小説喫茶・メル

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炎を纏ったクナイと刀がギーンとぶつかり合う。

その片方、不知火の方は険しい顔つきで声をあげる。

「あの時なんで、なんで!!」

脳裏に思い浮かぶビジョン、焼かれている町と倒れている人達。

その中でポツリと立っている自分の前にいる男。

「なんでみんなを、殺した!?」

ヤイバに、喉が枯れそうな大声で叫んだ。

声の勢いに乗り、彼を押す。

しかしヤイバはそれに怯むことはなく

「・・・・・・おまえは頭の良い奴だと思っていたんだけどな」

クナイを彼ごと刀で弾いた。

「!?」

弾かれたことにより後退し、距離が空く。

「しっ・・・不知火・・・さん?」

自分の側に来たので恐る恐る話掛けるが、不知火は我を忘れたようにヤイバの方だけを向いている。

そんな一触即発の彼にヤイバは、静かに話し出す。

「俺はカンパニーのカオスの方翼、主な仕事は、殺しだ」

「・・・・・・」

飛び出しそうな自分を、なんとか理性を取り戻し聞いていた。

それにアリアとマルシアもホッとしたのか、ヤイバの話を聞く。

「考えてみろ、いきなり自分の家族や友人を殺され、たった一人生き残った孤独な人間に、都合良く救いの手が伸びると思うか?」

彼の淡々と語るそれを聞いた3人は、それぞれ考えている。

だが3人ともすぐに、ヤイバの言いたいことがわかった。

そして不知火は思わず

「・・・・・・まさか……」

確信に迫るように口にした。

「そうだ、あの時おまえの里を壊滅させろと命じたのは、カオスだ」

衝撃。

ただそれだけが3人を襲った。

「ひっ酷い……」

「外道が……」

アリアとマルシアはそれぞれそう言い、ヤイバを見つめる。

「・・・ッ!?」

しかしマルシアは、突如やってきた全身の痺れに気付いた。

「マルシアさん!?」

すぐに気付き側によるアリア。

彼女の顔を見ると、とても辛そうな表情をしていた。

「きっ・・・貴様・・・何を……?」

「毒が回ったみたいだな」

バタっと地面に倒れこんだマルシアからの問いを、さらっと返すヤイバ。

アリアは慌てて彼女を抱き起こす。

「毒・・・・・・だと……」

荒い息をたて、先程腕を切られたことを思い出した。

「俺の刀には、紫蛇(しじゃ)と言われる蛇の猛毒が染み込ませてある」

「猛毒!?」

彼女を抱えるアリアは驚き、そして彼女に目をやると

「はぁ・・・はぁ・・・」

マルシアはぐったりして目を閉じていた。

体力的にも精神的にも強い彼女でも、毒には敵わないようだ。

「不知火さん!マルシアさんが!!」

必死に現状況を打破すべく、助けを求めるが

「・・・・・・ッ!カオスーーーーーーーー!!!!」

最初よりさらに暴走している彼に、声は届かなかった。

怒声を上げ、再びヤイバに向かって走り出す。

「・・・・・・単細胞が・・・」

だるそうに刀を構え、彼に向かって振り下ろす。

そしてまた刀とクナイがぶつかりそうになった。

ギーンと、音が二つ鳴り響く。

「・・・・・・!?」

不知火とヤイバは、互いに起こったことに驚いた。

「おまえら二人とも武器を引け」

彼等の武器は、一人の男によって止められている。

「スイ・・・はん……」

「なんだおまえは?」

ここに来てようやく不知火は我に返った。

彼のクナイは、スイの黒刀の鞘に、そしてヤイバの刀は黒刀で止められている。

それを理解した二人は、彼の元より飛び退いた。

「スイ・・・さん・・・」

おずおずと見ていたアリアは、少し安心する。

そんな彼の表情は

「戦っている相手、しかも女性に毒を盛るなんて、同じ男として理解し難いな」

珍しく、怖かった。

怒っているのだろうか、妙な覇気がある。

だがヤイバはその気迫にも押されず、ポケットより一本の煙草を取り出した。

ボッと火をつけ吸い、向き合う。

「戦いに卑怯もくそもない、ただ勝った方が強いってことだ」

彼のその発言に、スイは険しい表情で言い返す。

「それは同意だが、俺は女性の味方だ、だからおまえは気に食わない」

そのあまりに自分勝手な言葉を聞き、ヤイバの方は少し困っていた。

アリアまでも何故か「あははは……」と言った感じで呆れている。

「ヤイバとか言ったな、ここは互いのために退かないか?こっちはマルシアを一刻も早く治療しねぇといかない、でもって今レイミとお姉様も向かってる、あんたにとっても良い状況とは言い難いよな?」

スイからの提案と思えることを聞き、ヤイバは表情を曇らせた。

「俺が解毒薬を持っているかもしれないぜ?」

「仮に持っていたとしても、あんたは素直にそれを渡すような性格じゃない」

そこまで言い、マルシアの方に目をやる。

「無理矢理奪おうとしても、相当の腕のあんたからあっさり取れるわけねぇし、毒の治療は一分一秒を争うものだからな」

「・・・・・・頭の良い奴だな、ならここは大人しく退かせてもらうか」

ヤイバは観念したように、刀をしまう。

そして少し大きめの声で呟く

「サヤ、退くぞ」

それに答えるように、一軒の民家の屋上より

「あいよーヤイバ様!!」

一人の少年が飛び出した。

緑のキャップをかぶっており、黄土色のマントのようなものをしている。

その上容姿はまだ可愛く、どこから見てもわんぱく小僧のようだった。

年も恐らくツルギと同じぐらいであろう。

「そら!特製ワイヤー!!」

勢い良く投げたワイヤーを、ヤイバは腕に巻きつける。

それを確認し、サヤがクイっと引っ張ると、ワイヤーは猛スピードで引っ張られていく。

そのまま二人は一瞬にして消えた。

「まっ!待たんかい!!」

我に返っていた不知火は、二人を追うように飛び出そうとするが

「話、聞いてなかったのか?」

スイが道を防ぐように前へ出た。

その表情はまだ険しいままだ。

「どいてくれスイはん!俺はあいつを!!」

怒鳴る不知火の頬を、スイは勢いよく

「ッ!?」

バキっと殴った。

ザザザと地面を擦り倒れ込む。

驚くアリアを余所に、スイは静かに口を開く。

「おまえがもし、自分の為にあいつを追いたいなら別に止めはしないさ、けどな」

彼の声色が、初めて強張っていた。

その声で、続ける。

本当に俺達を仲間と思うなら、今はマルシアを助けることを優先すべきじゃないのか?」

「あっ・・・ッ・・・・・・」

声にならず、黙り込んだ。

そんな彼を通り過ぎ、マルシアをアリアから受け取り背中に背負う。

彼女はまだ荒い息を立て、とても苦しそうだ。

「【一人のピンチはみんなのピンチ】、元はある人の言葉だが、ミハエルなら、同じことを言ってると思うぜ」

彼のその言葉を聞き、不知火は

「・・・・・・ミハ・・・エル……」

大事な、親友と思っている相手の姿を思い浮かべ、ゆっくりと起き上がった。
















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