小説喫茶・メル

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サヤを抱え、スイとは逆の方向へと進んだヘスティア。

時間はほぼ経っていない。

(・・・・・・今だ!)

「??」

彼女の一瞬の隙をつき、サヤは振りほどいた。

すぐさま離れ、近くの木に飛び乗る。

「いつまでも子供みたいに抱えてんじゃねぇよ女!!」

ヘスティアを見下ろすように怒声を上げ、睨み付けるサヤ。

こういう仕草がいかにも子供だ。

なので思わず苦笑する。

「あっ!笑ったな今!?女のくせに!!」

「ふっ・・・すまぬな」

鼻で笑っているせいか、彼の怒りは治まらない。

それをわかっていて謝ったが、逆効果だった。

「俺にサシを挑んだこと、後悔させてやるぜ!!」

言いつつ、腰につけているポーチより

「はっ!!」

数本のナイフを彼女向けて放った。

「・・・・・・」

ヘスティアは動かず、ギリギリまでそれを目で見

「・・・ふむ……」

間一髪、かすらずにかわした。

後ろにあった木にナイフは刺さる。

何を思ったのか、ゆっくりとその内の一本を抜いた。

その行動に疑問を持つサヤ。

「やはり、マルシアが食らったものと同じ毒か」

ナイフの先端より、薄い紫の液体がタラタラと垂れている。

木に至ってはそれのせいか、刺さった部分が焦げたように溶けていた。

「よく気付いたな、その通りだよ!」

サヤは再びポーチに手を入れると、今度は両手に二本ずつ同じナイフを取り出す。

「ヤイバ様特製の毒、俺はヤイバ様の【鞘】として、おまえを倒す」

激しい闘気を放ち、真剣な面持ちで彼女を睨む。

周りの空気がピリピリなり、木や葉が揺れている。

「・・・すまぬな」

しかしヘスティアは

「本来なら、子供相手に大人気ない事はしたくないが……」

そんな彼以上の

「マルシアの事もある、手加減出来ぬぞ」

覇気、木の葉が真っ二つに割れる程の雰囲気を漂わせていた。

「くっ!」

それだけでサヤは思わず後退するが、すぐに足を戻す。

(こいつやばい・・・・・・けど・・・負けらんねぇ!!)

両手のナイフの内、右手の二本を彼女へと投げる。

勢い良く向かってくるそれを、ヘスティアは上空へ飛ぶことによってかわした。

サヤはそこへ左手の二本を放つ。

「舞い散れ……」

空中で悪魔の羽根を生やし、二つの扇を取り出した。

それを重ね、クルっとその場で一回転し

「旋風陣!」

遠心力を得た力で振るうと、巨大な竜巻が発生した。

風はナイフの勢いを殺し、真っ直ぐとサヤ目掛けて向かってくる。

「くそっ!」

急いで退避し、彼女の背後へと周り、飛ぶ。

「投げが無理なら直接切るまで!!」

一本のナイフを両手で持ち、彼女の背中に振り下ろす。

だがガキーンと、片方の扇で防がれた。

そのまま彼の方を向き、口を開く。

「・・・接近戦は苦手のようだな、太刀筋や力の加え方がぎこちないぞ」

「うるせぇ!!」

大きい声を出し両手にさらに力を込める。

それでもヘスティアは、片方の扇だけで防いでいるというのに動かない。

(こっこいつ・・・女のくせになんて力だ・・・ツルギなんてフライパン持つのがやっとなのに……)

大人の女性に会ったことがないのだろうか、今までにないことで焦りが徐々に溢れ出る。

(それにこれは・・・少しだけど風が渦巻いてやがる!?)

微風、それだけでも彼にとっては不利だった。

ヘスティアは微笑し、彼をナイフごと弾く。

「くあっ!」

「おまえはまだ子供だ、焦らず、その力を大切に育てると良い」

彼女がそう言ったのを聞いた瞬間

「なっ!?なんだよこれ!?」

自分の周りに風の渦が発生していることに気付いた。

それは徐々に丸く、ボールのようになり彼を囲む。

「風刃縛封」

ヘスティアの呟きがスイッチとなり、風の球はサヤを押し潰した。

「かっ・・・嘘・・・だろ……」

全身の痛みにより血を噴出し、地面に落ちる。

それを追うように、ヘスティアも羽根をしまい降りた。

「・・・・・・この技・・・以前誰かに教えてもらったような……」

自分で知らず知らず放っていたので、自分に対して疑問を持つ。

だが悩めど、記憶は戻らない。

「ちっ・・・ちくしょー……」

腕を支えにし、必死に起き上がろうとするサヤ。

体の傷より血が飛び出し、その痛みで再び地面に蹲った。

「ヤイバ様・・・・・・ごめんな・・・さい……」

力を失い、気絶。

その目からは、涙が溢れ出ていた。

「・・・・・・ヤイバ・・・貴様これほどに好かれていて・・・何故カオスの命令を……?」

ヘスティアは一つの疑問を抱き、その場を去った。
















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