古本屋で100円読書

古本屋で100円読書

ノンフィクション系 No.2 



うろ覚えの読書記録です。少しずつ書棚を見ながらアップして行きます。
るりのホンネで読書
書籍名    著者名    出版社  感想
51. バレリーナの情熱 森下洋子 角川文庫 一芸を極めた人の話。軽く読めます。
52. 日本の父へ グスタフ・フォス 新潮文庫 栄光学園の園長だった故フォスさんの日本の父へのアドバイス。いい家庭に育った方のようです。
53. グスタフ・マーラ アルマ・マーラー 中央文庫  マーラー(作曲家。復活など作曲してます)の奥さんが書いたマーラーの伝記本。こんなに忍耐強い妻はいないと感心するも、そこはそれ、自伝の弱さで、自分の視点から物事を見ているからかも知れません。
54. 流転の王妃の昭和史 嵯峨浩 新潮文庫 溥儀の弟溥傑の妻、愛新覚羅浩の自叙伝。内容は濃くなかった気がします。
55. 人生論ノート 三木清 新潮文庫 なんかわたしの考える人生論ではなかった気がします。
56. 素顔の西太后 裕徳齢(ゆうとくりん) 東方書店  これは昔、西太后に仕えた私と言うタイトルだった気がします。あきれた人だというのは聞いていましたが、彼女のことを徳齢は好意的に書いていました。それなりに楽しめました。
57. 我が名はエリザベス-満州国皇帝の妻の生涯 入江曜子 筑摩書房  書物として情報をいろいろ書き込んであるものの、何故か薄いと感じさせる本です。作者が満州国皇帝の妻の何を書きたかったのか絞っていったほうが良かったかも。漫然と書かれたイメージがあります。
58. テムズとともに 徳仁親王 学習院学術文庫  皇太子殿下の留学中の生活をつづったものです。だんだん週末にどこに行ったらいいか分からなくなるほど招待状が来るようになったというのはさすがと言うのでしょうか。社交上手なのか、それともやはり日本の皇太子の立場に惹かれたのか。。。
59. 巣鴨プリズン13号鉄扉 上坂冬子 新潮文庫  う~ん、あまり、B級戦犯に対する資料は残っていないのでないでしょうか。そのせいか、も一つ掘り下げ不足のような気がしました。
60. こころの処方箋 河合隼雄 新潮文庫  軽く書かれていますが、この人の頭脳の明晰さがここかしこに現れている本です。読み物として軽く楽しめます。
61. 料理人の休日 辻静雄 新潮文庫 食に対する真摯な態度と,それを文化として極めたいという気持ちを感じます。辻氏が単なる一料理人の範疇に納まる人ではなく、文化人といっても良いほどの教養の持ち主であることが分かります。純粋に面白いです。
62. ダライ・ラマ自伝 ダライ・ラマ 新潮文庫 正直、ダライ・ラマって聖職者と言うより、世俗の政治家と言うイメージが強かったんですが、そういう面と、宗教的な両面を持っている方のようです。この本はなかなか良い本だと思います。お勧めできる作品です。
63. 小さな貝殻 マリア・ブラッキン 新潮文庫  森瑶子さんの次女が書いた母の追憶の本です。文章力表現力ともに並ではないですが、果たして彼女にこれから先書くテーマがあるかどうかが課題ですね。なかなか良い作品です。
64. 人生の短さについて セネカ 岩波文庫 あー。これ、挫折したかもしれないですね。挫折本に入れなくちゃいけなかったような気が。……。しまったー。
65. 一外交官の見た明治維新上下 アーネスト・サトウ 岩波文庫 まあ、歴史物を書くとか、当時の様子を知りたいというのなら一級の資料となるでしょう。日本料理があまりおいしくなかったなんて本当かしら? じゃ、いつ日本料理は発展したのでしょうか?
66. ヨーロッパ文化と日本文化 ルイス・フロイス 4列3行  これはいけませんわー。箇条書きでちぃーとも面白くありませんがなー。
67. サイゴンのいちばん長い日 近藤紘一 文春文庫  絶版と思います。ほのぼのとしてハートフルなエッセイです。ベトナム式猛烈母ちゃんですが、愛情豊かな人と結婚されたようですね。
68. サイゴンから来た妻と娘 近藤紘一  4列3行 これも多分絶版だと思います。サイゴン陥落後、日本に来た奥さんと娘さん。なれない日本語や、教科の進みぐあいに大きな差があったことから娘さんはフランス系インターナショナルスクール入学。で、てんやわんやの大騒ぎ。ベトナムとか、失礼ですが後進国と呼ばれる人たちのほうが温かい人間関係に恵まれている気がするのはなぜでしょう?
69. Dr.ヘリオットのおかしな体験 J・ヘリオット 集英社文庫  読んでいると心が温かくて愉快になる素敵なエッセイ本です。この方の本は好きです。
70. ドクター・ヘリオットの愛犬物語td> J・ヘリオット 集英社 5列3行
71. 宋姉妹 伊藤真 伊藤純 角川文庫  も一つ。
72. スカートの風 呉善花 角川文庫  この本は大変面白い本です。ただし、冬ソナでは見えない韓国の素顔は大変保守的で、女性が生きて行くのは大変そうです。目からうろこ本です。
73. 恋のすれちがい 呉善花 角川文庫 これは男女関係の相違を主にした日韓比較文化論です。読みやすいですが、スカートの風ほど濃くないですね。
74. ロシア最後の大公女マーリヤ マーリヤ大公女 中央公庫  大興奮の自伝本です。とにかく面白いです。文章も上手いし、絶対にお勧め。
75. アナスタシア  ジェイムズ・B・ラヴェル 角川文庫 私、この関係本は何冊も読んでたので知ってることが90%。なので面白く感じませんでした。最初に読んだのなら面白かったでしょう。ロシア最後の皇帝ニコライの娘アナスタシア。果たして彼女は本物なのか。私は彼女が本物の皇女だと信じています。
76. 私はイヴ クリス・C・サイズモア ハヤカワ文庫  正直、自分に多重人格の障害があるなら本書は興味深いと思います。
77. セネガルのお雇い日本人 本城靖久 中央公庫 5列3行
78. 料理歳時記 辰巳浜子 中央公庫 5列3行
79. チベットの死者の書 *** ちくま学芸文庫 まー聖書を読んだものにとってはちょっと薄いかな。。。
80. いじめという生き地獄 ジョディー・ブランコ ヴィレッジブックス 5列3行
81. 『歴史(上・中・下)』 ヘロドトス 岩波文庫 まるで物語のような、話でこれが歴史? という感じもした。 
82. パパラギ ツイアビ 立風書房 言われているほど名著とは思えませんでした。私が理論で武装したノンフィクションに慣れすぎていたので単純明快な語りに物足りなさを感じたのかもしれません。著者は多分に感覚的で、教育を受けたとも思えないのに、自然な知性が身についています。
83.  デイ・アフター・トゥモロー アート・ベル、ホイットリー・ストリーバー  メディアファクトリー   これは近未来シュミレーションです。 このまま地球の温暖化が進めばどういうことになるのか。 本書によると、北極と南極の氷棚が解ける → 海水の塩分濃度が下がる → 水温の上昇 → 赤道と極地の海水面の温度差が少なくなることから、海流が変化する → 同時に、極地での海水に温められた空気が上昇気流となり、大気圏の上部極冷の寒気が一気に下降 → 温暖化ゆえの氷河期突入らしいです。 でも、ここでは言えませんが、ちょっといっていることに矛盾があったような気がします。 一例を挙げると、”二酸化炭素が温暖化を引き起こす訳ではない。 かつての時代のほうが、二酸化炭素の濃度はずっと高かった」とか言ってなかったっけ? そのあとで、原因の一つに、二酸化炭素を上げて論旨を進めていたような…。 ちょっと読み返す気にはなりませんけど。(うろ覚え) 本書の言っていることが正しいのか否か、私には分かりませんが、説得力はかなりあります。 でも、故意に赤道付近での氷河期の状態に言及していなかったような。。。 氷河期になっても困るのは高緯度のヨーロッパあたりで、サハラ砂漠とかは温順な気候に変わるという人もいたけどなぁー。 そこら辺はどうなんでしょう?  まあ、東京は悲惨な目に合うそうですし、ちっともそうなって欲しくはありませんけどね。 人が死んでいいことなんて何もありませんもの。 文章が生き生きしていて、けっこう面白い本です。 Aug 26, 2004
84. イヴァン雷帝 アンリ・トロワイヤ 4列3行 最低の鬼畜の伝記。読むとおぞましい気持ちになる。正直読んだ後後悔した。読まないほうが自分の心が穢れない気がする。読むのはぜひ、避けましょう。
85. 狂王ルートヴィヒ ジャン・デ・カール 4列3行 選ばれた血筋を維持するため同族結婚を繰り返すと精神や肉体に異常を来たした人物が高率で生まれると聞く。彼のいとこのエリザベートもそうだったらしい。まあ、家柄がどうのというのは不便なものです。歴史に興味がある人向き。
