小説喫茶・メル

小説喫茶・メル




熊、虎、猫、犬、兎、鷹、猿など。

すべての動物がいそうな雰囲気だった。

皆円となり、少女を守るように佇んでいる。

「目が覚めたのか、それに鎖を自力で・・・いや、そいつらのおかげか」

一瞬彼女の力と思ったヤイバだが、動物達の姿を確認して訂正した。

予想外の出来事に困惑する。

不知火の方は

「かっ・・・神楽・・・・」

薄れる意識の中、必死に彼女の姿を見つめていた。

荒い息をたて気絶しないように踏ん張る。

「神楽・・・・・・俺・・・は・・・・」

「謝ったらぶん殴るで」

図星、言おうとしたことに突っ込まれたので思わず黙った。

と言うより黙らされた。

「不知火の裏切りには理由があった、ほんで不知火はちゃんと戻ってきた、で、うちを助けに来てくれた」

一旦呼吸し、彼の方を振り向く。

「それだけで、うちは十分嬉しいんよ」

神楽の久しぶりに見る笑顔、不知火はそれにより少し気が緩む。

それと同時に心の底より嬉しさも溢れ出た。

自分は彼女を傷つけた、彼女を泣かしてしまった。

自分を責めていたが、彼女の笑顔でそれらはすべて吹き飛ぶ。

「神楽」

「ん?」

「おおきに……」

わずか数秒、それだけで十分に伝わる気持ち。

お互いに、微笑む。

「さてと・・・・」

ゆっくりとヤイバの方を向く神楽。

その表情は真剣で少し強張っている。

「不知火をこんなにしたんやから、覚悟は出来てるやんな?」

「・・・不知火の炎を頼るならやめておけ、それでもおまえじゃ俺には勝てない」

ヤイバは不知火の奥義による攻撃で腹部に火傷を負っている、その為彼の毒程ではないが、治療しない限りじわじわとダメージを受けていく。

だが彼は勝つ自信があった。

それは彼女の実力を知っているからなのか。

そんな彼に向かって神楽は

「・・・はっ!」

鼻で笑った。

当然それにヤイバは疑問を持つ。

「そやな~、自分カオスの方翼やもんな~、そら自信満々なんはわかるわ」

呆れているのか、顔を下げている。

周りの動物達は動かずただ険しい顔つきでヤイバを見つめていた。

「そやけど・・・・」

神楽の顔がゆっくりと上がると

「あんまりうちを、なめんほうがえぇで?」

動物達が一斉に彼へと襲いかかった。

「!?」

10頭近くの獣の猛襲。

速さ的に一番初めに彼へと到達したのは虎と兎だった。

虎は鋭い牙を向け、彼の腕に噛み付こうとする。

「獣ごときが・・・おまえこそ俺をなめるなよ」

ヤイバは毒の刀を横一閃、虎へと放った。

だが

「なに!?」

刀は胴体に直撃したものの、ガキーンと弾かれるような音が鳴っただけで、虎は無傷。

その間同じく突撃してきた兎に

「ぐっ!」

頭突き、頬に剛速球の石のような痛さを感じた。

時間差を置いて犬と猫が迫る。

頭突きで仰け反っているヤイバの両腕を、犬と猫が噛み付いて捕らえた。

「いって・・・くそが・・・・」

振り解こうと力を込めるが

「くっ・・・なんだこの力は・・・・?」

動物達の力が予想以上に強い。

まるで大男を相手にしているような。

そんな考えをしている間に、鷹が猛スピードで彼の頭上に迫る。

そして二本の足でヤイバのデコを押した。

「なに・・・・?」

両腕を犬・猫に掴まれ、足を虎に押さえられているヤイバは、ゆっくりと地面に倒れていく。

「そうか・・・・・・おまえの仕業か!?」

動物達の力の源、それを理解したので、力を振り絞る。

右手に握っている刀を、神楽目掛けて投げた。

刀は真っ直ぐと彼女を目指す。

「神楽!?」

なんとか叫び、危機を伝えるが、彼女はその場から動かない。

刀は

「気付くの遅いで自分」

神楽の側にいた熊に、がっちりと掴まれていた。

その手は僅かな光に包まれており、熊の手からは血は出ていない。

「しっかし、やっぱこの力に名前欲しいな~」

そう言いつつ、熊の胸を撫でてあげる。

「ちっ・・・・とんでもない女だ……」

ヤイバは動物達に体中を捕まれ、身動き出来ない状態で倒れていた。

そこに神楽はゆっくりと歩いていく。

「ふっふ~ん、どうしたろかな~?」

両手をボキボキと鳴らし、にやけた顔つきでヤイバを見つめる。

そこに

「!?みんな退いて!!」

たくさんの砲撃のようなものが降り注いだ。

それらはすべて爆発し、煙を起こす。

動物達は神楽の指示により瞬時に退いたため、無傷で済んだ。

そして煙が晴れていくと

「ヤイバ様をこれ以上いじめるなら・・・・」

「俺達を!」

「倒すんだね」

ツルギ、サヤ、ジュン、全員が傷だらけの状態でヤイバを守っていた。
















© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: