血と涙



もしかしたら、更新のたんびに何か変わってる部分があるかも。w
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佐伯は高校1年。

通学は自転車。

成績は50位/80人中といたって普通。

ルックスも悪くはないがよくもない。

今は、梅雨の時期。

佐伯の住む県は渇水でヤバい状態だ。

外では、市役所の車が節水を呼びかけている。

「っるせいな。。」

今日は雨なので市内バスでの登校。

雨の日はカッパを着るのがいやなので市内電車を使用するのだ。

「はぁ、ねむい。」

眠たい目をこすりながら、バスの停留所まで歩く。

市役所の車が近くを通りすぎる。

「げ、近藤だ。またいるよ。」

停留所には一人の少女がいた。

「あ、佐伯おはよ。」

元小学校の友人か?それとも幼なじみ?

まぁそんなところだ。

「・・・・・・」

「あれ?今日も無視?ひどいなぁ。」

佐伯はこの少女が苦手だった。

妙にハイテンションだし、女らしいところを見せたところがない。

しかも、小学校のとき俺のしようとする事をすべて見てるんだよ。

「・・・・・おはよ。」

こいつ、挨拶返さないといつまででも言ってくるからな。

「あ、今日は返事が早かったね。」

満面の笑みで言う。何処がそんなに嬉しいんだか。

時間割を見る。

もう少しで来るな。

早く来い!!

「ねぇねぇ。毎日なに食べてんの??」

くっ。。来たか、質問攻め。

「・・・いろんなもん。」

「例えば??」

好奇心いっぱいの目で見てくる。

こいつ子供か。

「白飯」

近藤の顔を見ずにバスがくるはずの方向を見ながら答える。

「朝はパン食べるの?それともご飯?」

「パン」

遠くにバスが現れた。後数十秒で来るだろう。

「なにパンが好き?」

「・・・・・・」

「ねぇねぇ。答えてよ。」

「イチゴジャムがついた奴。」

「!!マジ。やっぱ好きなんだ。赤。」

バスが来た。

逃げるように乗り込む。

バスの中ではさすがに質問攻めはしないだろう。

予想通り質問してこなかった。

窓の外を見る。雨が窓に当たり世界が歪んで見える。

学校までは、20分。

佐伯は外の歪んだ世界を楽しんでいた。

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佐伯は、近藤と同じクラス。

佐伯の席は窓側。近藤は佐伯の斜め後ろ。

佐伯は授業をほとんど聴いてない。

くわぁ。ねむ。

4時間目の授業

「ここに『散り萎れ』とあるが、何が『散り萎れ』てるんですか。

 じゃあ。佐伯。」

。。。くそっ、授業聞いてねぇよ。

散り萎れ??お前の頭じゃねぇの?