86. ヘリオット先生の動物家族 J・ヘリオット ちくま文庫 5列3行
87. ヘリオット先生奮戦記(上)(下) J・ヘリオット ハヤカワ文庫 5列3行
88. 死体は語る・ 上野正彦 4列3行 5列3行
89. ゲルマーニア  タキトゥス 4列3行 5列3行
90. 娘と私の時間 佐藤愛子 4列3行 5列3行
91. ローラ叫んでごらん リチャード ダンブロジオ 講談社プラスアルファ文庫  フライパンで焼かれた女の子の話しです。 彼女が人間性を取り戻し、一人の人間として巣立っていくまでを描いています。 まあ、ごく普通に読める本です。 母親から古靴を与えられて彼女が切れる場面は、ローラにしか分からない、母親の愛情のなさを感じたシーンでしょう。でも、何故かローラの心情があまり見えてこない作品だった気がします。 
92. 侍と絹 ハル・ライシャワー 4列3行  明治の元勲である松方正義の孫娘、また、駐日米大使エドウィン・ライシャワーの2度目の妻だったハルの親族とその歴史について書かれた本。 ごく普通の本です。 そんなに感銘は受けなかった気がします。 
93. 皇妃エリザベートの真実 G・プラシュル=ビッヒラー 集英社文庫  エリザベートは、それなりに不幸な人だったのでしょうが、彼女の不幸はしょせん超お嬢様の甘やかされた不幸です。 なので、こちらも深刻になることなく読めてしまいます。 同情しないでゴメンナサイね、エリザベートさん。でも、やっぱりあなたは恵まれていたと思いますよ。 この人の身分とお金に不足しないゆえの破天荒さは痛快です。 Sep.11.2004
94. シーラという子 トリイ・へイデン ハヤカワ文庫 HB  献身的な教師が、虐待を受けて心を閉ざし、問題行動を繰り返す子と、心の交流を通じて心を開かせ成長させてゆくノンフィクションです。 こんな献身的な先生がいるのか!?とびっくり仰天しました。 彼女を通して、シーラが天才であったことが明らかになりますが、この本を読んだとき、シーラは己が天才によって人生を切り開いていくのだ、と喜んだものです。 ヘイデンは本書に書かれている以上のことをしたと思います。 そして、全てがこう上手く行くわけではないと肝に銘じるべきでもあります。 ごく普通に読めた本です。   
95. タイガーと呼ばれた子 トリイ・ヘイデン 早川書房  シーラの物語の続編です。 ヘイデンは、前作を通して、理想の人物と思われるのに道義的な苦痛を感じたらしく、せっせと自分の悪いところを書いています。 こういうとき、この場面で嫉妬した、とか、話の流れに関係ないのに書いてみたり。 この恋人のプロポーズに答えていれば、この豪邸は私のものだったのにと思ったとか必死になって自分には悪いところがありますから!と宣言しています。 きっと正直な人なのでしょう。 さて、ヘイデンはシーラと7年ぶりにあいますが、シーラは荒れていて、彼女はそのことで衝撃を受けます。 おそらくシーラにとって、ヘイデンが去ったことは卒業ではなく、捨てられたと感じたのでしょう。 最後にシーラは天才として生きるより、高校を卒業して働くことを選びます。 そのことをヘイデン同様、私も残念に思いました。 でも、シーラには考えがあったのでしょう。 彼女の人生が幸福であることを祈りたくなります。 作品としては前作シーラという子より、薄い感じです。 
96. 死体は生きている 上野正彦 4列3行  前作とダブっていることもあったような。 軽い感じ。 専門的な知識がない人にわかるように書いています。
97. 粋な関係 青木雨彦 集英社文庫  この人は、いい意味でも悪い意味でも世慣れた人です。 でも、私は不器用なくらい、朴訥な人のほうが好きです。
 「こういう時は、こうすればいいんだー」と方法論を言うより「こういう自分でありたい」と、自分のあるべき姿で行動するほうが好き。 結果として、双方の行動が同じであったとしても、心の向きと見ているものが絶対に違う。
 この方はおそらく、自分がこうと思ったら、それを曲げない人でしょう。 でも、それは信念や理想というより、思い込みに近いかも。
 だいたい「女の敵は女だなんて、そんなことを言ってたら、男につけこまれるだけだ」と心配してくださっているようだが、ちょっと待て! その言葉を言い出したのは女ではないぞ! 
