小説喫茶・メル

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ラストエンペラーが解放されたことにより、レナスの周りに激しき水が渦巻いている。

セイレーンからも電気のような光がバチバチと光っていた。

それを見ていたカオスは、真剣な表情から徐々に微笑していき、口を開く。

「素晴らしい・・・実に美しく圧倒される姿だ……」

本気で見惚れているのか、彼の姿はまるで無防備だった。

「やはり凄いですねレナス王妃、まるで女神のようだ……」

そう言い視線を彼女へとやると、そこに姿はない。

「戦闘中のおしゃべりは、集中力を鈍らせますよ?」

声がした方を向くと、真後ろ、背後にレナスが周りこんでいた。

そして彼女の振り下ろしを、剣で防ぐ。

(・・・さっきより重い……)

防ぎ、先程より威力が増していることに気付いた。

つばり合った状態なので、カオスはレナスの刀を弾き、一歩後退する。

しかしその瞬間、彼女の周りの水がセイレーンへと集まり

「水光破!」

水の波動として放たれた。

真っ直ぐ向かってくるそれを

「はっ!!」

勢い良く剣を振るうことによりかき消す。

剣圧により崩れた水の波動。

雨のように落ちていくそこに、レナスが猛スピードで迫っていた。

刀を彼目掛けて突く。

カオスは上手く剣を当てることにより防ぐが

「弧月衝!」

そこより上へ突き上げられたことにより、バランスが崩れふらつく。

それを逃さず、レナスはその場で一回転し

「瞬神殺!!」

神速の居合い斬りを放った。

「くっ・・・・・・」

さすがのカオスもまともに腹に受けたせいか、後退する。

その間背中より悪魔の羽根を生やしたレナスは、彼に突撃するように

「飛翔斬!」

斜め上へ急上昇しながら肩へと斬りつけた。

切られた箇所より血が吹き出し、思わずそこを手で押さえる。

だがまだ来るであろうと思われる彼女の攻撃に備えるため、真上へと視点をやった。

すると案の定、レナスは上空で天を蹴り、カオス目掛けて急降下してくる。

「雷鳴牙!!」

セイレーンの真っ直ぐな突き出し、彼はそれを先程と同じように剣で防いだ。

その瞬間

「ぐっ!」

ビリビリと、彼の体に落雷が落ちた。

痺れによりカオスはふらつく。

「いくら頑丈でタフな貴方でも、ラストエンペラーを解放した状態の連続攻撃は効くようですね」

レナスはそう言うと、彼の目の前に残像を残し背後へと周り

「すみませんが」

勢い良く蹴り上げた。

カオスは無防備に宙に打ち上げられる。

「終わりとしましょう」

それを悪魔の羽根をはばたかせ追う。

「奥義」

そう呟きセイレーンを構え、切り上げようとした。

「おしゃべりは集中力を鈍らせる」

「えっ!?」

起こった出来事に思わず動きが止まる。

切り上げようとした刀が、彼の剣で止められていた。

天地神爆殺・・・あなたの最強の技でしたよね?」

確認するように彼女の表情を伺うと、レナスは少し冷や汗を出し黙っている。

刀と剣はつばり合ったまま、お互い退かない。

「しかしその技も、初撃を防がれては行うことが困難になる……」

カオスはそう言い放ち、彼女の刀を弾いた。

レナスは刀こそ放さなかったものの、体制を崩し宙で逆に無防備になってしまう。

「途中の【おしゃべり】が、集中力を鈍らせましたね」

剣を彼女へと向け、話を続ける。

「つまりあなたは、自ら言った言葉で、千載一遇のチャンスを逃したのですよ」

その剣をゆっくりとレナスの首元へ添えた。

「すみませんレナス王妃、気が変わったので、あなたにはやっぱり消えてもらいます」

「!?」

彼の言葉を聞き、全身に恐怖が襲いかかる。

セイレーンを再び彼へと向けるには、間と時間が無かった。

一瞬で死を感じたレナスは思わず目を閉じる。

「・・・・・・?」

だが彼の刃が動かないので、恐る恐る目を開けた。

そこには

「そこまでだ」

「動いたら脳みそ飛んでってまうで?」

カオスの剣を、同じく剣、フレズベルクで止めている男と、銃口を頭へと突きつけている男がいた。

「お兄ちゃん・・・ロラン……」

ハルとロランが、間一髪レナスの危機を救っている。

二人とも険しい顔つきをし、カオスが退くのを待っているようだ。

「・・・まさか、両王が同時に現れるとは……」

初めて、カオスの顔が歪み、場が緊張に包まれる。

「おまえがカオスか、俺より若いじゃねぇか」

「うちの奥さんが世話なったな~」

「・・・・・・」

二人の言葉を聞いているカオスは、険しい表情で黙っていた。

しかしすぐに、ゆっくりと口を開く

「さすがに3対1じゃ分が悪いですね、ここは退かせてもらいましょう」

そう言い剣を下げた瞬間

「くっ!?」

ハル達3人は突風に襲われた。

木の葉が舞い、木々が揺れる。

「目的は果たしました、あなた達のお子さんを丁重にお出迎えすると致しましょう」

声がした方向を向くと、カオスが宙に浮き微笑んでいた。

そしてその隣に

「ッ!?アルセウス!!」

「アルちゃん……」

レナスとロランが驚愕の表情になる男、アルセウスが静かに彼女等を見下ろしている。

その目は何故かとても悲しそうな、しかし強い光を発していた。

無言で見つめている彼はすぐに後ろを向き、カオスもそれに続く。

すると彼等の前に黒い渦が現れ、二人はそこへ入っていった。

「ちっ・・・即席の異界の門か……」

ハルは舌打ちし、目の前よりいなくなった二人のことを考える。

レナスとロランはただ呆然に佇んでいた。





少し離れた所では

「ふふっ、力が戻ったと言っても爪が甘かったようだね……」

メル?が、傷だらけの状態で黒い渦に入ろうとしていた。

「・・・・・・」

ルミスはそれを無言で見つめている。

「待ってなよ・・・本当のメルが誰なのか・・・教えてあげるからさぁ!!」

笑いながらそう叫び、メル?は渦へと入っていった。

その際に紫の炎が、残り火となり宙を舞っていた。
















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