小説喫茶・メル

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「あんたらは、ヤイバのとこの……」

ヤイバ、神楽、お互い突然現れた3人に驚いた。

外傷はあまり見られないが、苦しそうに胸を押さえているツルギ。

体中が切り刻まれ、服もボロボロのサヤ。

同じくボロボロだが、平然とした様子を保っているジュン。

「やっぱりここだったか」

「むっ?神楽、無事だったか」

スイ、ヘスティアが合流。

ヘスティアの方は無傷だが、スイは服が焦げている。

ただ彼自身疲れているようには見えなかった。

「黒・・・やなくてヘスティアー!久しぶりやな~!!」

突然彼女に本当の名を呼ばれたので、少し戸惑う。

「それからあんたは~、ミハエルのお兄さんのスイはんやな?」

「・・・なんで俺のことを?」

疑問に思うが、今はそんなことよりと、視線をヤイバ達へと向ける。

それに続くように彼女等も向き直した。

ヤイバの前に立ふさがっている3人は

「きっ・・・きやがれですぅ!」

「今度はさっきのようにいかねぇぞ!!」

「・・・・・・」

各々闘気を剥き出しにし、神楽達を睨み付けていた。

だがそんな彼女等を止めるように

「やめろおまえら」

肩膝をつきながら口を開いた。

不知火の炎が効いてきたのか、腹部を押さえている。

「ここに奴等も戻ってきたと言う事は・・・おまえらは奴等に負けたんだろ・・・・」

彼の言葉に、3人は詰まる。

真実なので返そうに返せなかった。

ツルギに至っては唇を噛み締めている。

「おまえ等じゃあいつ等には敵わない・・・良いから下がれ」

今度もまた黙るかと思っていたヤイバだったが

「嫌ですぅ!!」

ツルギのその言葉に驚かされた。

「例え敵わなくとも、僕達はヤイバ様を守ります」

ジュンの発言に言葉を逆に詰まらされ

「それに、ここで任務を果たせないならどっちにしろ僕達は殺されるだけですから」

「!?」

唖然、一瞬思考が停止した。

「おまえ・・・どうしてそれを・・・・?」

「・・・すみません、独断で調べさせてもらいました・・・・」

そこまで言い、彼は神楽達へと視線を移す。

ツルギとサヤは黙ったままで彼女等を見つめている。

「どうせならあなた方にもお教えしましょう、僕達が何故、ヤイバ様をこれほど慕っているのかを」

それを聞いた神楽は皆の方を見渡す。

一同コクっと頷く。

そしてジュンへと再び向き直った。

「僕達は4年前、バトルカンパニーでヤイバ様の部下として働くことになりました」

「4年前って・・・お前等かなり幼いんじゃ?」

今でも子供な彼等なので、当然スイは疑問に思った。

しかしそれをジュンはあっさりと返す。

「僕達兄弟には両親がいません、その為子供でも働けるカンパニーに頼るしかありませんでした、不知火さんと同じようなものです」

彼の言葉に表情を少し揺らす不知火。

だが何も返さない。

それを確認したのか、話しは進む。

「ヤイバ様と、そしてヤイバ様にとって大切な人は、何の特技もなかった僕達に優しくしてくれました」

ヤイバは何も言わず、ただ黙って聞いている。

「僕達にとって二人は本当の両親のように、暖かかった」

不知火にもルシアンという母親代わりがいる、そのせいか共感のようなものを一瞬感じた。

「しかしある日、カオスは言いました」





『ガイアが見つかるまでのエネルギーが必要だ、だから君達を使おうと思う」





「衝撃、ただそれだけが僕達を包みました」

「私達はこの世界の生まれだから、ある程度のエネルギーはあったみたいなのです」

「カオスは・・・俺達を【物】としか見てないんだ!」

ここにきてようやくツルギとサヤも話しに混じった。

それでもジュンを主体に話は進む。

「ヤイバ様はそれを反対してくれました、でも、それが原因で……」

平常心だった彼だが、少し声のトーンが落ちた。

「ヤイバ様の・・・大切な人が使われてしまった・・・・」