 私の経験で行くと、その言葉は男が言い出したものだ。 以前は、男社会のひずみを、もっと女性にしわよせすることで解決していた。 当時は、そのことへのイラだちを、女たちは支配階級の男性に向けることができず、同じ階級の者にしか向けられなかった。 また、そうするように仕向けられていた。 そして、男たちは「女の敵は女だなー」と言って揶揄し、うそぶき対立をあおっていたのだ。
 少なくとも、まだ子供だった私の目にはそう映った。だから、私は絶対にそんな言葉には乗らないと決めていた。
 そして現在、曲がりなりにも女性の解放と自覚が芽生えた今、私はそんな言葉を聞いたことがないぞ? 少なくとも女同士で言い合ったことがない。 もちろん、高校生くらいのときは、そういうことを言う子もいた。 でも、私はいつも、そんな言葉に乗ったらダメだと注意していたぞ?
「今まで、男の子があなたの味方だった? 意地悪されたとき、慰めてくれたのは誰? 男? 女? 本当に女は今まで敵だった? ずっとあなたに意地悪したのは女で、優しくしたのは男だった?」
 即、彼女たちはその言葉が誤りだと認めたぞ。。。。
 現代のように、あまりにも変化が急激な時代にあっては、20年前の考え方に隔世の感があるのは否めない。 それでも時を経て生き残れる作品、エッセイというのは、おそらく作者の人間への真摯な態度と、人間の本質への深い愛情と洞察力がなければかなわないことだろう。2004.sep.27  
98. トリエステの坂道 須賀敦子  なんて瑞々しいのでしょう。
 彼女の文章は、いわゆる枠組みをきっちり描き、その後、キャンバスに乗せた絵の具をぼかしていく手法だとか。 それは、近代ヨーロッパの、言語の組み立て方だそうです。(解説に書いてありました)もちろん受け売りです。 私みたいなアンチ・インテリにそんなこと分かりまへんがなー。w 
 じゃー私が好きだと思ってたのは、そういう書き方だったのかなー? 
 須賀敦子さんの世界にすっかり魅了されてしまいました。 深い教養と、人生経験。 人間に対する暖かな眼差しと、観察力、洞察力。酸いも甘いも分かった上での、含蓄ある言葉。生まれ持った言葉のセンス。
 「深く感動したか?」といわれたら、「ノー」だけど(鬱に感動ってあるのか!?)全身に水がいきわたるような、しなびた枝に水が行き渡って葉もぴんと張っていくような感覚を味わいました。 Sep 29, 2004
99. 永遠平和のために  カント 岩波文庫  これ、2ヶ月もかかってますねー。 
 読み始めたのは確か7月でした。 わずか100ページ余の薄い本なのに、66ページでストップしていたんです。 多分理解できたのは半分くらいですな。   
まー。よーするに、政治は共和制が理想だ 。法と道徳は矛盾しない。 法を万人に認めさせるのは、専制君主などの権力が必要だけど、いったんそれが国家となり、法が万人に認められるものになると、法律そのものが権力として機能すべき最高のものになる。 みたいなことを、一見平易な言葉をこねくり回して、結局は難しくなるような言葉で言ってたんですな。
 それ以上はアンチ・インテリには分かりませんがなー。w 
 でも、正確を期するように書こうとすると、逆に、こういう、分かる人にしか分からない書き方になるようです。 Oct 9, 2004 
100 ガンジー自伝 マハトマ・ガンジー 中央公庫
奇跡のような生涯です。 彼の生き方すべてが私の考えにあっているわけではないし、宗教的熱狂ゆえの行きすぎもあります。  
でも、心の向き、ひたむきさ、誠実さに心が洗われます。  
ただし、これは作品としては楽しめません。 ガンジーは明らかに同時代人に向けて話しているので、その時代の背景が分からない現代人には意味不明な記述が多すぎます。 彼は自伝を、ともに人生の光明を分け合ったものに向けて書いているようです。  Oct 26, 2004 
101 うちの犬はおりこうさん ジョエル・ドゥハッス 中央文庫  犬のしつけ本です。これを読んだといえるのかな? 
