小説喫茶・メル

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木々が揺れる、葉が舞い散る。

静かに風が、突き進む。





「はあっ!!」

目の前に迫る無数の手裏剣を、刀の剣圧ですべて叩き落とす。

その間不知火は持ち前の脚力を生かし接近する。

クナイをヤイバ目掛けて振り下ろした。

ガキーンと刀とぶつかり合い、激しい火花と、紫の小さな液体が飛び散る。

ヤイバの刀に染み付いている毒である。

「この俺の毒を前にして、こうも接近戦で挑んでくるとはな」

以前マルシアに同じ毒で重傷を負わせたため、てっきり遠距離攻撃ばかりしてくると思っていた。

だが彼は遠距離を織り交ぜつつも、今のように間合いを詰めてくる。

「近距離やないと致命傷を与えられんのはお互い同じや、そやったら逃げる必要なんてあらへんやろ?」

そう言った瞬間、周りの炎が激しく渦巻き始めヤイバを襲う。

「ちぃ……」

すぐに飛び退き距離をあけた。

炎はそのまま追跡してくる。

「厄介な炎だ」

今度はその場で一回転し、今まで以上の速さで刀を振るった。

それにより炎は勢いを無くし消え去る。

「すっかり不知火のペースか、このままじゃ面倒だな・・・・」

ヤイバは刀を鞘にしまい、ゆっくりと静止。

(・・・空気が変わった……)

周りのピリピリを感じつつ、攻める。

クナイを両手に持ち接近した。

次の瞬間

心頭滅却

「!?」

危険を察知した不知火は一瞬で止まったが

「ぐっ……」

ヤイバの刀を左腕にくらってしまった。

血が噴出し、毒が彼の体内へ浸透する。

「勝負あったな」

そう言い放ち、刀を再びしまう。

先程一瞬見せた気配はなくなっていた。

だが不知火は

「左やったら、まだなんとかなるわ」

何を思ったのか、自分の服を破り、それで傷口を塞いだ。

そして右手にクナイを握り直し、前に掲げた。

毒が回っている左手は、右手首に添えるように置く。

「おいおい・・・まだやる気なのか?」

「当たり前や、おまえを倒さな神楽を取り戻されへんのやろ」

不知火から闘気が薄れない。

それどころか攻撃を受けたせいで集中力がより増している。

「毒のせいで長期戦は無理そうやから、次で決めさせてもらうわ」

彼の周りの炎が、すべて右手に注がれていく。

クナイは赤く輝き、不知火の長い髪も逆立っている。

重心を前にしその状態で口を開く。

「避けれるもんなら避けてみぃ」

「何?」

「奥義」

刹那、今度はヤイバが驚かされた。

不知火が突然目の前より消え

「【 龍火一閃】」

自分の背後に現れた。

そして気付く、腹部が切られ、そこより炎が発火したことに。

「なん・・・だと・・・・」

見切れなかった、彼の言った通り避けることが出来なかった。

「おまえの毒と同じように、俺の炎も相手にじわじわとダメージを与えるもんでな、ホンマ・・・妙な相性やで・・・・」

「へっ・・・これでお相子ってか……?」

そう思い言い放ったが

「・・・くっ・・・・」

不知火がバタりと倒れた。

力が入らないのか、起き上がることが出来ないようだ。

荒い息を立て、手が震えている。

「・・・ったく馬鹿が・・・毒が回った状態でこんな大技使うからそうなるんだ・・・・」

刀を抜き、彼の頭に向ける。

その表情はどこか悲しそうでもあった。

「終わりだな、不知火」

(・・・・・・力が・・・・)

意識がもうろうとしているので、刀が突きつけられていることにもあやふやである。

諦めたくない、まだ戦える、そう思っていても体は動かない。

(結局俺は最後まで・・・かっこ悪いまんま・・・やねんな……)





木々が揺れる、葉が舞い散る。

静かに風が、突き進む






「・・・・・・ぬ・・・い・・・」

声が、聞こえる。

「不知火ーーーーー!!!!」

「!?」

ヤイバと不知火、両方の耳に入った声。

幼く、しかしはっきりとした明るい声。

彼等の目の前には

「かぐ・・・ら・・・・?」

たくさんの動物達と、一人の少女の姿があった。
















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