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私
: 滋賀刑務所
に入った隆雄は、 印刷工場
で働く。
ある時、流れ作業中、 ひどい下痢
におそわれた。
担当看守にすぐにトイレに行きたいというが「休憩時間まで待て」といって認めてくれない。
我慢しきれず、ついに、作業場所に下痢をする。
A氏 :嫌な看守だね。
私 :しかし、 隆雄 は罰として階級も手当も下げられる。
翌日、 隆雄
は作業中にまた手を上げ、近づいてきた 担当看守
の顎にコブシを食らわした。
7日間
の 保護房拘禁
となった。
保護房
は窓のない狭いコンクリートの部屋で手錠をかけられ、両腕は腰の位置にベルトで固定されていた。
食事も排泄も縛られたままだ。
A氏 :犬食い、垂れ流しだね。
私
:これで 仮釈放
は望みなし。
この 保護房
にいたとき、母がなくなる。
2008年6月8
日、隆雄は、 5年
の刑を終えて 滋賀刑務所
を出所する。
偶然、この日は東京では 秋葉原無差別殺傷事件
が起きている。
母がなくなったので、迎えは誰もいない。
手持ちのカネは 17万円
。
女遊びしたりしてカネを使い、最後に 競艇
にカネを投ずる。
しかし、すっかりやられ、 3日間
で 5千円
になってしまう。
A氏
:カネがあるとつい、 賭け
に手を出すんだね。
生活保護者のパチンコ心理もわかるね。
私
:カネがなくなってきたので ドヤ街
に泊まるが、 ボヤ
を出して追い出される。
また、ホームレスだが、 シェルター の提供があるのでそれに並ぶが定員があり満員で利用できない。
A氏 :シェルターというのはホームレス向けに寝場所を提供しているんだね。
私
:あてもなく 紀伊半島向けの電車
に乗る。
乗客は 釣人
が多い。
しかし、遠乗りとなり 無賃乗車
だ。
「 切目
」という駅に近づく時、車掌が改札に来たので窓から飛び降りる。
駅に近づいて電車がスピードを落としていたので怪我なしで逃げられた。
しかし、そのとき、残りの 500円玉1個
を落としたらしく、 完全に無一文
になった。
夜の農村を歩いていると、ある農家の軒先にダンボールが下がっていた。
「 お風呂がわいていますから、ご自由にお入りください
」とある。
戸を開けると 老婆
が出てきて案内してくれる。
入浴して浴衣も用意してくれ、出所後 4日
ぶりに 白いご飯
にありつける。
爺さんが泊まっていけというので泊まる。
しかし、夜中にそっと起きてあちこち、金目の物を探しだす。
A氏 :また、窃盗か。
私 :しかし、 老夫婦 が気づく。
隆雄
は台所から刃物を持って、老夫婦の部屋に行くと老夫婦は並んで座っていた。
爺さんが「 オカネをあげたいけれど、うちには1銭もないんや
」という。
隆雄
は、二人の顔を見るのを避け、後ろにまわり、包丁を二人に深く突き刺した。
翌朝、登校途中に寄る孫娘が惨状を発見する。
隆雄 は血溜まりの中に座って、呆然としている。
「 俺は今の俺以外になれへんかった、それは運命とか宿命とかいうことか?」
自殺する気はなかった。
これから法廷でじっくり俺の人生をふり返り、組み立て直す。 隆雄は生きる気力が身内から湧いてくるのを覚えた。
パトカーのサイレンの音がひときわ大きくなった。
A氏
:「 東京難民
」の主人公はホームレスに転落したが人の道を守った。
だから、最後、希望があったが、殺人を犯した「 冬の旅
」にはなく、連続殺人犯「 永山則夫
」のような人生だね。
私 :まさに 隆雄の半生 は時代の波にもまれた「 冬の旅 」だね。