 まあ、気になる項目をぱらぱらと拾い読みし、また、最初に戻って拾い読みし。 気まぐれそのもの。 この手のハウツー本はそういう人が多いでしょうけど。
 良心的、かつ思いやりあふれる行動分析学によるしつけ 本。 へぇ~。 そうなんだぁー。
 これを読むと、なにも知らない未経験者が、よく犬を飼ってたな~って感じですー。(=自分) だけど、ピーちゃんは何も知らない飼い主にもかかわらず、素直に育ちましたってことで。
 とりあえず、2歳の子供のように扱うことだけはしてきましたねー。 体罰もほとんどしなかったし、愛情はかけたつもり。 将来、この子が人生を終えたとき、幸せだったと思ってもらえるようにだけ心がけましただー。
 全くの初心者でも、愛情をかければ、とりあえず穏やか犬にはなりますねー。 やはり、人間が赤ちゃんの頃から愛情を持って接すれば、猛獣も攻撃性がなくなり、穏やかになるのは、アメリカの”檻のない動物園”の実践で知っていましたので。。。。
 こういうことを考えると、人間が万物の霊長だということがよく分かります。 私たちが動物を従えるのは、愛情によってのみですね。こ の方法で動物を治めて従わせるのですね。 Nov.7.2004
101 猫物語 ジェイムズ・ヘリオット 集英社文庫  この人の著作は本当に温かい。 世界中でベストセラーになるだけあって、ユーモアと愛情にあふれています。 読んでいると、いつのまにか微笑が浮かんで幸せな気分になります。 まるで人生にいやなことなどないみたいな気持ち。。。。
 きっとこの人のそばにいたら、安心できるだろうな~。 楽しいだろうな~。 写真を見ると、彼の人格が本物だと分かります。 目が優しい。 雰囲気が素晴らしい。
 ちなみに、この方は、生涯清貧を貫いた人らしいです。
 何よりも猫好き。 どんなに猫にそっぽを向かれても、愛情を注がずにいられないヘリオット先生に、猫好きさんはむちゃくちゃ感動するでしょう。w
 でも、この作品。 全部読んだものを編纂しただけだったー。 かなしー。 Nov 8, 2004
102 悪魔の飽食 森村誠一 4列3行   第2次世界大戦中、731、石井部隊が犯した犯罪の数々。 戦後それらの犯罪が一切問われなかったのは、アメリカの製薬会社が、恐るべき人体実験のデータをもらう代わりに免責したからです。 
 その恐るべき人体実験のデータは、アメリカの製薬会社に恐るべき進歩と富をもたらしたとか。。。 本当だとしたら、犯された犯罪に対して、心からの遺憾の意を表するとともに、犠牲者の尊い犠牲に心からのお詫びと、冥福とを申し上げます。 
  しかし、あなた方の苦しみは、世界同胞の幾多の苦しみを救ったと知って、心を安んじてください。 少なくとも、私が犠牲者なら、そうします。
  自分の苦しみをもたらした人間を断罪し罪ありとしますが、それでも私の犠牲と苦しみが、人を救うデータとして用いられたことに、わずかな救いを見出します。 
  でも、間違わないでください。 犯罪が犯罪として断じられなかったことに強い憤りを感じます。 戦勝国も含めて、全ての戦争犯罪は裁かれるべきです。 そして、不幸を経験して得られた利益は、全て贖罪のために、人類の公益のために用いるべきです。 
103 アフリカ ポレポレ 3列3行 4列3行  ポレポレって、ゆっくりと言う意味なのだとか。 
  著者は、日本から最低限のものしか持って行かなかった。 けれど、もてるものの国から来たら、それこそが持っている証拠なのだとか。。。 
  クレヨンで絵を描いていたら、そのクレヨンを物欲しげにじぃぃーと見つめられてしまった。。。 あちらでは草原の中に入って行くものはいないらしい。 のみの巨大虫にかまれてしまうらしいです。
  日本から持ってきた薬などまるで効かない。 アフリカでは、日本人が持つ自然への憧憬が、いかにお伽話であることか分かります。 
104 喪失の国、日本 M・K・シャルマ   文春文庫 悠久の地。インドから来た、エリートビジネスマンによる、日本体験記です。
 面白いです。発売当時、話題になっただけのことはあります。
 その理由は。。。
 まず、私が下手な小説より、ノンフィクションの方が好きであることと、著者が非常にインテリで、バランスの取れた社会性ある人物だったことがあげられます。
