小説喫茶・メル

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スイとヘスティア達よりさらに離れた奥。

森の最深部と思われる所に、二人はいた。

「・・・・・・神楽はどこや?」

不知火に

「・・・・俺達のアジトで眠っている・・・」

ヤイバ。

二人は互いに一定の距離を取り、様子を伺うように話し始める。

静かに吹いている風が頬を優しく撫でた。

「そか、それを聞いて安心したわ」

「安心?」

不知火が妙に落ち着いているので、少し疑問に思うヤイバ。

昨日出会った時は血相抱えて飛び掛ってきたというのに。

今の彼は気の動揺が見られない。

「あぁ、これでおまえを倒すことに集中出来る」

「倒す?殺すの間違いだろ?」

彼を挑発するようにそう言うが

「アホか、なんでおまえを殺さなあかんねん?」

さらっと言い返された。

それに当然驚く、一体何を考えているのかと。

「俺は神楽を助けに来たんや、別におまえを殺す必要なんてあらへんやろ」

「・・・・本気で言ってるのか?」

「大マジや」

ヤイバは黙ってしまった。

自分の家族の仇を、殺さないと言うのだから。

動揺させるためにわざと平然さを保っているのか、それとも本心なのか。

彼には皆目見当がつかなかった。

「ヤイバ」

そのため彼の呼びかけに反応が遅れる。

だがペースに飲まれないよう、落ち着きを取り戻す。

「場所を変えるで」

そう言うと不知火はさっそうとその場より消えた。

「・・・・・・」

疑問を残しつつも、その後を追う。





少し移動した先は森の中だが、平原のように広く、周りには木の姿などはあまり見れない。

「ここやったら、周りの木々を焼かんで済みそうや」

「木々だと?」

「そや、この森は・・・・・・俺と神楽が出会った場所やからな」

彼の発言に、ヤイバは再び驚く。

それにより本当に、彼女を助けるために来たのだとほぼ確信してしまう。

「あいつ木焼いたらめっちゃ怒りよるからな~・・・・森の中の戦い苦手やねん……」

不知火が困った表情で話すのを見ながら、ヤイバは困惑を隠せなかった。

「さてほんなら・・・・」

声が小さくなり、彼の周りに

「始めよか、ヤイバ」

炎の渦が巻き起こった。

龍のように渦巻くそれは、彼を守るように取り囲む。

「!?」

そしてその炎が、目の前に迫っていた。

「くっ!」

間一髪横に避け、前を見ると不知火がいない。

炎の塊はヤイバから少し離れた位置に到達するとヒュンと消えた。

「双焔牙!!」

「ちっ!!」

真上から二つの炎の斬撃。

その上に不知火がいる。

バックステップし、それらをかわし距離を離す。

(・・・技のキレが良い・・・・本当に迷いはないのか?)

戦闘に入っても考えがまとまらない。

そのため反撃はせずに彼の攻撃をひたすら避け続ける。

今度は複数の手裏剣が迫ってきていた。

かわさず、腰にある刀を抜き一閃。

剣圧ですべて叩き落した。

(仇である俺を・・・あいつ(神楽)を助けるためだけに倒すだと・・・・)

わずかな間、顔を下げた瞬間

「反撃せぇへんのかヤイバ!?」

背後に周っていた不知火が、回し蹴りを放っていた。

眼前に迫るそれを、しゃがむことによってかわす。

その状態で地面を蹴り再び彼との距離をあける。

(一体一日で何があったんだ・・・・昨日とは別人のようだぜ……)

そこまで考え

「まぁ、この際それは置いておこう」

姿勢を正しく、その場に留まった。

そして手に持つ刀を横に振るう。

「不知火、おまえは俺を殺さずに倒すつもりのようだが」

「・・・・・・」

ヤイバの言葉に不知火は止まり、彼を見つめている。

周りの炎は渦巻いたままだ。

「俺は自分の仕事のため、おまえとその仲間を殺させてもらう」

「・・・・・残念やけど」

不知火が間をおかず返してきたので、黙って彼の言葉を待つ。

「させへんよ、おまえにはもう、誰も殺させへん」

彼がそう言った時、ヤイバは全身に何かを感じた。

恐怖ともわからないそれは、彼から伝わってきていることだけはわかる。

まるで彼が

「お互い決着(けり)つけよか、ヤイバ」

炎の龍に見えた。
















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