小説喫茶・メル

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アラスタ王国は、平和である。

その為仕事を怠ける者も多い、それほど今は平和ということだ。

城に表から入るには、庭を通る必要がある。

左右に噴水があり、無数の花畑が綺麗に咲き誇っていた。

そこを抜けると門があり、二人の兵が眠たそうに立っている。

その門が急に開き

「ん?あっレナス様!おはようございます!!」

王妃レナスがゆっくりと歩み出た。

二人の兵は驚き、背筋をピンと伸ばす。

「おはよう、今日も平和ね」

その柔らかな笑顔を見、兵達は再び気が緩んだ。

そんな3人の前に、ヒューと優しい風が吹く。

だがそれはすぐに頬を撫で過ぎ去った。

そしてレナスがふと目の前を見ると

「・・・・・・誰?」

一人の青年が立っていた。

綺麗なタキシードの上から何故かマントを着ている男は、美形な容姿を十分に惹き立てている。

彼はレナスの方に視線をやり、静かにその口を開く。

「初めまして、レナス王妃。僕はバトルカンパニーという企業の社長、カオスと言います」

ニコっと笑いながら言うその言葉を聞き

(カオス!?)

レナスの表情が一気に強張る。

マルシア達からカオスとカンパニーの事は聞かされていた。

勿論彼が社長と言うことも。

(・・・何故カンパニーの社長がこの世界に・・・次元ルートが見破られるには早過ぎる……)

異界の門をくぐって特定の世界に行くには、当然そのルートを通る必要がある。

それを何故彼が知っているのか?わからないため困惑してしまう。

「そう怖い顔をしないでください、僕は貴方に少し用があってきたのです。他の者に危害を加える気はありませんよ」

彼のその言葉は素直に鵜呑みに出来ないが、城前という場所が悪いため

「・・・・・・ついてきてください、話はそこで伺いましょう」

レナスは彼を誘うように、シュっと消えた。

「わかりました」

後を追う為、カオスもその場から消える。

残された兵達はポカンと、開いた口が塞がらなかった。






アラスタの森は明るい。

日の光が差しやすいためか、夜になっても真っ暗になることはない。

レナスとカオスはその丁度中枢部辺りにいた。

「単刀直入に言いましょうレナス王妃」

丁寧な口調で話始める彼の言葉を、レナスは黙って聞く。

「かつて、ロイド・アーヴィングや藤林すずと共に数々の死闘を繰り広げた貴方の腕の程を、僕に見せて欲しい」

その台詞に、彼女は再び険しい顔つきで困惑する。

(ロイドやすずのことまで・・・・・・この男・・・どこまで知っているの……?)

考え悩むが、その結果はこの男が危険、としか行き着くことが出来なかった。

(でも・・・ここで私がこの男を倒せば、マルシア達の負担をかなり減らしてあげられるはず……)

プラスに考え、警戒しつつ口を開く。

「目的は私の力だけですか?」

「はい、本当ならハル・シルファー王の程も拝見したかったのですが、どうやら留守のようなので」

カオスの表情は緩んだままで、実に穏やかだった。

だがレナスにとってはそれが逆に恐ろしく見える。

何を企んでいるかわからないからであろう。

「それと」

カオスはそれを特に気にもかけず進めた。

「貴方はとてもお強いはずなので、こちらは二人がかりでいかせてもらいますよ」

「えっ?」

レナスが驚いたその時、カオスの背後より一つの影が舞い降りる。

その姿を見て、彼女は言葉を失った。

「やっほー!レナスお・ば・さ・ん♪」

(こっ・・・これは一体……?)

彼女の目の前に現れたのは、紛れも無くメルの姿だった。

容姿、髪型と色、体格も声までも一緒。

だがすぐに違和感を覚えたのは、メルと違い不気味な雰囲気が漂っていることである。

そんな彼女にカオスは

「僕とメルの二人がかり、貴方ならそれぐらいわけないですよね?」

そう言い放った。

言われたレナスは頭がパニックになりながらも、落ち着き、腰に下げている刀、セイレーンに手をかける。

と、今度は彼女の背後に

「レナス様」

メル?と同じぐらいの幼い声が響き、小さな人影が舞い降りた。

「えっ・・・ルミス?」

現れたのはミハエルとスイの母親、ルミス。

何故彼女がここに来たのかは当然わからない。

何度も悩める彼女の横に行き、静かに話し始める。

「あなたが今回の元凶ですね」

カオスは自分の事を言われたが、何も返さず視線だけメル?の方へ少しやった。

それに答えるように彼女はルミスの方を見る。

「ふふっ・・・ルミスおばさ~ん、相変わらずちっちゃくて可愛いね~」

彼女のちゃかすような声を聞いたルミスは

「・・・・・・あなたがメルを追い詰めた子……」

とても険しく、少し怖い顔つきになった。

そして一歩前に出

「レナス様、あの子を私に任せてください」

「えっ!?」

レナスを驚かせた。

それもそのはず、彼女には戦う力はないはず。

それなのに今まさに戦おうとしている相手の一人を引き受けると言うのだ。

だがルミスは平然と、しかししっかりとした声で話す。

「心配はいりません、力なら……」

彼女の周りより

「つい先程戻りましたから」

大量の水が溢れ出た。

その光景にレナスは当然のこと、カオスとメル?まで驚く。

彼等もルミスが力を失っていたことを知っていたのだろう。

しかしカオスはすぐに表情を戻した。

「少し予定が狂ったけど、メルが彼女の相手をしてくれれば良いだけだしね」

「・・・そうだね・・・・・・ルミスおばさんは、僕がやるよ」

二人してそう言い合い、メル?の方はシュっと移動した。

その後をルミスが追い、彼女達は二手に分かれた。

レナスVSカオス

ルミスVSメル?
















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