羽根と私とフワフワと。

羽根と私とフワフワと。

心は置いていくから






貴方は置いていった





「好きだ」





心だけを 伝えて










心は置いていくから





ザアザアと大雨がニブルヘイムを襲った。
今夜中は降っているらしい。
ティファは、ひとりで毛布に包まっていた。

いつかふたりで夢見た、優しい世界を思い出していた。
一緒に幸せになろうと、誓い合ったというのに。
彼は、ある朝突然いなくなってしまった。


夢だったらいいと思った。
でも、彼はいない。


「・・・クラウド」


強い雨がティファの心を濡らす。
今は何処にいるかも、何をしているのかも、生きているのか死んでいるのかも、何もわからない。

「ねぇ・・・?もう、この世にいないなんて事、ないわよね・・・?」

涙が頬を伝う。


次の日、かんかんに晴れていた。
コンコンと、優しいノックの音。
窓から覗いてみると、そこにはユフィが居た。
「おっはよ、ティファ!遊びに来たよ!」
笑顔が眩しい。
「待ってて、着替えてくるわ」

今日はエアリスのお墓参りに行く日だった。
エアリス、友達としてとても仲良かったのに。好きだったのに。
でも、貴方はもう・・・いないのね。


「エアリス、エアリスが育ててたお花・・・まだ綺麗に残ってたよ。あの後、あたしも育ててるんだ」
水面に向かって花を浮かべる。
ゆっくりゆっくり、透明な泉に花びらは揺れる。
「綺麗だね、その花。エアリスもきっと喜ぶと思う」
ユフィはやわらかく笑った。
「そうだと・・・嬉しいな」


やっぱり、あたしだけが幸せになろうなんて思っちゃいけなかったよね。エアリス。
クラウドが居なくなったのは、そのせいだよね。


ユフィはあの後、夕飯を一緒に食べて帰っていった。
身体壊さないでね、と怒り口調で言ったあと、また笑顔で走って行った。

また、いつものように毛布に包まる。
もう夏だっていうのに、どうしても暑いと思わない。
ひとりぼっちのときは。


――――――――――――貴方がいないから。


すると、3日してポストに手紙が届いたみたいだった。
手紙なんて、誰だろう?
何時頃からだっただろう?
手紙をとりに行くと、薄い文字の色。
夏の光で見づらかったけど、やっとわかった。


【ティファへ
 突然の手紙で、きっと・・・泣いてると思う。黙って出てきたことには、とても悪いと思ってる。でも、自分を確かめたかった。
どうしても。確かめなければならなかった理由があった。
 3日前、ユフィと2人でエアリスの元に行ったよな?あの時、俺も傍に居たんだ。出て行って、ティファの元気のない姿を抱きしめたかった。
でも、できない理由があったんだ。
 おれ、どうしても自信がないんだ。ティファの事、幸せにできるかなって。でも、その時幸せにしてやらなきゃいけないって思ったんだ。
だから、もうすぐ・・・帰るよ。逃げてばかりでごめん。帰ったら、ずっと傍にいてくれ。それまでは、心はそこに置いておくから
クラウド】


「・・・ばか・・・・・・貴方しか居ないって、言ったじゃない」


夏が光を帯びる時、金色の髪はもっと輝くだろう。

帰ってきたら、お願い。





抱きしめて。


(~管理人のコメント~)
クラウドって、急にいなくなりそう。(ぁ
H17/9/17


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