「え~~ん~~」

「桜」

「は?」

斜め後ろから近藤がささやいてる。

「・・・・桜ですか??」

「よぉし。座っていいぞ。」

はぁ、やっとおわった。

近藤の振り返る。

「あっとったやろ。」

やはりあの満面に笑み。

キーンコーンカーンコーン

昼食、佐伯はいつも一人で食べる。

しかも、両親が他界しているので

いつもコンビニで買ったもの。

まぁ、友達というひといないし

作ったらヤバいし。w

その後は、掃除・5時間目・6時間目と何事もなくすぎていった。

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放課後。

佐伯は帰宅部。

近藤は、女子バスケット部なので放課後は逢う事はない。

佐伯の家は一軒家。

ローンは両親の生命保険で払い終わり、その残りで生活している。

玄関の前についた。

戸を開ける。

「うっ。くそ。頭がいてぇ。」

なんだよ。今日に限って。

「血だ。血が欲しい。」

佐伯は荷物を置き、顔を真っ青にして

雨の中を走っていった。

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佐伯が10歳ぐらいの頃。

強盗が入った。

佐伯が学校に行っている時間帯だ。

いつも会社に行っている父親は

その日、風邪で休んでいた。

佐伯が学校から帰り、玄関の戸を開けたとき

目の前には胸を刺され折り重なるように死んでいた両親がいた。

彼はそのとき初めて血を見た。

それは、真っ赤に燃える夕日のような目を奪われる赤だった。

佐伯は、泣く事もなくその血に見とれていた。

その頃からだろうか、彼は血を求めるようになった。

学校でもカッターを常に持ち歩き

喧嘩を売ってきた生徒を切り血を見るのを楽しんできた。

小学校を卒業する頃。

ガキ大将が佐伯を屋上へ呼び出した。

「お前、よくも今まで俺の友達に手を出しやがったな。」

「彼奴が先に手を出してきたんだろ。」

「うるせぇ!!」

佐伯はいつも通り手首を切る。

運良く彼は気絶した。

そのとき初めて首の動脈を切ろうと考えた。

刃を首に押しあてる。

刃が太陽の光で光った。

後は引くだけ。

ガッチャ

「佐伯!!」

入ってきたのは近藤だった。

佐伯は首に押しあてたカッターを元に戻し、

そのまま、近藤の横を通り過ぎていく。

「ねぇ、佐伯!あんた今何しようとした!?」

「・・・・・べつに。」

なぜか、佐伯の中ではほっとした気持ちになっていた。

中学校では、そのような事はしなくなった。

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雨の中を走る佐伯は人が多く集まる商店街にいた。

ドンッ

「いてぇんだよ。」

チャラチャラした学生いわゆる不良と肩がぶつかった。

「おい、にぃちゃんちょっとこいや。」

素直についていく。

こんなに早く獲物が来たとは。。。。

ついたのは廃ビルの屋上。

「にぃちゃん痛かったぞ。お前もこの痛み味わってみろや!!」

意味の分からないのりで殴り掛かってきた。

最初のパンチをよけ、後ろへ回る。

うなじにきつい一発を入れてやった。

男はぐったりして倒れた。

おお、本当に手刀で気絶するんだな。

カッターを取り出す。

首にあてた。

タタタタタタタタタタタタタタタタタ

階段から足音が聞こえる。

「佐伯!!」

近藤だ。

「・・・お前、なんでいる。」

「佐伯が男の人につれられて廃ビルの上に連れて行かれてるの見たから

 心配してきたんじゃない。」

「・・・ばかな事を。」

「ねぇ、その人ほっといた早く帰えろ。」

「・・・血だ。血が欲しい。」

佐伯の目が充血していく。

「やめて、佐伯。お願いだから。」

「・・・・・・・・」

佐伯の手がゆっくりと動いていく。

刃が首の肉にめり込んでいく。

「佐伯!!」

近藤が叫んだ。

ビクッ

佐伯が驚き、首にあてていたカッターを強く引いてしまった。

プシャーーーーーーーーーーー

男の首から血が吹き出ている。

「ああ、血だ。美しい。」

体中血だらけにした佐伯がにんまりと微笑んでいる。

「佐伯。あんた、なにしてんのよ。

 その人殺したのよ。」

近藤は、手で顔を覆いながら泣いている。

「え。」

佐伯は我に返った。目の充血が引いていく。

「あ、ああああ、あああああああああああああ!!」

佐伯が叫んだ。

「ああ、俺は人を殺したのか。

 くそぉ。なんだよ。くそぉ。

 もう嫌だ。いつかはこうなると思っていたが。

 俺はもう生きていくのが嫌だ。また人を殺しかねない。」

「え。」

近藤は泣き崩れた顔で佐伯を見た。

「俺はもう生きれない。」

「まってどういう事?」

「こういう事だよ。」

佐伯は、もっていたカッターを胸にあてた。

「だめ。そんな事しちゃ駄目!!」

近藤は佐伯に向かって走り出した。

「まって、お願いだから。やめて。」

足がもつれてうまく走れない。

「さようなら。

 お前のおかげで今まで人を殺さなくてすんだよ。

 ありがとう。」

カッターをもつ手に力が入った。

「さえき!!!!」

グサッ

「うっ。」

ドサッ

「佐伯!!佐伯!!」

近藤が佐伯のところについた。

「しっかりして佐伯。今救急車呼ぶから。」

「呼ぶな近藤。俺はもう生きるのをやめた。

 このまま死なせてくれ。」

「駄目だよ。まだ生きてよ。ねぇ!!」

「今までありがとう。

 もう疲れた。さ・・よ・う・・な・ら。」

「さえき!!!!!」

近藤が泣き崩れる。

少女の瞳から流れる涙は

彼の傷口にあたり

血を洗い流していった。


完!!


終わりました!

今まで読んでくれてありがとう!!


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