 このような人物が、全く異なる文明の国、日本を見て、故国との考え方や価値観の違いに驚くのは当たりまえです。 でも、彼の深い知性は、両国の違いに驚くだけでは終わりません。
 彼は自身が持つ知性と教養、そして知識で思考を深化させて行くのです。
 彼が、両国の文化や風習について、深く考察していくさまは痛快であり、驚異です。 それに、作中で、少々的外れな見解だなと…こちらが思ったとしても、読み進めて行くうちに、うん、まあ、一理あるかも。。。と思わされてしまいます。
 それくらい彼の考え方にはバランス感覚があふれています。
 思うに、一国の文化は、誰が書いてもその一部しか書くことができないのだと思います。
 これだけ人間がたくさんいるのですから、それぞれの人たち全てを吸収して、彼ら全てを包括する内容を書けるはずがないからです。
 でも、その書かれている一部がいかに大きいか、いかに分母を大きく取れているかで、こういう作品のよしあしが決まるのだと思います。
 これは一番核心に触れる部分を、一部として取り入れることが出来た優れた作品です。
 面白いです。
 私がインド人だったら、日本に来てどう感じたのでしょう? 読後感はさわやかですが、日本の悪いところもちゃんと指摘されています。
 「全ての美徳も行き過ぎれば悪徳に通じる。中庸を保つのが一番だ」 という思いをますます強くした一冊です。 Nov 19, 2004 
105 海からの贈り物 リンドバーグ夫人 新潮文庫  世界初、太平洋横断飛行したリンドバーグの奥さんの書。
 確か、リンドバーグは、太平洋横断の後、英雄としてアメリカでもてはやされ、それをねたんだとされるある人物によって、子供を誘拐され殺害されたはずです。
 この悲劇は、リンドバーグ夫妻に
「私が太平洋を横断さえしなければ、ねたみを受けず、我が子は無事だったに違いない」
という悔恨を残しました。
 しかし、
 事はそれだけに収まらず、この事件に関わった全ての人が疑惑を持たれ、傷つきました。 これに関しては、ずっと以前に読んだ本から得た知識でうろ覚えであることから、詳述は出来ません。
 が、援助を申し出た人たちにも疑惑の目が向けられ、結局事件は迷宮入り。 誰が犯人なのかも分かりませんでした。 その後、身代金はどこかで(倉庫? 屋根裏?)見つかりましたが、手つかずでした。
 リンドバーグがあまりにも有名であったため、みんなが犯人探しに躍起になり、全ての紙幣のナンバーが控えられていたか、それを恐れてだったのか、使うに使われなかったのだと思います。(うろ覚え)
 このとき、リンドバーグ夫妻がどういう人柄であるのか知りませんでしたが、名声よりも子供の命を重んじたという点で、良心的な人だと思いました。
 で、今回、リンドバーグ夫人のエッセイというか、散文、もしくは哲学書を読んで、大変彼女が聡明であるのが分かりました。 また、慈善事業に燃えた人でもあります。 
 しかし、本書にはそのようなことは一切書かれていません。
 内容はこんな感じ……
 現代は科学技術の発達によって、女性は家事労働から大いに解放された。
 それらの開放は、必然的に、女性にたいして、外の世界に向けての遠心的圧力をかけるようになった。
 これらのことは、かつてないことであり、素晴らしいことであるが、狭い世界に閉ざされることによって、昔の世代の女性が自然にえられていた、内的世界への求心力が失われる結果となった。
 しかし、昔に戻るわけには行かない。
 ただ、意図的に、自己の確立のために、自己を深める体験をしなければならなくなっただけなのである。
 自分の姿を見つめること、芸術にふれたり、創造的な仕事(手芸や料理)をすること、一人の時間を作ること、神への祈りなど、私たちは、人に与えるための泉を枯らさないようにしなければならない。
夫婦、家庭については…
 誰かに固執する(=いつも、自分だけを愛して欲しいと望む)のは、不可能を望むことであって、出来ることは、触れ合うその時々に、いつも相手を愛することである。
 一人の時間は、自分と言う木を豊かにするする時間であり、それは相手を豊かにすることにつながる。
 自分が助けたいと思う、全ての人を助けることなど不可能だが、家族家庭を整えることは、川の流れの一滴に相当し、寄り集まって流れる本流となるのである。 これが全ての基本であり、これらが(=一つ一つの家庭)集まって、社会が作られているのである。
 みたいなことを、哲学的に言ってましたなー。
 ほんまか!?
