はバトルカンパニー、ヤイバ様の側近のツルギと言う者なのです!!とは言え、あなたみたいな奴には名乗る名はないです!!」

そこまで言い、スイが無言なので脳裏を逆再生させる。

「・・・・・・!?」

「今名乗ったよな……?」

少女、ツルギは頭を両手で抱えその場に座り込んだ。

綺麗な髪をクシャクシャかきむしり、声にならない声を上げる。

(・・・・・・カンパニーってこんな奴等ばっかなのか?)

かなり警戒していたスイは、当然のこと呆然と頬をかいていた。

しかし

「ぷぅ~!さっきから私を小バカにして許さないです!表へ出ろですぅ!!」

彼女の雰囲気がガラッと変わったので、表情を戻した。

目つきが鋭くなり、わずかながらの、本当に彼にしかわからない程の水を発生させる。

これは彼の警戒信号のようなものである。

そして言われた通り表へと出、ツルギに案内されるまま町のはずれへ向かう。

また神楽を放置する訳にも行かない。

それをわかっているスイは、部屋に先程出した水を置いておいた。

水は徐々に、彼そっくりの姿となり神楽の側へつく。

これが彼なりの守りの技だった。





町外れなので人通りはないに等しい。

それを見透かしたように、ツルギは闘気を剥き出しにしていた。

「私を怒らしたら怖いのです!あんたなんかボッコボコのギッタンギッタンにしてやるです!!」

そう言い放つ彼女とは違い、スイは落ち着いている。

ミハエルとは違い、やはり熱血ではない。

「君のその様子からして、ヤイバって奴も相当な実力の持ち主みたいだな」

「あったり前です!ヤイバ様はカオスの方翼、あのシグマ様と同等!いやそれ以上の実力なのです!!」

勢いで叫び、また思考を逆回転させる。

「はぅわ~・・・・・・また秘密をしゃべってしまったですぅ~……」

(・・・・・・扱いやす~……)

今までこの手の女の子(メルも含む)と出会ってきたスイにとって、ツルギはとても扱いやすかった。

地面で頭を抱えゴロゴロしている彼女を、やや呆れ顔で眺める。

「どうせ一人になった神楽を狙いに来たんだろ?」

「はにゃ!?狙いまで読まれたです!?ってはぅわ!!また言っちゃったのです!!」

ツルギは叫んだり悩んだりと、闘気はあるがとても話に聞くヤイバの側近とは思えなかった。

その為、片手で頭を押さえ口を開く。

「悪いこと言わないから帰りな、俺は女性を傷付けたくないしな」

スイの険しく、しかし柔らかな声を聞いたツルギは

「隙ありですぅ~!!」

右手を彼へと向けた。

「!?」

気がつくと、スイの髪が少し焦げている。

クールな表情で焦げた部分をいじり、彼女へと視線を戻した。

「油断したのです!私の【花火剣】で黒焦げにしてやるです~!!」

ツルギはニヤッと笑い、指先にライター程の火を灯す。

そしてそれを一閃、彼の後ろのドラム缶に向けて放った。

するとドラム缶は鋭く切り裂かれ、裂かれた箇所がボッと発火。

「どうだです!?降参して大人しくやられるなら今の内なのです!!」

自信満々に微笑み叫ぶツルギ。

それを険しい顔つきで見つめていたスイは

「・・・・・・ガイさん直伝」

ゆっくりと重心を低くし、彼女に聞こえるかわからない程度の声で呟いた。

その瞬間

【弧月閃】

「・・・・・・えっ?」

ツルギは何が起こったか一瞬わからず、しかし徐々に体中、特に胸辺りに痛みを感じ

「う・・・・・・そ……」

静かに、血は流さず倒れた。

そのすぐ側でスイは

「峰打ちとは言え、女性を斬るのは気分が悪いぜ……」

黒い光を発している刀、黒刀を鞘へとしまった。
















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