その言葉に、全員の表情が強張る。

スイはなんとなく予想していたようだが、それでも心が揺れた。

元々彼等(特にツルギ)を悪くは思っていなかったので尚更だ。

「僕達のせいで、ヤイバ様は大切な人を失った・・・それでもヤイバ様は、僕達を攻めずに今まで通りに接してくれた」

複雑な気持ちの彼を気にかけつつ、ジュンは続ける。

「ただそれ以来、ヤイバ様はカオスにある契約をさせられた」

ここから先は自分しか知らないはずの内容を、彼は話す。

「それは、 任務に失敗したら僕達3人を殺すと言う事

また重い発言、だが全員態度を変えず聞いている。

話している彼が、一番辛いとわかっているからだ。

「だから僕達が戦う理由は、自分達の命を守るためもある、でも」

「私達が殺されることで・・・ヤイバ様にこれ以上迷惑を、苦しい想いをして欲しくないのです……」

ツルギは泣きそうな声。

涙ぐんでいる。

「僕達はヤイバ様の【剣】【鞘】【盾】、どんなことがあろうとも、この命尽きるまで戦い続ける」

「それが俺達の・・・・」

「今を生きる、 存在する理由なのです」

3人の意思の強い言葉。

こんな幼い子供達が、一人の男のために命を賭け戦っている。

それが神楽達には衝撃だった。

言葉を失い、ただ立ち尽くす。

「だから・・・掛かってきやがれです・・・ッ!!」

勢い良く叫んだものの、突然の痛みにその場に蹲る。

「バカ野郎!おまえやっぱり動ける体じゃねぇだろ!?無理しないで下がってろ!!」

それを心配したのか、サヤが彼女を支えながら言い放った。

「そういうサヤこそ、かなり重傷に見えるよ、ここは一番軽傷な僕に任せておいて」

「うっ・・・うるさいですぅ!これぐらいの痛み、ヤイバ様が受けた苦しみに比べたら!!」

「そうだ!おまえだって相当無理してるんだろ!?」

3人は痛みをこらえながらか、激しく言い合う。

それを見ていたヤイバは

「・・・もういい・・・・」

静かにそう言い、彼等に寄り添った。

火傷を耐えつつ、幼い3人を

「もういいから・・・・・・これ以上戦うな……」

そっと抱いてあげた。

3人は小さいので彼の両腕に納まりきる。

その光景に神楽達は驚きつつ、ただ呆然と見つめる。

しかし不知火は

「スイはん・・・肩貸してくれへんか?」

険しい顔つきで、スイの肩を借りゆっくりと起き上がった。

彼に助けられながら足をヤイバ達へと進める。

「不知火・・・・・・俺を殺したいなら殺せ、俺はおまえの仇だからな」

諦めなのか、3人を抱きながらそう言った。

その発言に当然3人は驚き、声を発する。

「だが、こいつ等にはこれ以上手を出すな・・・・もし出すようなら、俺は死に物狂いでおまえ達を殺す・・・・」

ツルギ達を含めた全員が黙った。

しかし不知火はすぐに口を開く。

「最初に言うやろヤイバ、俺はおまえを殺すためにここに来たんやない」

神楽を助けるため、逆に助けられた感もあったが気にせず続ける。

「それになぁ・・・おまえに生きていて欲しい子らがおるのに・・・・・・簡単に命差し出すなや……」

今度はヤイバが黙らされた。

何と返せば良いか分からないからである。

「・・・・・・はよ怪我治療して・・・どっかに隠れとけ・・・・」

「何?」

「カオスは、俺等が絶対に止めたる」

驚き、信じられない言葉だったが、何故か4人にはそれが救いの言葉に聞こえた。

不知火達なら、本当に出来るのではないのかと。

そんな疑問を感じつつ、返す言葉も出ないまま

「その子等・・・大切にしぃや……」

不知火達は、彼等の元より去った。

全員振り返ることなく、ただ真っ直ぐと消えていく。

残された4人。

ヤイバは緊張の糸が切れたのか、ポケットより煙草を一本取り出した。

火をつけて吸うその一本は、普段より良く感じた。
















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