 と思う人は読んでみるべし。
 (注:訳文が古いです。少々の違和感があります) Nov 20, 2004 
106 セブン・イヤーズ・イン・チベット ハインリヒ・ハラー 角川文庫ソフィア  映画の原作本。ノンフィクションです。
 作品は、ドイツ人気質がそうなのか、ここは、はしょってもいいのではないかという部分も細かく描写するので、前半はノンフィクションのもつ迫力で引っぱられる感じではありません。 記録としては良いのでしょうが、読ませるということを考えたら、絞った書き方をしても良かったかもしれません。
 が、それは前半の逃避行の部分への感想であって、後半、特にダライ・ラマと会うあたりから、彼の筆はさえてきて、読了後には彼のチベットへの深い愛情を感じて感動を呼びます。  
 最初は退屈であっても、その先は面白くなるんだと思える人向き。Dec 6, 2004 
107 ユルスナールの靴 須賀敦子 河出文庫   この作品には、しみじみとした文章がつづられています。
 ご存知、須賀敦子最後の作品。
 彼女が愛してやまなかったフランスの作家、マルグリット・ユルスナールの作品を、ユルスナールの旅した軌跡を追いかけながら、彼女の思考を加えていきます。
 正直、これは難物です。
 豊かな知性と教養を、ごく簡単な言葉で紡いで見せた、今までの須賀作品とは明らかに違います。
 特に、私が全く知らない地方の描写。 そこで須賀さんが感じたことが、ユルスナールへの思いとなり、彼女自身の考察となる部分は、難解で退屈です。
 まだ、京都の清水寺の印象から思考が発展していくと言うなら、ついて行けたのでしょうが。
 それでも、彼女はこうとしか書けなかったのだろうと思います。
 彼女の人生が終焉を迎えつつあることを本人は知らずとも、彼女の何かが、自分の終わりを予感し、深くものを考えさせる。。。。 それを彼女自身が止めることが出来ない、という印象です。
 終章、小さな白い家は、
 難解さもぬけ、いつもの須賀敦子が戻ります。 そのユルスナールの最後の家を覘きながら、彼女が語る言葉には、胸を打つ”言霊”があります。
 これを読み終えた後、内容を半分も理解しなかったであろう私が、深く満たされて、体中に、魂の震えの共振を感じました。
 私はいつまで生きるか分かりません。
 今日明日にだって死ぬかもしれないのです。 その可能性を頭のどこかに入れて生きて行こうと思います。
 ふと、そんな気にさせられた一冊でした。Dec 15, 2004 
108 数学者の言葉では   藤原正彦       藤原正彦さんは、新田次郎と藤原ていさんの息子で、数学者です。 読んでいると、彼の性格がよく分かります。
 まず、頭が切れる     
    ユーモアがある
    文才もある
    正義感の強い、誰とでも仲良くなれるタイプの人。
 です。 私はこの方のエッセイをほとんど読んでいますが、今回が一番気合の入った文章というか、難易度の高い文章です。
 ですが、数学と言うものや、文学というもの、または、学者であることを、非常な聡明さで語ってくれるので、面白いです。
 文字通り寝食忘れて、体力と精神をぼろぼろにするのでなければ、結果など出るはずがないし、なんとも厳しい話しですが、出るとも限らないのだそうです。。。。
 学問だけでなく、何かを極めようとすることは大変な精神力がいるのですね。 感心しました。
 この方の著書を読むと楽しくて、愉快になりますし、心もほかほかと温まります。。。 大好きなエッセイストです。 Jan 23, 2005 


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