小説喫茶・メル

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マルシアは町の北側の路地を歩いていた。

彼女は散歩と言って外に出たが、実はある理由があってここにいる。

それは

「どうやら、狙いは私だけではないようだな」

一人の男に、つけられていたからである。

「悪いな、これも仕事なんだ」

男は無愛想にそう返した。

薄めの紫の髪になかなかイケている容姿、年は二十歳そこらだろうか、口に銜えている煙草が良く似合っている。

茶のジャケットだけが少し親父くささが出ていた。

「仕事・・・・・・貴様カンパニーの者か?」

「・・・そうだが」

マルシアの問いに冷静に答えた男。

それに彼女は考える。

(どういうことだ・・・増援は来ないはずではなかったのか?)

ルシアンから聞いた話と違う、気がかりになっていたので彼女を再び疑ってしまう。

いくら不知火の信頼を得ているとは言え、現に目の前にカンパニーの者が現れたのだから。

そんな彼女を見透かしたように

「副社長は関係ない、ここは俺の管轄なだけだ」

男はそう言い放った。

マルシアは当然驚くが、すぐに目の前の男に集中する。

「目的は・・・私達を消すことか?」

険しい表情の彼女を見、それでも男は

「そうだ」

あっさりと返した。

それを聞いた途端、マルシアは腰に下げている剣、クライシスに手をかける。

「私以外の者も狙うのであれば、今ここで貴様を野放しにするわけにはいかぬ」

重心を低く構えそして

「ゆくぞ!」

勢い良く、ロケットのように飛び出した。

そのままクライシスを横一閃、男目掛けて振るう。

「・・・・・・速いな」

男は紙一重で上空へ飛ぶことによりかわした。

距離が空き一時安全と思いきや、マルシアは黒い羽根を背中より生やす。

それをはばたかせ、猛スピードで男を追った。

「悪魔の羽根か……」

呟くと同時に、同じく腰に下げてある刀を鞘より抜く。

特に変わった様子のないそれで、マルシアの振り下ろしを防いだ。

ギーンと刃同士がぶつかり合い、火花散り硬直、つばり合いになる。

「はぁ!!」

だがマルシアは男の刀を瞬時に弾き、一歩空中で後退した。

その間飛べない彼は落ちていく。

上手く着地し、上を見上げると

「受けよ雷(いかずち)の剣……」

マルシアの右手に激しい雷がバチバチと集まっていた。

雷は徐々に一つの形

「サンダーブレード!!」

剣となって放たれる。

轟音をたて真っ直ぐ向かってくるそれを、男はバックステップをし避けた。

「・・・上か!?」

真上、そこにマルシアが胸元に手を入れている状態でいる。

「纏えシレーヌ……」

小さく囁(ささや)き、取り出した綺麗な聖水のような衣、シレーヌを放つ。

「楓塵華!」

衣は蛇のように唸りを上げ、男の元へ到達するとまるで生きているかのように舞う。

普段防御用にしている物だが、以前まではこれを武器としていたため、攻守の切り替えが可能となる。

回避不能な技であった。

しかし

「なっ!?」

男はシレーヌの舞いの中より飛び出し、ジャンプの勢いで向かってくる。

予想外の自体に慌てて衣を戻す。

「ようやく隙が出来たな」

ザシュっと、刀で右腕を切られた。

「くっ……」

服越しに彼女の赤い血が姿を現す。

それに追撃を加えるように、男は空中でクルっと回り今度は落ちていく重力を加え突撃してきた。

【真・桜乱舞】

だが彼の攻撃は空を、彼女の残像を切る。

「・・・・・・そこか」

少し離れた地面に着地しているのを確認し、自分も地面に着地。

そして着地した際の足のバネを利用し、マルシア目掛けて飛び出した。

その眼前に

【煉獄弾】

「!?」

炎の塊が眼前に迫っていた。

また紙一重でかわしたが、今回は炎なため頬が少し焦げる。

その視線の先ではマルシアが

「まさか・・・父上の物を使うことになるとは……」

一丁の銃を両手で構えていた。

その銃口からは煙が少し出ている。

拳銃より一回り程大きい。

「・・・・・・なるほど、随分お強いお嬢さんだ」

男の方は背筋を伸ばし、真剣な面持ちで彼女を見ていた。

そこに

「マッマルシアさん!これは一体!?」

慌てた表情のアリアと、不知火が通り掛かった。

「アリア・・・不知火」

仲間が来たことにより、安心感のため少し緊張が途切れる。

しかしその仲間の内の一人、不知火が

「・・・・・・まさか、こんなとこで会うとは思わんかったわ……」

険しい顔つき、むしろ怖い感じだった。

さっきまでルシアンのことで上機嫌だった彼の姿はどこにもない。

「・・・・・・おまえか・・・」

男がそう呟いたのを聞くと

ヤイバーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

激しい怒声を上げ、自分の周りに炎を噴出して飛び出した。
















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