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今週、興味を持ったのは 下記2冊 。
1.池井戸潤〈著〉『陸王』・評者・ 市田隆(本社編集委員)
ベストセラーとなった『下町ロケット』シリーズ と同じく、 新技術による商品開発を目指す中小企業の物語 。
埼玉県行田市の足袋メーカー「こはぜ屋」 は、 正社員とパート計27人の企業 。
創業百年の老舗 だが、 時代の流れの中で売り上げはジリ貧 。
社長の宮沢紘一 はふとしたきっかけから、 自社の地下足袋を応用してランニングシューズに新規参入できないか 、と思いつく。
本作 では、 ライバルの大手メーカーとの競争 より、 暗がりの中を手探りで進むような時期の描き方 に、 池井戸作品が読者に訴えかける力があることを改めて感じた と 評者 はいう。
大手メーカーを退職後 、 シューズ開発のアドバイザー として「 こはぜ屋」 に協力する 村野尊彦 は、 苦境にある宮沢社長 にこう言う。
「 進むべき道を決めたら、あとは最大限の努力をして可能性を信じるしかない。でもね、実はそれが一番苦しいんですよ。保証のないものを信じるってことが 」
商品開発に打ち込む が、 わいてくる不安にさいなまれる宮沢の心理描写が秀逸 だという
保証がない中小企業のリアルな姿 が小説にあるからこそ、 努力の結実も重みを持ってくる と 評者 はいう。
アベノミクス「第3の矢」 は こういう企業の活動の蓄積 で決まるだろう。
2.クライド・プレストウィッツ〈著〉『2050 近未来シミュレーション日本復活』・評者・ 諸富徹(京大教授・経済学)
著者 は、 米 経済戦略研究所所長 。 『日米逆転』は両国でベストセラーに 。
本書 は、かつての 日米貿易摩擦時の対日交渉官 であり、 いまや日本の将来を案じる著者 の 近未来の日本のシミュレーション 。
いったい、2016年と2050年の間で日本に何が起きたのか が、 本書の主題 。
2017年、危機が勃発 、 アベノミクスは失敗 、 膨大な公債残高の償還可能性に不安を抱いた投資家が円建て資産を売却、資本逃避 が始まる。
窮した日本は、IMF(国際通貨基金 )管理下 に入る。
衝撃的なのは、 サムスンによるソニーの吸収合併 。
経済・社会的「シン・ゴジラ」の襲来 だね。
国家の存立危機 を前に、 国会 は「 特命日本再生委員会」の創設 を決める。
委員会 は、
(1)女性の就業率の向上 、
(2)計画的な移民の導入 、
(3)バイリンガル化 、
(4)再生可能エネルギー を中心とするエネルギー独立 、
(5)新しい経済産業モデル、
(6)連邦制 導入による徹底した分権化
などを提言。
これらを 実行に移すことにより、日本は明治、終戦後に続く「3度目の経済的奇跡」を自ら実現することに成功 する。
結果、2050年 、 日本 では 女性が取締役会の半数を占め 、 世界でも有数の女性が活躍する社会に生まれ変わった。
もっとも大きな変化 は、 人口動態 で 、人口減少は2025年に上昇に転じ 、 2050年の総人口 1億5千万人超え が見込まれる。
人口増は経済成長を促し、日本経済は、年率4・5%で力強い拡大を続けるようになった。
評者の諸富氏は、このように実現するもしないも 、すべては 我々自身の手 にかかっており、日 本の社会経済システムの本質を突いた数々の問題点の指摘 は、重く受け止め、 日本の行く末 を考えたい一書だという。
ある意味、 末恐ろしいシミュレーション だ。